空き家を相続することになったけど、具体的に何をしていかないといけないのか?

実家を相続したけれど、既に自分の家を購入している…という場合、相続した家の取り扱いに困ってしまう…なんてことが考えられますよね。少子高齢化が進む日本では、年々増加する放置空き家が社会問題になっており、適切な管理が行われていない空き家が存在することで、周辺環境の景観を壊したり、放火などの犯罪リスクや動物が住み着いてしまうことで異臭問題を引き起こすなど、さまざまな問題が指摘されるようになっています。そもそも、一人っ子同士が結婚することになり、結婚後に家を購入したとなれば、それだけで空き家が2軒生じてしまうような時代になっていますし、所有者が適切な管理をしなければこういった問題を解消することは難しいと考えられます。

それでは、実家を相続した場合など、自分がそこに住むことはなく空き家状態になってしまうという場合、その建物の管理とはどのようなことを行っていかなければいけないのでしょうか?この記事では、適切に空き家を管理していくため、皆さんがおさえておきたい基礎知識をご紹介していきます。

空き家の管理方法について

それでは、実家を相続した方などがおさえておきたい、空き家の適切な管理方法について解説していきましょう。「そこに誰も住んでいないのであれば、家も傷まないのでは?」などと考えてしまう方もいますが、実は家というものは、誰も住んでいない方が老朽化が早く進んでしまうと言われており、適切な管理を行っていなければ、数カ月で驚くほどボロボロになってしまうことがあるのです。

そこでまずは、適切な空き家の管理方法についていくつかのポイントをご紹介しておきます。

①家の換気をしっかりとする

人が住んでいない空き家が、急速に老朽化が進むと言われるのは『湿気』が原因だと言われています。

人が暮らしていない家は、窓などが閉め切られているため、通風が全くされずに湿気がどんどん溜まっていってしまいます。そして、湿気が溜まってしまうと、カビの繁殖を招いたり、木材の腐食を招くなど、どんどん家が老朽化していってしまうのです。

こういった家の老朽化を防ぐ為には、定期的に換気を行ってあげることが大切になります。空き家まで足を運んで、窓を全て開放するなどして家の中の空気を入れ替えることで、外に湿気を逃がしてあげることで家を良い状態に保ってあげるわけです。なお、空き家の管理として換気を行う時には、押し入れやクローゼットなども開放し、中にこもった湿気を逃がしてあげることが大切です。

②通水をしておく

空き家の管理では、通水も大切です。これは、水道を使わず放置してしまうと、水道管がサビてきてしまい、水道管の強度が落ちてしまうことで破損してしまう恐れがあるからです。

また、長期間通水をしていなければ、水道管の中に溜まっている水が蒸発してしまうことになります。そうなってしまうと、下水管からの空気が水道管を伝って流れ込んでしまい、家の中に悪臭が広がってしまう恐れがあります。さらに、下水管の中に住み着いている害虫やネズミなどの害獣が家の中に侵入してしまい、家の中がふんだらけになってしまう…なんて恐れもあるのです。

空き家の通水管理に関しては、最低でも1カ月に1回程度は行うように心がけてください。家の中にある水道について、1分間ぐらい水を流しっぱなしにしておきましょう。その時には、水の出が悪くないか、水にサビなどが混じってにごってはいないかなども目視で確認しておくと良いですよ。

③雨漏りが無いか確認する

雨漏りは家の寿命を一気に縮めてしまう非常に重大な問題だと考えましょう。家の売却を考えた時にも、大きな減点ポイントになります。

雨漏りが発生してしまうと、家の中の湿気が高くなってしまいますし、カビの繁殖などを招いてしまう恐れがあります。そして、これを放置してしまうと、いろいろな箇所に水が回ってしまい、柱やその他の木造部分をどんどん腐食させてしまうのです。こういった事から、雨漏りは家の資産価値を一気に低下させる大きな問題と捉えられるわけです。

雨漏りのチェックポイントとしては、室内に目に見えるような水たまりなどが無い場合でも、他の部屋と比べて異常に湿気が高い部屋がある、天井にシミができている、クロス剥がれが生じているなどの症状が出ていないかを家中見て回りましょう。こういった症状がある場合は、どこかで雨漏りが発生している可能性が非常に高いです。雨漏りの厄介なところは、目に見えない位置で誰にも気づかれずに進行してしまうことがあるということですので、慎重に各所を確認して回りましょう。
なお、空き家で雨漏りを発見した時には、自分で対処することは難しいので、専門業者に修理を依頼しましょう。

④掃除

空き家の管理に足を運んだ際には、建物内外の掃除を徹底的に行っておきましょう。室内にホコリが溜まってしまわないように、拭き掃除なども行う必要があります。

なお、空き家の掃除で重要になるのが庭の掃除です。庭がある住宅で、雑草などの手入れを放置してしまうと、害虫の発生や小動物の繁殖、トイレなどに使用されることで悪臭の原因となってしまうことがあります。当然、お隣の住人さんに多大な迷惑をかけてしまうことになるので、近隣住民とのトラブルに発展してしまうこともあるでしょう。

