ゴミ屋敷の売却について。そもそもゴミ屋敷って売却することができるの?

今回は、売却したくてもなかなか買い手を見つけることが難しいと言われている『ゴミ屋敷』の売却について簡単に解説していきたいと思います。

テレビ番組などでも、ゴミ屋敷の特集がされる事もありますし、どういった家がゴミ屋敷と言われるのかは皆さんも理解できると思います。普通に考えれば、使用もしないような不用品をたくさん集めて何になるのか…と考えてしまうものですが、ゴミ屋敷に住んでいる方が何らかのポリシーを持って集めているようですし、場合によっては敷地外にまでゴミが散乱してしまっている…なんてケースもあるようです。このようなゴミ屋敷は、通行の邪魔になってしまったり、悪臭や強風でゴミが飛ばされるなど、さまざまな問題を引き起こしてしまう危険があります。そして、将来的な問題としては、ゴミ屋敷を相続してしまうことになった方が、その家の後始末をしなければいけないということです。

現在の日本は、家余り状態になっていると言われていますし、中古住宅市場にゴミ屋敷を売りに出したとしても、買い手を見つけることは至難の業と言えます。しかし、売れずに所有していれば、それだけで固定資産税などの税金がかかりますし、ゴミが原因で事故でも起ころうものなら、損害賠償を請求されてしまう危険もあるのです。
そこでこの記事では、何らかの理由でゴミ屋敷を所有することになってしまった場合、その物件を売却することができるのかについて解説していきたいと思います。

ゴミ屋敷の売却方法について

一般の方からすれば「家の購入を検討している場合でも、ゴミ屋敷なんて絶対に買わない!」と考えるものでしょう。実際に、できるだけ低コストでマイホームを手に入れたい場合でも、それなりの状態の中古住宅がたくさん市場に出ているわけですので、わざわざゴミ屋敷など購入しようとは考えないのが普通です。

こう考えると、「ゴミ屋敷ってやっぱり売れないのでは…」と思ってしまうことでしょう。しかし、きちんと売却方法を選んだり、手順を踏むことで売却するということは意外に難しくありません。ここではまず、ゴミ屋敷の売却方法をいくつかご紹介しておきます。

ゴミが残っている状態でそのまま売却

ゴミ屋敷の売却を検討した場合、税金や維持管理費のこともありますし、「できるだけ早く売却したい!」と誰もが考えると思います。しかし、上述しているように、状態の良い中古住宅がたくさん市場に出ている中、わざわざゴミ屋敷など購入しようと考えるような人はいないと考えてしまうことでしょう。もちろん、仲介による売却を考えた場合、ゴミが残っている状態のまま売りに出しても買い手が見つかる可能性はないと思っておきましょう。

しかし実は、ゴミ屋敷をできるだけ早く売却したいのであれば「そのままの状態で売る」と言うのが正解なのです。と言うのも、ゴミを処理してから売却しようと思えば、不用品回収業者などを探して、多額の費用をかけて処分するというステップを挟まないといけません。場合によっては、100万円以上の処分費が発生してしまうようなことも考えられますし、できればそのままの状態で売却したいと誰もが考えるでしょう。

こういった時に非常に心強い存在となってくれるのが、不動産買取業者です。不動産買取業者は、家を売却したいと考えている方から直接買取りし、リフォームなどの手を加えて転売することが目的の業者になります。要は転売益を目的に中古住宅の購入を行いますので、ゴミ屋敷以外にも、築年数が古くて…、事故物件で…など、訳ありで仲介では売却が難しいという家でも買取りしてくれるのです。

ここまで説明すれば分かると思いますが、不動産買取業者に相談すれば、ゴミ屋敷だとしても、そのままの状態で査定し、査定価格に納得ができれば、不用な不動産を手放すことが可能です。ちなみに、ゴミ屋敷など、訳あり物件で、再販するためには『ワケ』を無くさなければならないという場合、以下のような計算式で査定価格が産出されます。

買取査定額=通常物件としたときの相場価格-ごみ処理費用-再販のための対策費

不動産買取業者は、ゴミ屋敷を手に入れた場合、ゴミを処理して売却できる状態にして再販をします。もちろん、再販によって利益を出すことが目的になりますので、通常物件を売却するような価格で売ることは難しいのですが、短期間でお荷物物件を売却することができるというメリットが存在します。
この方法であれば、ゴミの処分費を自分の資金から出す必要もありませんので、売却価格は下がってしまうものの、手出しのお金が無くなるという点も非常に大きなメリットになるはずです。さらに、売却後は固定資産税の負担もありませんし、ゴミ屋敷が他人に迷惑をかけてしまわないか…という心理的負担も解消されます。

ゴミ屋敷のような訳あり物件の売却は、不動産買取業者に相談するという手法が最も手っ取り早いです。なお、不動産買取業者にも、得手・不得手がありますので、全ての買取業者がゴミ屋敷に対応できるわけではないので、その点は注意しましょう。

ゴミを処分してから売却

次は、ゴミを自分で処分してから売却するという手法です。ごみの種類のよっては、通常の自治体回収に出すこともできますので、何回かに分けてゴミ出しをするという方法でも構わないでしょう。大型ごみなどに関しても、自治体の粗大ごみ回収であれば、格安で処分することが可能です。

