一戸建ては「売る」と「貸す」ならどっちが正解?それぞれのメリット・デメリットをしっかり押さえよう!

今回は、転勤や相続などで、所有している一戸建て住宅が空き家になってしまう…という場合に、「売るのと貸すならどっちが良いのか?」というよくある質問について考えてみたいと思います。

なお、この記事では、売る場合と貸す場合、それぞれに存在するメリット・デメリットや、売るのに適した家の条件、貸す方が良いと考えられる条件などをご紹介していきます。一戸建て住宅に関しては、大前提として「中古になるとマンションよりも売りにくい傾向がある」という問題もありますので、基本的には、買い手が付く状態でさっさと売却してしまった方が良いと言えます。賃貸経営は、貸す建物があれば誰でも始められるのですが、そう簡単に収益を出せるほど簡単な物ではないということも覚えておきましょう。

日本国内では、今後空き家の取り扱いに困ってしまう方が年々増加していくと予想されていますので、早いうちから「実家などを相続した時の使い道」は考えておいて損はないかもしれませんよ。

戸建てを売るメリット・デメリット

それではまず、自分で住まない一戸建てを所有している方が、その物件を売却するという選択をした場合のメリットとデメリットからご紹介します。そもそも、「戸建てを所有しているなら住めば良いのに!」と考えてしまった方もいるかもしれませんが、「当分転勤などないと思って家を購入したのに、翌年転勤を命じられる…」なんてことが考えられるのが人生です。

つまり、戸建てを所有している方でも、「自分では住めなくなる」というケースも普通にあり得るわけです。この場合、まず思い浮かぶのが、引っ越し先でもお金が必要だし、「売却しよう!」という選択だと思います。この場合は、以下のようなメリットとデメリットが考えられます。

戸建てを売るメリット

一戸建てを「売却する」という選択をした場合、以下のようなメリットがあります。

  • まとまった現金が手に入る
    一つ目のメリットは、家を売却して得られるまとまった現金です。もちろん、家の状態などによって金額は変わりますが、次の家を購入したいと考えている方であれば、頭金などとして利用できるでしょう。もちろん、ローンが残っている場合、売却で得られるお金で返済するという選択肢もあります。
  • 維持管理の手間から解放される
    家は、所有している限り、固定資産税などの税金を支払わなければいけませんし、周辺環境に悪影響を出さないため、お手入れやお掃除などの管理作業が必要です。この維持管理コストはそれなりにしんどいものですので、売却でこれらから解放されるのは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

戸建てを売るデメリット

次は「売却する」という選択をした場合のデメリットです。一般的に、以下のようなデメリットが考えられます。

  • せっかくの資産を生かせない
    これは、売却する物件の資産価値が高いという前提の話です。例えば、立地条件が良く、築年数もまだ新しいという物件であれば、それなりの家賃でもすぐに借り手が見つかる可能性が高いです。賃貸経営が上手くいけば、継続的な収入が得られますので、そういった物件を貸さずに売るという選択をした場合、得られるはずのメリットが得られないというデメリットがあるのです。
  • 相続対策にならない
    相続税の納税義務のある人は、不動産は売却して現金にするよりも、保有していた方が相続税評価額が安くなり、相続税対策になります。また、不動産は他人に貸して収益物件にすることでさらに相続税評価額が安くなるという性質があります。つまり、物件によっては、貸すだけで相続税を節税できるのに、売るとそういったメリットが得られなくなる分、損だということです。

戸建てを貸すメリット・デメリット

それでは次に、転勤などを理由に空き家になる一戸建てを賃貸に出す場合のメリット・デメリットを考えてみましょう。

戸建てを貸すメリット

一戸建てを「賃貸に出す」という選択をした場合、家賃収入が得られるという非常に分かりやすいメリットがありますね。特にコロナ問題以後は、感染リスクの面を考えて、集合住宅から戸建て賃貸に切り替えるという方が多くなっていると言われていて、戸建ての賃貸需要が高くなっているのです。そのため、以下のようなメリットが考えられます。