さらに、腰よりも高い位置まで雑草が生え放題になっている…なんて場合、絶好の不法投棄場所に認定されてしまうことがあります。最初は空き缶などを捨てられていただけでも、どんどん廃棄されるゴミがエスカレートし、最終的に家電製品などを放置されてしまう…なんて恐れもあるでしょう。不法投棄されてしまうと、その撤去費を空き家の所有者が出さないといけなくなりますし、さらに不法時されたゴミに放火されてしまう…なんて恐れまであるので、外から見える庭の手入れはしっかりと行っておきましょう。

⑤その他

上記以外には、雨樋や外壁の状態など、建物自体のメンテナンスの必要性を確認しておきましょう。誰も住んでいない空き家だとしても、外壁塗装や屋根の塗装の効果が切れてしまうと、雨漏りを引き起こしてしまう原因になります。

他にも、普段誰も住んでいないことを良いことに、犯罪者の隠れ家や、ホームレスが住み着く…なんて恐れもあるので、防犯上の管理もしっかりと行っておきましょう。ガラスが割られている…なんて場合、犯罪の拠点として使われている恐れもあるので、警察などに相談してみると良いでしょう。

空き家を所有するデメリットとは?

それでは、空き家を所有するデメリットについても簡単にご紹介しておきましょう。不動産は、『資産』となることから、所有していることに対してはデメリットなどないと考えてしまっている方もいます。しかし、資産として扱えるのは、あくまでもしっかりと運用できているような物件のみであり、近年日本国内で問題となっているような放置空き家は、所有しているだけでさまざまなデメリットが存在します。

①税金がかかる

まず一つ目のデメリットとしては、「誰も住んでいない家を持っているだけなのに、多額の税金を課せられていまう…」というデメリットです。

不動産を所有していれば、そこに誰も住んでいなくても、所有者に対して固定資産税が課せられます。固定資産税が「住んでいる家」に課せられるのではなく「毎年1月1日の時点でその不動産を所有しているか?」が課せられるかどうかのポイントになります。つまり、空き家として持っているだけで自動的に固定資産税を支払わなければならないのです。

なお、固定資産税は、他の税金と比較しても、高額になりますので、「住んでいない家になぜこんな大金を…」と困ってしまう方が非常に多いです。

■特定空き家に認定されると固定資産税が6倍に…
実家を相続した場合で、そこに住んでいなくても問答無用で固定資産税を課せられてしまいます。さらに注意が必要なのは、上述したような適切な管理を行わずに空き家を放置した場合、自治体から特定空き家の指定を受けてしまう場合があることです。特定空き家に指定される条件は、以前別記事でご紹介していますが、万一特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の特例措置が受けられなくなり、最大で6倍もの税額になってしまうのです。これは、非常に大きなデメリットですので、注意してください。
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②管理にコストがかかる

空き家は適切な管理を行わなければいけないのですが、管理するにしてもそれなりのコストがかかってしまいます。上述したように、空き家の管理は意外にやらなければいけないことが多く、自分で管理するにしてもコストがかかってしまいます。例えば、遠方に住んでいるという方の場合、交通費もそれなりにかかってしまうことでしょう。さらに、定期的に掃除や通水をしなければいけないので、ライフラインを生かしておくためにも費用がかかります。

自分で管理を行うのは手間がかかると考えた場合、外部に管理を委託することもできるのですが、その場合、概ね月々5,000円~10,000円程度かかってしまいます。例えば、大手の管理会社のサービスの場合、通水や換気などを毎月行うということで、月々10,800円(税込み)ほどになっています。また庭の手入れなどを依頼する場合、月々5,400円(税込み)程度になります。

このように、空き家は所有するだけで多額のコストがかかってしまうというデメリットがあります。

③火災保険が使えない

多くの火災保険は、空き家では加入することができません。もともとも住んでいる状態で加入していた火災保険でも、空き家になってから何らかの問題があった場合、保険金が実際に支払われるというのはまれなようです。

火災保険は、住んでいる時に加入した物を、空き家になってからも継続することは可能です。火災保険会社は、わざわざ住民票をチェックするといったようなことはしませんし、継続中の家が空き家になったからと言っても、住人にそれを伝えられなければ保険会社が気付くことはないのです。そのため、継続的に保険金を支払っておくことはできるわけです。

ただし、ほとんどの火災保険は「空き家は対象外」としていますので、実際に空き家で火災が発生した際に、保険申請しても保険金が支払われない可能性があります。

まとめ

今回は、実家を相続したなど、空き家を所有することになった場合、どのような管理をしていかなければいけないのかについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、空き家を所有することになった場合、さまざま管理をしていかなければいけないのです。さらに、所有しているだけでかなりのコストがかかってしまうことになるという点も理解しておきましょう。

こういった事を考えると、空き家に無駄なコストをかけるぐらいであれば、可能な限り早く売却を目指すのが正解なのではないでしょうか!