ただし、『ゴミ屋敷』と呼ばれる状態にまでなっている場合、自力でゴミの処分を行うということは現実的ではないと思います。自治体回収日に、ゴミ出しをしたとしても、あまりに大量のゴミを出してしまうと、近隣トラブルに発展してしまう危険もありますので、ゴミ処理業者に回収してもらうという手法が現実的ですね。

ネットで検索すれば、不用品回収業者のHPがたくさん出てきますし、近くにあるごみ回収業者に相談してみると良いでしょう。なお、ゴミ回収業者に相談する場合には、きちんと一般廃棄物処理業の許可を取得している業者に依頼しなければいけません。一般の方にはあまり知られていないのですが、不用品の回収に関しては、自治体の許可が必要で、無許可でごみの回収を行っている業者に依頼してしまうと、費用を支払ったのに、山などに不法投棄されてしまい、その責任があなたのもとに帰ってきてしまう…なんて危険もあるのです。

近年では、不用品回収業界に参入する業者が増えていますが、中には、自治体の許可などを取得せずに営業している悪徳業者もあるので注意してください。

上記のような手法で、綺麗にゴミの処分ができれば、仲介による売却を目指すのも良いかもしれませんね。ただし、一度ゴミ屋敷状態になってしまった家は、さまざまな場所の劣化が進んでいる危険があり、仲介に出しても買い手が見つからない…なんて可能性も高いです。その場合、買取業者に相談すれば売却は可能なのですが、それなら最初から買取業者に頼んでおいた方が良かったと感じてしまうでしょう。

更地にして売却する

3つ目は、住宅として売却するのではなく、建物を解体して更地とした売却するという手段です。上述しているように、近隣から『ゴミ屋敷』と呼ばれるような状態になっている家は、ゴミを綺麗に処分したとしても、建物自体の劣化も想像以上に進んでしまっていて、そのままでは売却できない…となってしまうケースがほとんどです。例えば、壁面が一切見えなくなるほど、不用品が積まれていた…なんて状態であれば、外壁塗装のやり替えなど、家のメンテナンスが放置されていた…と言うケースが考えられますし、その場合、ゴミを処分した結果、雨漏り被害がたくさん発覚する…なんてことも考えられるのです。

つまり、ゴミの処分をしたとしても、建物が存在していることがネックになり、買い手がつかなくなってしまうということです。また、家のメンテナンスができていなかったということは、雨漏りなど、目に見える被害が生じていなくても、見えない場所に瑕疵が存在する可能性があります。この場合、例え買い手が見つかったとしても、後から契約不適合責任を指摘されてしまう危険がどうしても残ってしまう訳ですね。こう言った理由から、ゴミ処理後に専門業者によるホームインスペクションまで受けなくてはいけなくなり、売却までに多額のコストがかかってしまうことになるでしょう。

よって、建物を解体してしまい、更地にして売却すれば、諸々の問題を全て解消したうえで売却が目指せるという訳です。家を解体した際に出てくる廃材については、そのほとんどが産業廃棄物になり、ゴミ屋敷の原因となっている不用品とは処分方法が異なります。上でご紹介したように、ゴミの処分は一般廃棄物処理業の許可が必要になるのですが、多くの解体業者が所有している許可は産業廃棄物処理業です。ただし、中には不用品回収も合わせて行えるように、両方の許可を持っている業者が存在しますので、そういった業者に家の解体を依頼すれば、すべてまとめて受け持ってくれます。

この方法であれば、ゴミの処分と建物の処理を一気にできますので、その後更地として売却すれば良いでしょう。立地によっては、更地の方が価値が高くなる場合も多いので、ゴミ処理と解体にかかる費用と計算してみると良いでしょう。注意が必要なのは、更地にしても買い手が見つかりにくい立地と言う場合、固定資産税が跳ね上がりますので、負担増になってしまいます。また、家の処分のために、多額の自己資金を先出ししなければいけないのも大きなデメリットです。

こう考えると、ゴミ屋敷の処分は不動産買取に出すのが最も賢い方法と考えられるかもしれませんね。

まとめ

今回は、近年増加していると言われているゴミ屋敷の処分方法について、いくつかの手法をご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、ゴミ屋敷は、売却することが非常に難しいと考えなければならないのですが、「絶対に売却はできない!」というわけではなく、正しい手順を踏めば手放すことはさほど難しくはありません。しかし、仲介で売却しようと思えば、ゴミを処分したうえに、建物を売却できるような状態にもっていかなければならないことから、売却活動に入る前に多額の資金が必要になってしまう訳です。そのため、ゴミ屋敷を相続しても、その取扱いに困り放置してしまう…と言うケースが非常に多いのだと思います。

この記事でご紹介したように、不動産買取業者に相談すれば、ゴミが残っている状態でも、そのまま不動産を手放すことが可能です。もちろん、買取業者は再販することで利益を出すことが目的ですので、相場価格よりは安くなりますが、所有しておくだけでコストがかかってしまうお荷物物件が手放せるのであれば、「買取してもらえるだけありがたい!」と考えられるのではないでしょうか。