不動産買取業者の基礎知識と、失敗しないために知っておきたい選ぶときのポイント!
不動産買取は、ここ数年、不動産の売却方法として非常に注目されるようになっています。一般的に、不動産の売却は、仲介による売却が多いのですが、現金化が早い、内覧対応が必要ない、売却後のリスクがなくなるなどというメリットが注目され、手っ取り早く『買取』で家を手放したいと考える方が多くなっているようです。
ただし、不動産買取という取引手法は、不動産会社に直接家を買い取ってもらうという手法ですので、「不動産のプロと交渉しなければならない!」という点に不安を感じてしまう方も多いです。というのも、不動産の売買に関しては、巨額詐欺事件なども過去に存在しますし「自分の知識がないのを良いことに騙そうとしているのでは…」と言ったうがった見方をしてしまい、適正な価格を提示されているのに、無駄に売却に時間をかけてしまうような方も少なくないのです。
そこでこの記事では、「そもそも不動産買取業者ってどんな人たち?」と疑問に感じてしまう部分がある方に向け、不動産買取業者の基礎知識と、実際に買取を依頼する業者を選ぶときのポイントをご紹介します。
不動産買取業者について
それではまず、不動産買取業者がどういった業者なのかをご紹介していきましょう。不動産会社と言われると、賃貸物件の仲介を行っている業者をイメージする方が多いと思います。これは、街中に賃貸物件の仲介をメインとする不動産会社の店舗がたくさん存在しているからだと思います。
しかし、そもそも不動産会社は、こういった賃貸の仲介のみを行うような業者ではなく、さまざまな業態があり、不動産会社によって専門分野がかなり違ってくるのです。例えば、前述のような賃貸住宅の仲介業務を専門とする業者もあれば、仲介ではなく賃貸の管理業務を専門とするような会社、他にも中古や新築戸建ての売却仲介を専門とする会社など、さまざまなのです。
不動産買取業者も、こういった不動産会社の一種であり、主に中古の戸建て住宅やマンションを買い取り、それをリフォームなどして付加価値をつけて再販することで利益を出していくといった業態になっています。「自宅を売却しよう」と思った時には、まず仲介による売却をイメージする方が多いのですが、仲介は「売主の代わりに販売活動を行い個人の買主を探す」という業務を行う不動産会社になります。仲介業者に家の売却を依頼した場合、不動産のポータルサイトやチラシなど広告を使って、買主を探し、売主とマッチングするのが仲介を担う不動産会社です。
一方、不動産買取業者は、「家を売りたい」と考えている売主の方から直接不動産を買い取り、それに手を加えて再販するといった感じですね。「家が売れる」という結果は一緒ですが、その工程が大きく異なることから、得られるメリットがかなり違ってくると考えておきましょう。
不動産買取業者のメリット
自宅の売却を仲介ではなく、買取業者に依頼する方が年々増加していると言われているのは、それなりのメリットが存在するからです。不動産買取業者の代表的なメリットは以下のような物です。
- 現金化が早い
- 不動産の引き渡し時期の調整が容易
- 売却後の売主責任が免責される
- 仲介手数料が不要
- 内覧の準備や対応が不要
- 近所の人に内緒で家を売れる
この中でも、売り手に非常に大きなメリットと捉えられているのが、取引完了までの速さと、売却後のリスクがなくなるというポイントでしょう。
仲介による不動産売却の場合、仲介業者が販売活動を行い、興味があるという人がいれば、実際に物件を内覧してもらい、それから交渉するという流れになります。そのため、それなりに条件の良い家でも、最低3ヶ月程度は売れるまでに時間を要しますし、引き渡しまでとなると半年程度はかかるものだと言われています。さらに、買い手が見つからないなんてことも多く、販売活動を行っている間に、家の価値がどんどん低下していってしまう訳です。これが買取業者であれば、即座に家の訪問査定を行ってくれ、業者が提示してくる金額に納得ができれば、その場で売買が成立します。そのため、書類の準備などをあらかじめ済ませておけば、最短で3日程度あれば現金化まで完了すると言われるほどなのです。
さらに、個人的に非常に大きなメリットと思うのが、『契約不適合責任』を免除されるというポイントです。この部分は別の記事でご紹介していますので、そちらをご参照ください。
関連:契約不適合責任について!買主が持つ権利と売主が注意しなければならないポイントを押さえておこう!
