不動産売却でよくある失敗事例と後悔をしないための対策

ほとんど人にとって、不動産を売買するという経験は、一生に一度あるかないかと言う行動になります。特に、せっかく頑張って手に入れたマイホームは、非常に大切な資産でもあるわけですので、その不動産の売却を検討した時には、「大切な不動産の売却で絶対に失敗したくない!」と考えることでしょう。

ただその一方で、不動産の売却は専門性の高い知識が必要になる取引でもあることから、大切なマイホームを売却した後に「こんなはずじゃなかったのに…」と後悔してしまうケースも意外に多いと言われています。そこでこの記事では、人生の中でもそう何度もある事ではない不動産の売買で失敗しないため、他の人がどういった失敗をしているのかということをご紹介しておきますので、過去の事例から学べる部分を学んでいきましょう。

よくある不動産売買の失敗事例

それではまず、住み替えでマイホームの売却を検討するなど、一般の方が不動産売買を行った結果、後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまう失敗について、いくつかの事例をご紹介していきましょう。

不動産売買は、不動産会社に仲介してもらうのだし、「失敗は不動産会社のせいでは!」と考えてしまうかもしれませんね。しかし、その不動産会社に仲介を依頼すると決めたのは売主自身ですし、その結果の根本原因は自分にあると考えなければいけませんよ。ここでは、不動産売買でよくある失敗事例をいくつかご紹介しておきますので、あなたが同じ失敗をしないようしっかりと頭に入れておきましょう!

不動産会社選びに失敗!

不動産の売却を成功させるためには、仲介を担当してもらう不動産会社の力量が非常に重要になります。不動産買取を利用する場合以外は、売却を検討している不動産の情報を的確な場所に広告を出し、購入希望者が現れれば、その顧客対応や価格交渉、書類作成など、ほとんどすべての業務を不動産会社が担当することになるわけです。

そのため、売りに出したのになかなか売れない…なんて場合「不動産会社が真面目に動いていないのでは…」と不満を感じるようになり、不動産会社選びに後悔してしまう方がいます。他にも、不動産会社の指示で売却価格を下げで売ったのに、自分の家と似たような条件の家がもっと高く売れたという話を聞き、「自宅も、もっと高値でも買手が付いたのでは?」と後悔してしまうケースも多いです。

不動産会社選びに関する後悔は、以下のようなケースが多いです。

■最初に提示された不動産会社の高額査定を鵜呑みにした
仲介を依頼する場合でも、複数の不動産会社に相談し、まず自分の家がいくらで売れるのか査定を行ってもらいます。そして、この査定額が売り出し価格になるわけですので、より高い査定額を提示してくれる不動産会社に仲介を依頼したくなるものです。しかし、その選択で後悔してしまうケースが非常に多いのです。
不動産会社は、仲介手数料で利益を得る会社ですので、まずは「仲介を依頼してもらう」とならなければ話になりません。そのため、「高く売りたい」と言う売主の心理を逆手に取り、最初に売れもしない高額な査定額を提示して媒介契約だけ結んでしまう訳です。その後、売りに出しても買手が付きませんし「この価格では売れないので値下げしましょう」などと言われ、気付いたときには最初に査定をしてくれた他の企業よりも安値で売却してしまうことになり、後悔してしまう結果になるわけです。
■会社の規模だけで選んでしまった
不動産会社選びをするときには、テレビCMなどでも名前を聞くような大手企業の方が安心できるというイメージがあると思います。しかし、不動産売買においては、必ずしも大手の方がスムーズに売買が進むわけではないので注意が必要です。と言うのも、不動産の仲介を実際に担当するのは大手企業の中の一営業担当者になるのです。そして、中古住宅の営業担当になると、まだ売買経験の浅い新人がつけられるケースが多く、不動産売買における経験も知識も足りなくて、売却がスムーズに進まない…なんてケースも多いのです。さらに、購入希望者が現れても、対応が雑になってしまったり、書類作成などに手間取ったり、手続きが全くスムーズに進まず後悔してしまうケースも多いようです。不動産会社に仲介を依頼する場合、企業が大きいかどうかではなく、自分を担当してくれる人が信頼できるかで判断しましょう。中には、媒介契約を結んでいるのに、売却活動が何も進んでいなかった…なんてケースもあるようですよ。

売却価格について後悔

不動産の取り引きは、非常に大きなお金が動きますが、その場では納得していたものの、後から「もっと高く売れたはずなのに…」と後悔してしまうケースも多いです。

例えば、不動産を売った後に、実は相場よりもかなり安値で売っていたことが分かり、激しく後悔してしまうというパターンですね。「そんなことありえるの?」と思うかもしれませんが、何らかの理由で売り急いでいるという場合、不動産会社に足元を見られてしまい、買いたたかれていた…なんてケースもあるようです。

