親が老人ホームに入る。「親が住まなくなる家は売った方が良いの?」にお答えします!
今回は、親が老人ホームに入ることになり、もともと親が住んでいた家が空き家になるという場合、「空き家として放置するのと売るのではどっちが良いの?」という疑問に答えていきたいと思います。
近年では、東京一極集中という言葉ができているように、もともと住んでいた親元を離れて、親と子が別々の家で暮らしているという状況が普通になっています。そのため、親が年を取って、介護が必要になったなんて場合は、離れて暮らしていることから「介護をしてもらう」という理由もあり、老人ホームに入居させるという決断を下す場合も珍しくありません。
そして、こういった決断をした場合、「親が今まで住んでいた家はどうするのか?」という疑問が同時にわいてくるものです。近年では、サラリーマンの方が不動産投資に手を出すことも多くなっていますし、有効活用できるのであれば、賃貸経営を検討するという場合もあるでしょう。しかし、賃貸経営などを考えない方からすれば、思い出のある家だから「残しておく」ということと、「管理しきれないから売却する」という選択肢で迷ってしまう方が多いのです。
結論から言ってしまいますが、親が老人ホームに入居することになって、もともと住んでいた家が空き家になるのであれば、「入居するタイミングで売却する!」というのがオススメです。なぜかというと、誰も住まない、有効活用もしないという状態で、空き家のまま放置するのであれば、さまざまな面で損をしてしまう可能性が高いからです。さらに、売却してまとまった現金が手に入れば、老人ホームの入居費用や親の医療費などに充てることもできるなど、万が一に備える資金になります。
そこでこの記事では、親が住まなくなる家について、すぐに売却したほうが良いと考えられる理由について解説します。
親が老人ホームに入居するタイミングで家を売る理由
親と離れて暮らしている方であれば、日常生活で親が不便を感じないように、悠々自適なセカンドライフを楽しんでもらいたいなどと考えて、親を老人ホームに入居させるという判断をするケースも多いです。
しかし、このような場合には、もともと親が住んでいた家が『空き家』になってしまい、「自分も思い入れのある家だし、売却するのには少し気が引けるな…」と考えてしまう方が非常に多いのではないでしょうか。しかし、親が老人ホームに入居して、誰も使わなくなるのであれば、今まで住んでいた家はすぐに売却すべきです。
売却せずに放置してしまうと、空き家としてさまざまなリスクを抱えてしまうことになりますし、さらに税金的な面など、コスト的にも損してしまう結果になるのです。そこでここではまず、親が老人ホームに入るタイミングで家を売却すべきと言えるいくつかの理由についてご紹介していきます。
①売却益を有効活用できる
まず一つ目の理由としては、家を売却すれば、まとまったお金を手にすることができますので、それを親の老人ホームの入居費として活用できるといったメリットがあるからです。
老人ホームにもさまざまな形態がありますが、入居するには「居住費・食費・介護サービス費」など、さまざまな費用がかかってしまうものがほとんどです。当然、入居費用が高い施設ほど、入居後は手厚い対応を期待する事ができるはずです。そして、老人ホームの中には、入居一時金として数百万円以上のお金がかかってしまうような施設も珍しくありません。
また、老人ホームに入居するような年齢ですから、突然高額な医療費が必要になる…なんてことも考えられるでしょう。誰も住まなくなった空き家を売却すれば、その売却益を親の医療費や老人ホーム費用に充てることができますし、万一の際の資金として残しておくことも可能です。
空き家のまま残していれば、管理のために費用が出ていくだけですので、入居のタイミングで売却するのがオススメです。
②すぐに売れば、特別控除が受けられる
持ち家を売却する際には、家を取得した時よりも利益が出れば、譲渡所得税が課せられてしまいます。
譲渡所得がマイナスになれば税金は課せられないのですが、売却益が出た場合、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。そして、持ち家を売却す時には、「譲渡所得が3,000万円以下」であれば、税金は課せられないという特例があります。これは『3,000万円の特別控除の特例』などとして有名で、不動産を売却する際には非常に重要です。
注意が必要なのは、この特例を受けられるのは、「住まなくなった日から3年目の12月31日まで」に売却した時という制約が存在しており、親が老人ホームに入居するタイミングで売らずに忘れていたりすると、特例が受けられなくなってしまうのです。こういった理由もあり、特に活用を考えていないのであれば、早期に売却するのがオススメです。
③空き家リスクを心配しなくても良い