不動産買取業者の不利な面
不動産買取はさまざまなメリットがある一方、大切なマイホームを売却する方からすれば、決して見逃すことができない不利な面もあります。一般的に、不動産買取に依頼する際のデメリットとして、以下のような点が指摘されています。
- 相場価格よりも買取価格が低くなる
- 買取不可となる物件がある
不動産買取は、基本的に仲介で売却できた場合と比較すると、1~3割程度も売却価格が安くなると考えておきましょう。例えば、市場相場が3,000万円の家であれば、2,100~2700万円が売却価格になるということです。これは、何も買取業者が足元を見ているわけではなく、「買取業者はリフォームなどをして再販する」ことが目的だからです。
市場相場が3,000万円の家をそのままの価格で買取りした場合リフォームしたとしても、それ以上の価格で再販できることは基本ありません。つまり、そのようなことをしてしまうと、買取業者は自分で赤字を増やしていくことになってしまうのです。したがって、買取業者は、買い取った家を相場価格程度で再販するためにいくらぐらいかかるかを計算し、それをあらかじめ差し引いた金額を提示してくるわけです。このカラクリがあることから、仲介よりも売却価格が安くなってしまうという訳です。
なお、不動産買取は、基本的に「どのような家でも買い取ってくれる!」と考えている方が多いと思います。しかし、買取業者にも得手・不得手がありますので、1社の買取業者が何でも買い取るというわけではありません。例えば、事故物件や再建築不可物件などは、それらを専門に取り扱う買取業者を見つけなければ、一般の買取業者には買取りを断られると考えておきましょう。
家の売却を考えた時、以下のような要望がある人は不動産買取業者がオススメです。
- 何らかの理由で早く売りたいと考えている
- 市場に出しても人気がないと考えられる物件
- 他人に知られずに売りたい
買取業者選びのポイントについて
それでは、実際に家の売却を考えた時、買取業者選びに失敗しないために押さえておきたいいくつかのポイントをご紹介しておきます。
①査定価格が高い業者を選ぶ!
不動産買取の場合でも、1社だけの査定で判断するのではなく、最低でも3社程度の買取業者に査定を依頼すると良いでしょう。上述したように、不動産買取業者にも得手・不得手がありますので、提示される査定価格は微妙に違ってくるはずです。
そして、不動産買取業者選びの一つ目のポイントとしては「提示価格が高い業者を選ぶべき」だということです。というのも、不動産買取の場合、「査定価格=買取価格」という意味ですので、あなたにとっては、高い査定価格を提示してくれる方がありがたいわけです。仲介の場合、土壇場になって値下げ交渉をされるのが一般的ですが、買取の場合、査定価格が納得できれば、それで売れば交渉すら必要ありません。
もちろん交渉する場合でも「もう少し高くなりませんか?」という交渉ですので、あなたに損はないのです。
②付帯サービスも確認する
不動産買取業者選びの際は、業者が用意している付帯サービスも確認しておきましょう。よくあるのは、『買取保証』と呼ばれるサービスで、これは、一定期間仲介に出してみて、売れなければ買取しますというものです。つまり、仲介によって高く売ることを試みて、その結果無理なら買い取ってもらうという流れになるので、売り手側からすれば、納得感の強い取引になるのです。
その他にも、不用な家具を残しておいても処分してくれるサービスや、売却後も一定期間は賃貸してくれるというようなサービスがありますので、自分にとって有利な付帯サービスがあれば、売却価格だけに注目するのではなく、付帯サービスを含めて検討すると良いでしょう。
③買取り実績を確認する
これは買取を相談する業者を選ぶときのポイントですね。不動産買取業者は、自社サイトで買取り実績などを掲載していますので、自分が売却しようとしている物件に近い買取り実績があるのかを確認しておくと良いでしょう。
というのも、不動産買取業者は、どのような不動産でも買い取るというわけではなく、「自分たちが再販できる」と考えられる条件の物件しか買取りしないのが一般的です。つまり、あなたの所有物件の条件によっては、わざわざ訪問査定に対応する時間を作ってもそれが無駄になってしまう可能性があるわけです。
他にも、口コミサイトなども確認しておけば、「担当者の対応が悪い」「査定を依頼したら売るように脅された…」と言った悪徳業者に引っかかる危険も低くなると思います。
④提示価格に納得のいく理由を説明してくれる
不動産買取業者は、買取して何らかの手を加えるためのコストをあらかじめ差し引いて査定価格を提示します。当然、買取業者は慈善団体ではありませんし、自社の利益が残るように計算して査定を行うものです。
それでも、優良業者であれば、提示した価格について、なぜその提示額になるのか、売り手がきちんと納得できるように内容を説明してくれるはずです。これが、信用ならない業者ほど「これがギリギリで、赤字になります!」など、表面的な理由で感情に訴えてくるような説明になってしまうのです。
したがって、買取業者から査定価格が提示された場合、ひとまず「もう少し高くならないか?」という交渉は行った方が良いですよ。価格を上げられないにしても、まともな業者であれば、「査定額の根拠」をしっかりと説明してくれるはずです。そして、こういった真面目な対応をしてくれる業者ほど信用ができます。
まとめ
今回は、近年、利用者がどんどん増えていると言われている不動産買取業者の基礎知識についてご紹介してきました。不動産の売却は、仲介で買い手を見つける方が、高値で売却することができると考える方がほとんどだと思います。もちろん。仲介で買い手を見つけることができれば、買取業者が提示する価格よりも確実に高いと思います。
しかし、現在は中古住宅が供給過多になっていると言われており、相当良い条件の家でなければ、仲介に出してもなかなか買い手を見つけることができないのが事実なのです。ちなみに、中古住宅を購入する方も、そのような状況を理解していますので、最終段階になって「リフォーム費用分を値下げするなら買います!」などと、無茶苦茶な交渉をしてくる人までいるようです。
このようなことになれば、最初から買取業者で売っておけば良かった…となりますので、仲介か買取かは慎重に検討するようにしましょう。個人的には、築浅、立地が非常に良いなど、かなり良い条件の戸建て以外は、買取の方がストレスなく売買が完了して良いのではないかと考えています!