売却価格に後から後悔してしまうパターンは以下のようなケースが多いです。

■焦って値下げ交渉に応じてしまった
よくあるパターンとしては、購入希望者に「○○万円下げてくれたら購入するのですが…」と価格交渉されてしまい、その交渉に応じてしまうというケースです。不動産の売買は、非常に大きな金額が動く取り引きですし、必ず交渉はされると思っておきましょう。そして、仲介に出したのになかなか内覧希望すら入らなかった…なんてケースでは、「もう購入希望者は現れないのではないか?」などと不安に感じてしまい、契約をまとめることだけを優先して、相手の要望を丸呑みしてしまうなんて方がいるのです。そして、このケースでは後々後悔してしまう場合が多いです。まず覚えておきたいのは、不動産の購入希望者は、「ダメもと」で希望額よりもさらに低い金額を提示して交渉をしてくるものです。一般的に、中古住宅の売値は「希望額よりも高く設定しておく」もので、交渉で実際の売値を決めるものだというイメージがあることから、そのままの金額で購入するような人はいないのです。したがって、値下げに応じるにしても、初めから「これ以下には下げない」と言う下限を決めておかなければ、焦りにより思った以上に値下げして後悔してしまう結果になるわけです。
■欲張り過ぎた
これは、それなりに立地が良い、まだ築浅で状態が良いというような不動産の売却で起きがちです。仲介に出したところ、連続で内覧希望が入り、どの相手もそれなりに好印象を持ってくれていたという場合、「粘ればもっと高く売れるのでは?」という感情が湧いてきてしまうものです。そこで、強気の交渉をしてしまい、なかなか成約に至らず、時間が過ぎて家の価値が下がってしまう…なんてケースもあるのです。木造住宅は、皆さんが考えている以上の速さで価値が低下してしまうもので、粘っている間に築9年から築10年になった場合、市場での相場が大幅に下がってしまうのです。そのため、「去年見てくれた人に売っていれば500万円は高く売れたのに…」と後悔してしまう結果になってしまう訳です。他にも、不動産が良く動くシーズンと動きにくいシーズンが存在していて、そのシーズンがズレてしまい、なかなか売れないうちに価値が下がってしまうなんてケースも考えられます。

その他の失敗事例

不動産の売買では、上記以外にもさまざまな失敗事例が考えられます。これは、「そもそも不動産の売却に慣れている人がいない」と言うのが大きな原因で、以下のようなケースで「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうようです。

■内覧の準備を怠った
仲介に出して、内覧希望が入った時の失敗事例では、せっかく「購入したい」という意思を示してくれたものの、内覧を行ったことで購入の意思が消え失せてしまう結果になるというケースです。これは、思ったよりも劣化が…、間取りを見てみるとイマイチだった…など、建物そのものに問題があるケースも考えられますが、中には内覧準備を全くしていなかったことで、余計に家の劣化が目立ってしまった…なんて場合もあるのです。例えば、内覧当日に換気などを何も行わず、生活臭が残っていて「消臭にお金がかかりそう…」と思わせたり、壁や障子などに穴や傷があるのに放置したまま内覧を受け「家の扱いが悪そうだから見えないところはもっと劣化していそう…」など、購入希望者の意欲を売主が消してしまうケースがあるのです。このような場合、それ以降もなかなか売れず、どんどん家の劣化が進み価値が下がることで、「きちんと準備しておけば良かった」と後悔してしまう訳です。
■家を売ったのにローンが残った…
ローン中の家の売却では「家の売却代金でローンを一括返済しよう」と考えるものですが、想定を下回る金額でしか買い手がつかず後悔してしまうケースもあります。住宅ローンが残っている家の売却は、残債を返済する必要がありますので、売却代金で完済できない場合、手元の資金を使って補填するか、住み替えローンなどを新たに組む必要があります。そのため、家を売ったのに、金銭的負担がさらに大きくなる…なんてことになり、家の売却そのものを後悔してしまう訳です。

不動産売買で後悔しないためには?

ここまでの説明で分かるように、不動産の売買では、そこら中に落とし穴が開いていて、ちょっとした不注意で「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまう結果を招いてしまう恐れがあるのです。それでは、不動産売買における後悔を防ぐ為には、何に注意しておけば良いのでしょうか?

ここでは、不動産の売買で失敗しないためにおさえておきたいいくつかのポイントをご紹介しておきます。

①不動産会社は慎重に選ぶ

まずは、慎重に不動産会社を選ぶというポイントです。上述したように、仲介を依頼した不動産会社選びを失敗した…と後悔してしまうケースが意外に多いのです。

不動産会社選びに失敗してしまう方に多いのが、何社も査定を受けるのが面倒だからと一社にしか査定を依頼しないというケースや、複数の会社に相談はしたけれど「高額な査定を出してくれたから」など、査定額だけで安易に選んだというケースです。
例えば、1社だけに相談した場合、そもそもその不動産会社の査定額が信頼できるのか、知識や顧客を持っているのか判断のしようがないため、満足のいく売却は運に頼るしかありません。より良い不動産会社に出会うためには、面倒ですが、複数の会社と話をして、担当者の人間性も含めて判断するようにしましょう。