  • 継続的な収入が得られる
    賃貸に出す場合、上述の通り「家賃収入が得られる」という点が最大のメリットになります。売却するよりも金額は小さく見えますが、賃貸の場合、入居者がいる間は継続的な収入になりますので、安定的な収入を得ることができるというメリットがあるのです。
  • 将来的に借主に売却できる場合も多い
    戸建て賃貸の良いところは、入居者が長く住んでくれるという点です。そもそも、戸建てを賃貸する層は、ファミリー層ですので、子供の学校の関係などもあり、そう簡単に引っ越すということがないのです。さらに、長く住んで愛着がわけば、その入居者から買取を希望されるケースも多いです。したがって、継続的な家賃収入が得られたうえで、最終的に売却収入まで得られるというメリットも考えられるのです。

アパートなどの集合住宅での賃貸の場合、入居者の入れ替わりも激しく、最終的に入居者に買ってもらうなんてことができません。しかし、戸建ての場合、その家に長く住んでいれば、そのまま買い取りたいと考える方が多く、出口戦略など考えなくてもうまく売り抜けるケースが多いのです。戸建ては、築年数が経過すれば、どんどん売りにくくなるのですが、貸すと最終的に入居者が買ってくれる可能性があります。

戸建てを貸すデメリット

それでは、戸建てを貸す場合のデメリットも見ておきましょう。

  • 修繕義務が生じる
    戸建てを貸した場合、建物に何らかの問題が生じれば、所有者が修繕しなければいけません。例えば、入居者から雨漏りがあった…、設備が壊れた…などという報告があった場合、自分が住んでいない家だとしても、その修繕は所有者であるあなたに義務があるのです。したがって、賃貸に出す場合は、突発的な修繕のための支出の可能性がある点が大きなデメリットになります。
  • 空室リスク
    戸建て賃貸は、「入居者がいる」「入居者がいない」の両極端な結果になってしまいます。賃貸事業は、空室リスクとの戦いのような物で、戸建て賃貸は特に空室リスクが高いわけです。そして、空室の場合、何の収入も得られないのに、税金や建物の維持コストはかかってしまうというデメリットがあります。
  • 入居者トラブルの可能性
    きちんと入居者が付いていたとしても、その入居者が優良な人だとは限りません。例えば、家賃滞納に悩まされてしまったり、家の扱いが悪く劣化を早めてしまったり、近隣住民とトラブルを起こすなど、さまざまな問題が起きてしまう可能性があります。基本的には管理会社を挟むのですが、こういった問題は、所有者にもいくらかの悪影響をもたらせます。

このように、戸建てを貸すという選択をしたとしても、「入居者が付かない」「入居者がついても悪質な人だった」なんてことになると、想定した家賃収入が得られず、維持管理コストばかり出て行ってしまう結果になるのです。そして、そうしている間に家の劣化が進み、売ろうと思った時には買い手が付かない状態になっていた…なんてことも考えられるでしょう。

「売る」と「貸す」を見極めるには?

それでは、転勤や相続などで、自分では住まない一戸建てを所有することになったという方が、「売る」と「貸す」を見極めるためのポイントについていくつかご紹介しておきましょう。上述したように、どちらの選択をしたとしても、それぞれにメリットとデメリットが存在しますので、一概にどっちが正解とは言えないのが実情です。又、一戸建てと言ってもそれぞれ条件などが異なりますので、物件によって売ると貸すどちらが良いかが変わってきてしまうものなのです。