親が住んでいた家の売却について「どうしようかな?」と悩むということは、自分は遠く離れた場所で暮らしていて、そこに住むことができないからですよね。つまり、親が老人ホームに入居することになれば、その家は空き家として管理していかなければならなくなります。「空き家なんて放置していれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、適切に管理されていない空き家の場合、さまざまなデメリットやリスクが生じてしまうのです。
一つ目のデメリットとして、空き家として所有しているだけで、各種税金はかかってしまうというものがあります。誰も住んでいない家なのに、固定資産税などは支払わなければいけませんし、ライフラインを生かしたままにしておくのであれば、光熱費もかかります。そして、自分で管理に足を運べない場合、業者などに管理を委託することになり、年間で12万円程度の管理費がかかります。要は、置いておくだけでもかなりのお金が出て行ってしまう訳です。
次に、放置していればしているほど、家の劣化が進み、どんどんその価値が低下してしまうというものです。家は、住んでいるから傷や汚れが付くと思うかもしれませんが、人が住んでいなくて適切な通風などが行われていない方が劣化が早いです。管理などを怠ってしまうと、湿気やホコリなどで一気に家が劣化したり、シロアリが繁殖してしまって、売りたいと思った時には買い手が付かない…なんて状態になることもあります。
そして最後は、適切な管理を怠ってしまい、自治体から『特定空き家』に指定された…という場合、固定資産税が最大6倍に跳ね上がったり、強制執行で解体されてしまい、解体費用を請求されてしまうリスクがあるということです。特定空き家は、以下のような空き家が指定されます。
- 放置した場合に倒壊、保安上危険となる恐れのある状態
- 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図る上で放置することが不適切な状態
住宅の固定資産税は、住宅用地といして利用しているということから「固定資産税の軽減制度」が適用されています。この制度により、建物がある土地の固定資産税は1/6程度になっているのですが、特定空き家に指定されてしまうと、軽減制度の対象外となり、今まで支払っていた税金の約6倍もの税額になってしまいます。
他にも、特定空き家に指定されるほどボロボロな空き家状態であれば、台風などで屋根材が飛ばされて、隣家を傷つけてしまう、通行人に怪我をさせてしまう…なんて危険があり、そのような事故があった場合には、所有者が罰せられたり、損害賠償請求をされてしまう恐れがあります。
こういった事から、「適切に管理するのが難しい」と少しでも思うのであれば、親が老人ホームに入居するタイミングで売却すべきです。
関連記事:空き家の災害対策はしていますか?できていないなら売却したほうが良いかも!
④親の状態によっては売却が難しくなる
最後は、親が認知症になってしまった…なんて場合に、家を売却したくてもなかなか売却できない…なんて状態になってしまうというリスクが生じるからです。
家の売却は、原則として所有者本人が行える行為です。親の所有する家を子が売却する時には、委任状を作成し、子が代理人となって売却するという手法が用いられます。しかし、親が認知症を発症してしまい、判断能力を失ったというケースでは、委任状を作成することができなくなるのです。
このような場合、過去に自分も住んでいた家だから…など関係なく、所有者でないのであれば、血のつながった子供でも簡単に売却することはできません。したがって、親の判断能力があるうちに、家の取り扱いについてはきちんと話し合っておくのがオススメです。特に、親が老人ホームに入居して空き家状態になるなんて場合は、できるだけ早く売却するのがオススメです。
関連記事:認知症になった親が所有者の不動産ってどうやって売却すれば良いの?
まとめ
今回は、親が老人ホームに入居する時に、もともと親が住んでいた家について、入居のタイミングで売却を考えた方が良い理由について解説してきました。親が老人ホームに入るのに合わせて、他の親族が住み始めるという場合であれば、特に問題になるようなことはないのですが、そこに誰も住む予定がなく、空き家になってしまう…というのであれば、入居のタイミングで売却を検討すべきです。
もちろん、家の状態によっては、売りに出してもなかなか買い手が付かない…なんてことも考えられますが、そのような場合でも不動産買取サービスを利用すれば、どのような物件も売却は可能なはずです。老人ホームに入居するタイミングに売却すれば、空き家の管理が必要なくなる、特別控除を活用できるなど、さまざまなメリットが存在しますし、その土地を活用する予定がないのであれば、最も高く売れるのが老人ホームに入居するタイミングなのです。
家は、誰も住まない状態で所有しているだけでもお金がかかってしまうものですので、持っているだけで損ですよ。