また、不動産会社が提示する査定額に関しては、「高値であるかどうか」ではなく「売れる価格なのか?」を慎重に検討すべきです。仲介を依頼する不動産会社の査定額は、そのまま売値になるのではなく、あくまでも売り出し価格の参考となる程度のものなのです。これが不動産買取業者であれば、その価格で売却するわけですので「より高い会社を」と言う選び方で構いません。仲介の場合は、最終的に購入希望者との交渉で売却価格が決まるわけですし、「購入したい!」「内覧してみたい」と思ってもらえるような価格でなければ意味がないのです。
つまり、3社に査定を依頼して、A社が2000万円、B社が2100万円、C社が2800万円と言う査定の場合、普通はC社を選びたいのですが、C社の価格はひとまず契約させるためだけの価格と考えましょう。不動産会社選びは、こういったポイントに注意してしっかりと信頼できる会社を選んでください。

②自分でも相場価格を調べてみる

不動産の査定に関しては、素人が細かく査定しても、正確な価格なんて分からないし、専門家に丸投げだ…と考えている方が多いと思います。もちろん、正確な査定をしようと思えば、専門知識が必要ですので、この考えが全て間違っているとは言いません。

しかし、大切なマイホームを売却するのですから、不動産会社が出す査定額が信頼できるのか判断できる知識は必ず必要になります。また、自分の売却希望額を決める際にも、ある程度の根拠が必要になるはずですよね。そのため、まずは自分自身で家の相場価格を調べてみるという行動が非常に大切になります。近年では、インターネットで調べることで、自分の家と似たような条件の物件がいくらで売りに出ているのか、また成約しているのかを簡単に調べることができます。こういった情報を調べて、「いくらぐらいで売れそうなのか?」を知っておくことで、その後の資金計画などもしっかりと立てられることでしょう。

逆に、この行動をしなければ、不動産会社が提示する価格がまっとうな価格なのかどうかがさっぱりわかりませんし、提示された査定額を鵜呑みにすることしかできません。さらに、最終的に購入希望者に交渉された時、根拠を持って交渉を断ることもできなくなるので、想定外の安値で売ってしまう原因になることでしょう。ちなみに、相場価格を知るというのは、仲介だけでなく買取業者に相談するケースでも大切ですよ。

③最終的な売却価格の下限を決めておく

自分の家の相場価格がある程度わかれば、「最低でも○○万円で売りたい」という下限額が決められます。仲介による売却の場合、不動産会社が提示する査定額はあくまでも売り出し価格で、その価格でそのまま売れるようなことはないと考えておきましょう。

購入希望者は、「安ければ安い方が良い!」と考えているわけですので、必ず値下げ交渉をしてきます。この時に、自分の下限額を決めておかなければ、「本当はその価格でしか売れないのかな?」と不安になってしまい、「売れるならいいか…」と交渉に乗ってしまい後悔してしまう結果になりやすいのです。
意外に重要なポイントですので、ここはおさえておきましょう。

④内覧準備はしっかりと行う

内覧は、購入希望者がその不動産を購入するかしないか最終決断を下すために行うものです。つまり、不動産の売買においては非常に重要な要素になるのです。

それなのに、売主さんの中には、この内覧を軽視している方が非常に多いように思います。家を売却する時でも、住みながら売却する場合などは特に、「まだ生活しているのだから生活感があるのは仕方ないよね!」と考えて、そのまま内覧を受けてしまう方もいます。はっきり言っておきますが、仲介で家を売る場合、そのスタンスだと相当立地が良い築浅物件などでない限り無理だと思いますよ。

内覧時に生活感を感じるというのは、そのまま家に悪印象を感じると言い換えることが出来ますので、どんどん家の評価が下がってしまいます。したがって、住みながら家を売却する場合でも、すぐに使わないような家具はレンタルルームなどに引き上げておく、不用品は内覧の前に捨てる、換気や掃除を徹底的に行うようにしてください。
内覧の準備を行うのと行わないのでは、成約率が信じられないほど変わると思ってください。

まとめ

今回は、不動産の売却に後悔してしまった…と言う方について、何が原因で不動産の売買に失敗したと感じたのかをご紹介してきました。この記事でご紹介したように、ほんの些細な事と感じるようなポイントで、不動産の価格が大幅に下がってしまう恐れがあるのです。当然、売主からすれば「より高く売りたい」という感情があるでしょうし、それが出来なければ取引自体を後悔してしまう結果になるわけです。

ちなみに、仲介による不動産の売却は、不動産会社はあくまでも間に入ってくれるだけで実際に家を購入するのは一般消費者となります。つまり、相手は不動産の素人となりますので、本当は相場価格で売りに出していても、いろいろと難癖をつけて値切ってくるようなことも多いです。そのため、仲介による不動産売却は、そもそも『仲介で売る』という選択をしたことを後悔してしまうような方もいるのです。

不動産買取の場合、不動産会社が直接家を買取するという取引になりますので、信頼できる業者に出会うことができれば、専門知識をかさに着て不当な安値で押し切られることなどはありません。そもそも、不動産の買取は複数の会社に見積もりを取るものですので、どの企業も「買取りできる限界の高値」をつけてくるわけです。つまり、不動産買取という選択をした方が、お得な取引になっていたのに…と言うケースも意外に多いのです。