仲介による家の売却は『仲介手数料』がかかる!仲介手数料は意外に大きな金額になるので注意しましょう!
家の売却を検討した場合には、仲介手数料を支払わなければならない…というイメージを皆さん持っていると思います。しかし、仲介手数料がどれぐらいの金額になるのかについては、いまいち分からない…という方の方が多いのではないでしょうか?もしあなたが、賃貸物件を借りる時の仲介手数料程度だと考えているのであれば、すぐにその考えは捨てた方が良いです。
不動産売買にかかる仲介手数料は、家の売却金額が基準となり決まるのですが、その基準となる金額が非常に大きい金額ですので、仲介手数料もそれに比例して高額になってしまうのです。実際に、「スムーズに買い手が見つかりそうで安心だ!」と思っていたところに、高額な仲介手数料の請求書を見せられビックリしてしまう…なんて方が多いです。
そこでこの記事では、不動産売却における仲介手数料の基礎知識について簡単にご紹介していきます。
そもそも『仲介手数料』とは何だ?
それではまず、不動産売却時に支払わなければならない『仲介手数料』とは一体何なのかについて簡単にご紹介しておきましょう。
仲介手数料は、そこまで複雑な物ではなく、不動産売買において不動産会社が仲介業務を行った時の報酬として得るものです。ちなみに、法律用語では、仲介や斡旋のことを「媒介」と呼ぶことから『媒介報酬』と呼ばれることもあります。
不動産会社にと言って『仲介手数料』は成功報酬
仲介手数料というのは、不動産会社が不動産売買を仲介することで得られる「成功報酬」型の手数料です。要は、売買契約が成立しない限り、この仲介手数料の請求権は発生することがありません。したがって、不動産売買を不動産会社に仲介してもらう場合、着手金や前金のような金員は一切発生することがないと考えておきましょう。仮に、そのようなお金を請求してくる不動産会社があった場合、それは法律違反です。
不動産会社が売買を仲介する際には、必ず物件の査定を行ってくれるのですが、その査定に関しては無料で行います。また、家の販売活動を行う際には、調査費や広告などの費用が発生する場合があるのですが、これらの費用に関しても販売活動の途中で請求されることは、原則としてありません。
不動産会社は、売買が成立するまで、販売に関わるさまざまな対応を無料で行ってくれるのですが、それは特別なことではなく、成功報酬として仲介手数料があるからだとも言えます。
仲介手数料が発生する条件とは?
不動産会社が『仲介手数料』を請求できるようになるには、いくつかの条件を満たす必要があります。基本的には、以下の3つの条件を満たすことで仲介手数料が発生すると覚えておきましょう。
- 不動産会社と依頼者との間で媒介契約が成立している
- 媒介契約に基づいて、不動産会社が媒介行為を行っていた
- 媒介行為により売買契約などが有効に成立する
上記3つの条件が満たされた場合、成功報酬となる仲介手数料が発生します。ちなみに、仲介手数料は、簡単な計算式があり、それを使って計算されるのが一般的です。したがって、その計算式を頭に入れておくことで、自分が仲介手数料としていくらぐらい支払わなければならないかを事前に把握することができます。
仲介手数料の計算方法
それでは、仲介手数料について、いくらぐらいかかるものなのかを簡単に解説していきましょう。まずおさえておきたい情報として、仲介手数料は、不動産会社が勝手に設定して良いというものではなく、宅地建物取引業法によって、上限額も定められています。つまり、不動産会社は、上限額を超えた仲介手数料を請求すると違法となってしまいます。
仲介手数料は事前に計算してみましょう
不動産売買における仲介手数料については、国土交通省の告示で以下のように定められています。
②取引額が200万円超から400万円以下の金額:取引額の4%
③取引額が400万円超の金額:取引額の3%
媒介報酬は上記の「①」~「③」の合計金額以内
参考:国土交通省の告示
なお、この計算式では、売却額をそれぞれの価格帯ごとに分けて手数料を計算し、合算した金額が報酬となるという形ですので、計算に手間がかかってしまいます。そのため、実際の仲介手数料に関しては、もう少し計算を簡単にした『速算式』と呼ばれる方法で上限額を算出しています。
①取引額が200万円以下の場合・・・取引額の5%
②取引額が200万円超から400万円以下の場合・・・取引額の4%+2万円
③取引額が400万円超の場合・・・取引額の3%+6万円
それでは、実際にこの式に当てはめて仲介手数料の計算をしてみましょう。ここでは、家の売却金額が3,000万円だったと仮定した場合に発生する仲介手数料です。
仲介手数料 = 取引額の3%+6万円(計算式)
= 3,000万円×3%+6万円
= 90万円+6万円
= 96万円
※消費税は別途かかります。
仲介手数料の計算に関しては、そこまで複雑ではないので、売却金額を上述した式に当てはめてみて算出すると良いでしょう。なお、平成30年1月に施行された宅建業法の一部改訂により、400万円以下の不動産売買時の仲介手数料については、上限が18万円となっています。これは売主のみに適用され、事前に不動産仲介業者から売主への説明と合意が必要とされています。
参考:国土交通省資料より
不動産売買にかかる仲介手数料に関しては、家がいくらで売却できたのかが明確にならなければ正確な金額は計算することができません。ただし、最初に教えてもらえる査定額からある程度、近い金額を予想することは可能ですので、後から困らないように計算しておくのが良いのではないでしょうか。
『仲介手数料』はいつ支払わなければならない?
