再建築不可物件について。再建築不可物件って売却できるの?

今回は、再建築不可物件を手放す方法について解説していきたいと思います。

建築基準法上の接道義務を果たせていないことから、一度建物を解体して更地にしてしまうと、再度の建築が不可能になる物件を『再建築不可物件』と言います。そして、この再建築不可物件というものは、手放したいと考えたとしても、売却が非常に難しいと言われており、実際に、住んでもいない再建築不可物件の取り扱いに困っているという方は多いのではないでしょうか?

なお、再建築不可物件に関しては、「絶対に売却することができない!」というわけではありません。実は、物件の状態によっては、不動産投資家などが好んで購入するような場合もあるなど、正しい売却手法を考えれば、手放すことも普通にできるのです。そこでこの記事では、再建築不可物件の基礎知識や、売却を検討した時に素早く買い手を見つけるためのアイデアについて考えてみたいと思います。

そもそも『再建築不可物件』とは?

まずは、どのような物件が再建築不可物件になってしまうのかという、再建築不可物件の定義について簡単に解説しておきます。冒頭でご紹介しているように、再建築不可物件は、建築基準法上の接道義務を果たしていない土地に建てられている物件のことを指しています。こういった物件は、建物をリフォームして再使用することは可能なのですが、建築確認が必要になる新築や増築に関しては行政からの許可が下りないため、更地にしてしまうと再建築できなくなってしまいます。

> 建築基準法上の接道義務について(リンク先のP.48参照)

接道義務とは?

日常生活の中ではあまり耳にすることがありませんが、建物を建築する時には建築基準を守らなければならず、その中で接道義務というものがあります。これについては、建物を建築する際は「建築物の敷地は、原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接していなければならない。」という規定のことを指しています。既存住宅に関しては、この規定を満たしていない場合でも、直ちに罰則などが科せられるわけではないのですが、建物を解体して再建築しようとした場合、再建築が不可とされてしまいます。

この接道義務というものは、防災や安全のため、緊急車両が出入りできるスペースを確保し、消火活動や救助活動がスムーズに行えるようにするということが大きな目的です。つまり、人々が安心して住むことができるようにするための規定で、万一の際の安全を考えられているのです。

なお、接道義務が関係する道路に関しては、建築基準法第四十二条(道路の定義)部分にありますので、確認しておきましょう。

> e-GOV:建築基準法

再建築不可物件が売却しづらい理由は?

それでは、再建築不可物件が、なかなか売却することができない…と言われている理由についても簡単に解説しておきましょう。

買主がローンを組めない

再建築不可物件は、既存の建物をリフォームしてそのまま利用することは認められています。つまり、建物自体が使えなくなるというわけではないのです。しかし、物件としての活用方法については「限定的になってしまう…」と言った感じで、担保価値が低くなってしまいます。

一般的に、金融機関から融資を受ける際は、担保価値の範囲で融資額を決めることになります。つまり、再建築不可物件を購入して、大幅なリフォームをしようと考えている場合でも、担保となる物件の価値が低いため、買主さんが求める金額のローンが組めない可能性が高くなるわけです。

つまり、再建築不可物件の場合、リフォームを前提に物件を購入する方でも、ローンで賄えない部分は現金の拠出を考えている方や、ノンバンクローンなどの高金利での借り入れを受け入れることができる人に限られてしまいます。これが、一つ目の買い手が見つかりにくい理由です。

建て替えができないので、買主のリスクが高い

何度も言っていますが、再建築不可物件は、建て替えすることはできません。したがって、購入する方は、リフォームしながら住むということが前提になるのです。

しかし、ある程度築年数が経過してしまっている物件であれば、リフォームしながら住んでいても、老朽化が急速に進んでしまったり、地震や台風などの天災で一気に倒壊してしまう…などというリスクは建て替えするよりも確実に高くなってしまうでしょう。そして、天災で、住むことができないレベルに被害を受けた場合、それでも再建築することはできないので、買主さんは活用することができない土地を意味なく所有し続けなければならなくなるのです。

このように、「立て替えできない…」ということは、その時点ではなく、将来的なリスクが非常に大きいと考えられてしまい、再建築不可物件の購入が敬遠されてしまう訳です。

再建築不可物件を売却する方法

それでは、再建築不可物件を売却するための手段についても解説していきましょう。再建築不可物件の売却に関しては、「再建築可能にしてから売る」という方法と「再建築不可のまま売る」という大きく2つの方法に分けることができます。ここでは、それぞれの方法についていくつかの手段をご紹介しておきます。

