家が売れない主な原因とその対処策について

今回は、住み替えなどを考えて、現在のマイホームの売却活動を始めたけれど、なかなか思うように買い手が見つからない…といったケースの原因や対処策をご紹介していきましょう。

「マイホームを手に入れる」というのは、誰もが憧れることだと考えられますし、今まで大切に扱ってきたマイホームを売却しようと思った時には、中古だけど買い手はいくらでもいるだろうと安易に考えてしまう方が多いです。しかし、日本の現状を見てみると、そもそも、こういった考え方自体が間違っていると言えるでしょう。というのも、少子高齢化や人口減少が社会問題になっている日本ですから、家を必要とする人は確実に減っていっているという現実があるのです。さらに、このような社会状況の中でも、毎年新たな新築戸建て住宅が約80万戸も建てられており、どんどん『家余り』というような様相が進んでいるのが現状なのです。実際に、総務省が5年ごとに行っている住宅・土地統計調査によると、2013年時点でも全国の空き家総数は820万戸に上っており、総住宅数に占める空き家の件数は13.5%と過去最高を記録していたのです。

つまり、現在の日本では、中古住宅として売りに出したとしても、「なかなか買い手が見つからない…」というような状況は、ある程度当然のこととも考えなければならないのです。そこでこの記事では、大切なマイホームを売りに出した時、「買い手が見つからない…」となってしまう主な原因と、その対処策を簡単にご紹介していきます。なお、家が売れない理由にも「仲介を依頼した不動産会社の売り出し方に問題がある」、「内覧準備など売り手に問題がある」「そもそも家の需要が低い立地」と言った感じに、原因が分けられますので、それぞれの原因ごとに対処策をご紹介します。

参照:平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約

仲介業者の売り出し方に問題がある場合

まずは、仲介を依頼した不動産会社の売り出し方に問題があるというケースです。例えば、不動産ポータルサイトなどに物件の広告を掲載する際、その広告が魅力的に見えず、内覧希望すら入ってこない…なんて状況です。よくある例としては、物件自体の画像情報などが少なくて、スーパーや公園など、周辺施設の情報をたくさん載せているという広告の打ちだし方です。この広告は、買い手がそこに住み始めた時の利便性を伝える目的なのでしょうが、物件情報以上に周辺施設の情報を充実させると、「物件に何か問題があるのか?」と言った疑いの気持ちが生じてしまいますし、そもそも物件の魅力が最大限伝わらない可能性もあるわけです。

このように、仲介業者の売り出し方に問題があるケースは、以下のようなポイントを指摘し、改善していきましょう。

物件の広告情報を見直す

物件広告の内容に問題がある場合、それを見直して魅力的な広告にすることで、内覧者を増やし、売れる可能性を高めることができます。

物件広告というのは、その家の購入を検討するファーストステップになるものです。この内容によって「一度内覧してみたい」となる場合もあれば、魅力が伝わらなければ、内覧にすら来てもらえなくて売却が一向に進まなくなってしまうのです。物件広告で失敗しているケースでは、以下のような失敗パターンが多いので、該当するものがあればそこを見直してみましょう。

■物件の情報よりも周辺施設が中心になっている
家の情報よりも、近所の施設の写真などが多くなっているという場合、部屋や設備の写真を増やしましょう。周辺施設の情報もあることに越したことはないのですが、あくまでも家がメインでなければ魅力的な広告とは言えません。家そのものの写真が少ないと感じるような広告は、いくら周辺施設が整っていても物件に問題があるのではないかと疑われてしまいます。
■写真は掲載しているけど魅力的に撮れていない
物件の写真は、不動産会社の営業マンが撮影して掲載することが多いのですが、中には写真の知識が全くなく、写っている部屋が暗く見えている…なんて場合もあります。このような場合、魅力を伝えなければいけない広告なのに、逆に悪印象を与えてしまうリスクまであるでしょう。物件広告に掲載する写真は、温かみのある空間を演出するため、部屋を明るくしてオシャレに見えるように撮影しましょう。
■周辺情報が少ない
中古住宅の売却は、物件の情報が大切ですが、そればかりを掲載して周辺情報が不足している場合も買い手が見つかりにくくなります。何事にもバランスというものは大切ですので、駅までの距離程度しか掲載していない…という場合は、物件以外のアピールポイントを増やしましょう。例えば、周辺にある生活利便施設や校区、リフォームやリノベーションをしていればその内容などです。

物件価格を見直す

物件の広告に問題点は見つからないのに内覧希望すらない…という場合は、売り出し価格に問題があるかもしれません。こういった場合には、物件の価格を下げることで売却できるかもしれません。

例えば、周辺の競合物件と比較した場合に、明らかに売り出し価格が高すぎる…という場合、広告の詳細すら確認されずに選択肢から外されてしまっていることでしょう。また、相場程度にしていたとしても、周辺にちょうど競合する安い物件が複数あるという場合、金額に魅力を感じて他の物件に人が流れている可能性が高いです。