不動産売買における仲介手数料の計算式がわかったところで、気になるのは「いつ支払わなければならないのか?」ということですよね。ここでは、仲介手数料の金額が確定してから、どのようなタイミング、方法で支払うのかも簡単にご紹介しておきます。
仲介手数料が発生する条件とは?
不動産売買時の仲介手数料については、売買契約時に50%、引き渡し時に50%と、2回に分けて支払うものだと考えておきましょう。不動産売買では、売買契約の締結と引き渡しまでの間に、1カ月程度の期間が開いてしまうのが普通です。したがって、仲介手数料は、契約時と引き渡し時と言った感じに、最初と最後に分割して支払うといった形となるのです。
なお、不動産売買について、意外に長い期間が開いてしまうのは、まず買主に関して、売買契約書がないと、住宅ローンの本審査を申し込めないためで、その審査などのために1カ月ほどの期間を要するのです。売主側に関しても、住んでいる状態で家の売却をする方も少なくないため、「売買契約⇒引き渡し」までの1か月間を引っ越しの期間と捉えているという方も多いです。他にも、設備の動作確認や境界の確認なども、売主・買主立会いのもと、行われるなど意外に手間のかかる作業が多いため1カ月程度の期間が開くと考えておきましょう。
なお不動産会社については、売買契約締結時に、仲介手数料の全額を請求する権利は発生しています。そのため、売買契約時に100%の仲介手数料を請求されたとしても、これは違法な行為ではないと考えてください。ただし、不動産会社に関しても、契約から引き渡しまでの間に、さまざまな業務が残っていることには変わりありません。
そのため、売却を依頼した売主からすれば、契約時に100%の手数料を支払ってしまうと「残っている業務がおざなりになってしまうのではないか…」と不安に感じてしまい、できれば引き渡しまでは一部の仲介手数料でも支払いを留保したいと考えるものだと思います。そのため、この両者の立場の間をとって『売買契約時に50%、引き渡し時に50%』という2回払いのかたちが商習慣として根付いたと言われています。
契約解除になった場合『仲介手数料』は返ってくる?