再建築可能にしてから売る方法

再建築不可物件に買い手が付かないのは、やはり老朽化などにより住めなくなった時を考えると、買主のリスクが非常に大きいと思われるからです。裏を返せば「再建築可能に」となると、買主が敬遠してしまう理由が何もなくなる訳ですので、通常の物件と同じように売却することができるようになります。

それでは、再建築可能な物件にするには、どういった手法が考えられるのでしょうか?一般的には、以下のような手段があります。

■セットバックする
土地が接道している道路が、2項道路※1の場合、セットバックすることで再建築可能になります。
建築基準法では「2項道路に接道している土地は、道路中心線からの水平距離2mの線をその道路の境界線とみなす」と規定されているのですが、土地が面している道路の中心から4m後退した部分からが建物を建築することが可能です。このことを明記したうえで再建築可能な物件として売りに出せば買い手が付きやすくなるでしょう。こういった道路中心線からの後退をセットバックと言います。
※1 接道義務の規定ができた時に、既に建築物が建ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定した道
■隣地から購入、もしくは借地する
接道義務は、道路幅員の他にも、道路に接する間口が2m以上という規定もあります。この間口が2m未満になってしまうと、再建築不可物件という扱いになるのです。このような場合には、隣地から土地を購入したり借り入れたりして、間口を広げることで再建築可能にすることができます。隣地の所有者に相談してみると良いでしょう。
■43条但し書き道路の申請をする
建築基準法では、「原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接していなければならない。」と規定されています。しかしこれには但し書きがあり、「ただし、次の基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものは、上記の接道義務を満たさない敷地にも建築することができる。」と規定されています。そしてこれを、43条但し書き道路と呼びます。
この但し書きに関しては、建築基準法上の道路に接していない場合でも、一定の基準に適合し安全を確保することができると認められる場合、その土地は建築可能になるという決まりです。なお、「43条但し書き道路」については、特定行政庁の許可が必要で、申請しても許可が下りない場合もあります。43条但し書き道路の詳細や申請手順は、以下の資料のp.49、p.50をご参照ください。

> 43条但し書き道路について

再建築不可のまま売却する方法

上記のような手段を使って再建築可能にできるのであれば、再建築可能にして売却を目指すのがオススメです。しかし、周辺環境が関わってきますし、必ずしも再建築可能な状態にすることはできません。そのような場合には、以下のような手法で売却するしかないでしょう。

■隣地所有者に売却を持ちかける
再建築不可物件でも高値で買ってもらえる可能性があるのは、隣地所有者の場合が多いです。隣地所有者が増築などを考えている場合、買取を快諾してもらえる可能性もあります。最初から「買い手なんかいない」と諦めるのではなく、まずは声をかけてみてはいかがでしょうか?隣地所有者さんが買取に至らない場合でも、事情を説明すれば、間口を広げるための対策に協力してもらえるようになるかもしれません。
■買取業者に売却する
不動産買取業者は、さまざまな顧客を持っており、特殊な条件の物件でも買取りしてくれる場合が多いです。例えば、不動産投資家の中には、「安価に手に入れることができて、リフォームすれば戸建て賃貸に使える!」と、再建築不可物件を求めているという方もいるのです。不動産買取業者は、独自にそういった買主とのネットワークを持っていますので、再建築不可物件でも何の問題もなく買取りしてくれます。

まとめ

今回は、再建築不可物件の基礎知識と、再建築不可物件の売却を検討した時の対策についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、再建築不可物件は、建築基準法の関係で、建物を解体すると、再度建物を建築することができなくなってしまう土地のことを指しています。リフォームして住み続けるのであれば問題ないのですが、天災などの被害を受けてしまうと、リフォームではどうすることもできなくなってしまう…なんて可能性もあることから、売りに出してもなかなか買い手が付かない物件になってしまうのです。

こういった物件は、「再建築可能」な状態にするか、売り先を工夫するという手法で売却を目指さなければならないのですが、一般の人があれこれ考えてもなかなかスムーズに道筋をたてることは難しいと思います。現在、再建築不可物件の取り扱いに困っている…という方がいれば、お気軽に弊社までおといあわせください。