そこでこの記事では、「売るのに適した条件」と「貸すのに適した条件」それぞれに分けてご紹介していきます。

売るのに適した戸建ての条件

それではまず、売却したほうが良いと考えられる戸建の条件からご紹介していきましょう。以下のような家であれば、売却の方がメリットが大きいと考えられます。

  • 住宅ローンを完済していない物件
    戸建てを貸すのであれば、住宅ローンの完済が原則です。というのも、住宅ローンは「自分が住む家を購入する」という使用用途で借りるものですので、他人に賃貸するなどの投資用には使えないのです。仮に、住宅ローンが残っている状態で他人に貸しているのが金融機関にバレてしまうと、アパートローンへ切り替えるように要求されることでしょう。アパートローンは、金利が高くなり、借入期間が短いので、かなり不利なローンとなります。つまり、ローンを完済していないのであれば、賃貸に出すのは非常に大きなリスクがあるのです。なお、期間が決まった転勤でやむを得なく貸すという場合、金融機関に相談すれば、例外的に認めてくれることはあります。
  • 最寄り駅が徒歩10分以上の立地
    最寄駅から遠い物件は、賃貸に出してもなかなか借り手が見つからないので、売却するのがオススメです。ただし、駅から多少遠くても、賃貸需要が非常に強いエリアなどもありますので、そういったエリアであれば賃貸という選択肢もアリだと思います。賃貸経営は、立地が非常に重要ですので、貸すのが難しいと考えられるような立地の場合、売却を急いだ方が良いでしょう。
  • 築20年以内の物件
    木造一戸建て住宅は、法定耐用年数が22年となっており、築20年を境に一気に売却が難しくなります。もちろん、きちんとメンテナンスをしている家であれば、法定耐用年数を過ぎても何の問題もなく住めるのですが、建物の資産価値がないという判断になり、売れにくくなるわけです。したがって、築20年以内の物件であれば、需要があるうちに売ることを優先するのがオススメです。
  • 一度もリフォームしていない物件
    一度もリフォームしていない物件となると、非常に貸しにくいという判断になるのですが、売却はできるので売却を目指すのがオススメです。基本的に、家の売却を考えた時には、リフォームは不要なのですが、賃貸の場合、リフォームを行った方が借り手が付きやすいです。つまり、それなりに劣化が見られる建物であれば、貸すためにそれなりのリフォーム費用が必要になるということです。それなら、コストをかけなくても良い売るという選択肢の方が良いですよね。

貸すのに適した戸建ての条件

それでは、貸すのがおすすめの物件の条件も見ていきましょう。

簡単に言うと、上述した「売却がオススメ」の逆になると考えてください。例えば、既に住宅ローンが完済しているという場合、金融機関に許可などをとる必要もありませんし、自分の判断で賃貸に出すということが可能です。また、駅徒歩10分圏内など、交通利便性が高い一戸建てであれば、賃貸需要がそれなりに高いと考えられますので、貸すのに適していると言えるでしょう。

他にも、築20年を過ぎた、売却が難しいと考えられる物件については、安価で売るぐらいならギリギリまで賃貸に出すという選択もアリかもしれません。ただし、築20年を過ぎているということは、それなりに建物にガタが来ていると思いますので、その状態のまま貸すのは難しいかもしれません。つまり、貸すためにはリフォームなどで、それなりにコストをかけなければならないということも覚悟しておきましょう。賃貸需要がそれなりに高い場所で、リフォームしたとしても、収益が見込めると考えられるなら、賃貸にしても良いのではないでしょうか。

まとめ

今回は、転勤や相続などで、自分で住まない一戸建てを所有することになったという場合に、皆さんが非常に迷ってしまう選択肢についてご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、戸建て住宅を所有しているものの、何らかの理由で自分では住まないとなった場合、「売る」のと「貸す」のでは、どちらの選択が自分にとって有利なのか迷ってしまうという方が多いと思います。筆者個人的な考えでは、賃貸経営はそこまで簡単な物ではないので、素人が手を出して痛い目を見るぐらいなら、売却できるうちに売却を目指した方が良いという考えになります。

ただし、駅近など非常に立地条件が良い、購入したばかりで築年数が浅いなどの条件の良い物件であれば、賃貸需要も高いですので、賃貸に出すという選択肢もアリかもしれません。そういった物件であれば、最終的に入居者が買取りを希望するということも多いので、賃貸経営の出口戦略も考えなくて済むはずです。
なお、「売却」を選ぶ場合には、弊社のような不動産買取業者に相談することで、一般的には買い手が付きにくいと言われる物件でも手放すことが可能ですよ!