売買契約から引渡までに1カ月程度の期間があるとなると、その間に何らかの問題が発生してしまい、契約解除が発生すると、先に支払った50%の仲介手数料の行方が気になってしまいますよね。これに関しては、『手付解除』と『ローン解除』と呼ばれる契約解除の種類によって仲介手数料の扱いが変わります。
ここでは、万一の契約解除の際の返金ルールについて簡単に解説しておきます。
手付解除の場合
結論から言いますが、手付解除の場合は、既に支払った仲介手数料を返金してもらうことができないというのがルールです。「なんで?」と思う方は、そもそも手付金の意味を理解していない方だと思いますので、ここではその辺りを簡単に解説しておきます。
そもそも「手付」というものは、売買契約など、有償契約において、契約を結ぶ際に、当事者の一方から相手方に公布される金銭を指します。不動産売却では、売買契約時点で、売主が買い主から手付金を受領しているのが一般的です。この手付金については、売買代金の10~20%が相場となっています。この手付金に関しては、引き渡しまで何もなく順調に進んだ場合、売買代金にそのまま充当されることになり、引き渡し時に、手付金を差し引いた残金を支払い売買が完了します。
手付の意味がわかったところで、手付解除についてです。一般的に、手付を交付することで、後から契約解除が可能になることを『手付解除』と呼びます。要は、売買契約の成立の証拠建てとして手付金が「証約」の役割を果たすのですのですが、その一方で、契約を解除できる時の「ペナルティ」としての役割も持っているのです。これは、引き渡しまでの間に、手付金を放棄することで、契約解除が可能だという意味です。ちなみに、売主側から契約解除をする場合、手付金を倍返しすることで可能です。このように、手付金の1倍の金額を支払うことで契約解除をする行為が手付解除です。
ここまでは、不動産の売主と買主の関係についてご紹介しました。手付解除は、どちらかの一方的な都合による契約解除なので、手付金がペナルティになるというのは理解できたと思います。しかし、ここで問題となるのは、売主側が契約締結時に支払った仲介手数料です。売主からすれば、契約がなくなったのだから仲介手数料は返金してほしいと考えるものですが、手付解除は不動産会社の不手際で起こる物ではありませんし、不動産会社には何の「非」もないわけです。したがって、このような手付解除の場合、あくまで当事者間の一方的な都合で契約を解除したという扱いで、仲介手数料に関しても取り戻せないというのがルールです。
仲介手数料が返ってこない…と聞くと不満に感じるかもしれませんが、不動産会社からすれば、これまで手間もお金もかけてせっかくまとめた契約を当事者間の都合で破棄された…となり、仲介手数料まで返金するとなると、たまったものではありません。
ローン解除の場合
次は、ローン特約による解除、いわゆる『ローン解除』と呼ばれるものですが、こちらの場合は、既に支払った仲介手数料を返金してもらえるのがルールとなります。
ローン特約は、買主が住宅ローンなどを利用して物件を購入する場合で、買主が金融機関の融資審査に通過しなかった時のルールを定めた条文です。ちなみに、契約書上では「融資利用の特約」「融資利用の場合」などという名称で規定されている条文になります。
上述していますが、住宅ローンの本審査は売買契約書が必要になりますので、売買契約を結んでから引き渡しまでの間に行われることが通常です。そのため、ローン特約の条文が作られており、買主がローン審査に通らないのは買主の責任ではないとし、違約金なしで契約解除ができると定めています。
したがってこういった場合には、「売主は受領していた手付金の全額を買主に返金する」⇒「不動産会社は売主から受領した仲介手数料を満額返金する」といった流れになります。
まとめ
今回は、仲介による不動産売却時に発生する仲介手数料についてご紹介してきました。戸建てでもマンションでも同じですが、現在住んでいる家の売却を考えた場合、ほとんどの方は不動産会社に相談し、仲介による売却を目指すのが一般的だと考える物でしょう。実際に、一般の方の多くは、家の売却手法は『仲介しかない』と考えているような方も意外に多いです。そして、仲介による不動産売却を進める際、売主側の大きな負担となってしまうのが、この記事でご紹介した仲介手数料で、売却金額が大きい不動産の売買ですので、それに比例して仲介手数料も非常に高額になってしまうのです。特に、100万円を超えるような仲介手数料を支払わなければならない…なんてこともありますので、「家を売ったらお金が手に入る!」ということばかりに注目するのではなく「家を売るのにもお金がかかる」という点は理解しておきましょう。
なお、近年注目されている家の売却手法に『不動産買取』という手法があるのですが、こちらの場合、直接不動産会社に家を買い取ってもらう手段ですので、売買が成立しても仲介手数料などは発生しません。また、買主の住宅ローン審査など関係ありませんので、売買契約が完了すれば、現金の入金まで数日で完了することもあるなど、取引スピードが非常に速いという特徴があります。
転勤が決まって…、離婚することになって…、遺産分割で…、など、素早く家の現金化がしたいと考えている場合であれば、不動産買取業者に相談するのが最もオススメだと思いますので、仲介にだけ固執するのはやめましょう!