家の売却は誰もが「できるだけ高く!」という希望を持っていますが、買い手が見つからなければ、下げざるを得ないと考えておきましょう。なお、物件の売り出し価格については、周辺の競合物件の状況などをしっかりと把握してから操作するのがオススメです。例えば、周辺に相場よりもかなり安値で売りに出しているという物件がある場合、あなたの物件を売る場合はその価格に合わせる必要があります。しかし、相場よりも安い価格をつけているのが「何らかの急いで売る理由がある方」という場合、あなたも不要に安値で家を手放すことになってしまうのです。このような場合は、その物件が売れるまで待ってから、相場価格で売り出せるようになるまでしばらく時間を空けた方が得な場合もあります。

媒介契約を見直す

不動産売買における仲介には、一般媒介契約と専任媒介契約があります。そして、一般媒介契約で販売活動を行っている場合で内覧者が少ない…というケースでは、専任媒介契約に変更するのも有効な手段となります。

一般媒介契約とは、売主が複数の不動産会社に仲介を依頼できるという契約で、不動産会社からすれば、コストをかけて販売活動を行っても、他の会社が買い手を見つけてしまうと何の利益も入ってこなくなってしまうのです。そのため、一般媒介契約の物件は優先順位が下がってしまうことになり、積極的に販売活動を行ってもらえなくなるのです。
専任媒介契約は、自分たちが動いている間は、他の業者が取り扱うことはありません。したがって、販売活動に力を入れて売却すれば、きちんと利益が出ますので、積極的に販売活動に動いてくれるわけです。

関連:仲介で家を売る場合に「専任媒介契約」が「一般媒介」より有利と言われる理由って何?

不動産会社を変える

最後は、不動産会社を変更するという対処法です。これは、囲い込みと呼ばれる、売り手も買い手も自社の顧客を見つけるという販売方法を不動産会社がしようとしているため、無駄に時間だけがかかってしまっている状況の可能性があるからです。不動産会社からすれば、売り手も買い手も自社の顧客になれば、仲介手数料を両面から貰うことができます。したがって、自社の利益を追求して、他の不動産会社から物件への問い合わせがあっても、「買い手が見つかった」などと断っているなんて状況が考えられるのです。

囲い込みが疑われる場合、他の不動産会社を通じて自分の物件に内覧希望の問い合わせをしてみましょう。この時に、「先約がある」「既に売れている」などと返答があれば、囲い込みをされています。

内覧はあるけれど成約しない場合

内覧希望はそれなりに入ってきて、内覧はしてもらえるのに成約まで至らない…というケースでは、内覧の準備が上手くできていないことが要因と考えられます。このようなケースでは、以下のような対処を検討してみましょう。

ハウスクリーニングをする

内覧までは至るけれど成約しない…というケースでは、まだその家で生活をしていて、内覧準備が十分にできていない…というケースが多いです。例えば、整理整頓ができていない、水回りのクリーニングが不十分で清潔感が無い…などと言った理由で、買主の購入意欲を下げてしまっているわけです。

こういった時には、しっかりと内覧準備を進めたうえで内覧者を迎え入れるようにしましょう。例えば、そこで生活をしているにしても、不用なものはできるだけ処分orコンテナハウスなどに片付けるといった事をして、家の中をすっきりと見せるというのも一つの手です。
他には、どうしても素人には完全にきれいにできない部分は、プロのハウスクリーニング業者に依頼するという方法です。浴室やキッチン、トイレなどの水回りは、素人の方が掃除しても水垢やカビを取り切れず、それが売却が進まない要因になったりするのです。また、ペットを飼っている、タバコを吸うご家庭などは、プロに消臭作業を依頼するのもオススメです。そこに毎日住んでいる人には気づくことができない異臭というものは必ず存在しますし、ペットやたばこの匂いは嫌う人が多いので、事前にしっかりと対策しておくのがオススメです。

ホームステージングをする

自宅をよりよく見せるために、プロのインテリアコーディネーターなどが家具の配置などを考えて、モデルルーム化するという方法もあります。ただし、ホームステージングはそれなりのコストがかかってしまうものですので、ここまでして売却を目指すぐらいなら、仲介ではなく不動産買取などに出した方が良いかもしれません。

売り出し方も内覧準備もできている場合

家の売却がなかなか進まない…という場合に、販売方法を見直した結果、上述したような売り出し方や内覧準備に関して、特に問題となるような部分はない…という場合、残念ながらそのエリアやあなたの家に需要がないと判断されている可能性があります。エリアの問題であれば、将来的に需要が高まる可能性もあるのですが、家の問題であれば、時間をかけても家の価値は下がっていく一方ですので、正直な話、仲介による売却は諦めた方が良いと思いますよ。

このような場合には、直接不動産会社に家を買取してもらうという『不動産買取』に相談するのがオススメです。不動産買取業者は、手に入れた家をリフォームなどして再販するのが目的ですので、あらかじめリフォームなどの費用を差し引いて査定価格を出します。したがって、買取によって家を手放した場合には、相場価格よりも1~3割程度売却価格が安くなると言われています。

しかし、買取の場合、仲介手数料が必要ない、現金化が早い、売却後の契約不適合責任が免除されるなど、非常に大きなメリットもたくさん存在するのも事実です。仲介に出しても買い手が見つからない…という場合、一度不動産買取業者に相談してみるのもオススメですよ!