築年数が経過した家の売却は、リフォームしてからの方が良いの?
家の売却を検討している方でも、ある程度、築年数が経過した古家の売却の場合、「リフォームしてからでないと売却できないかな?」と考えてしまうことでしょう。そして、リフォームしてそれなりの状態に見せることができれば「高く売却できるから、リフォーム費用は上乗せできるだろ!」と考えてしまうような方がいるのです。
もしあなたが、そのような考えでこの記事にたどり着いたのであれば「リフォームしてから売却しよう!」という考えについて、一度立ち止まってみるのがオススメですよ!というのも、築年数が経過した家については、リフォームをしたからと言って早く・高く売却する事ができるとは限らないのです。
そこでこの記事では、築年数がかなり経過した家について、その家を売却するための『リフォーム』の必要性をご紹介していきたいと思います。
リフォームしたからと早く・高く売れるわけではない!
築年数が経過した家であれば、「早く買い手が付くように」「できるだけ高く売れるように」と考えて、売却前のリフォームを検討する方は多いです。しかし、冒頭でご紹介したように、築年数の経過した家は、リフォームしたからといって必ずしも、早く、もしくは高く売れるわけではないのです。
こういった状況は、中古であれば、中古マンションを選択する方が増えていることが一つの要因だと言われています。財務省の広報誌『ファイナンス』のデータを見てみると、首都圏のマンションの動向では、2001年には新築マンションの契約戸数が9万戸弱だったのに対し、中古マンションは3万戸弱と、1/3程度でした。しかしこれが、2016年になると、中古マンションの成約戸数が新築マンションを上回るようになっているのです。
中古マンション市場では、「リフォームされているのか?」ということはあまり重視されることはなく、購入者は「駅近」などの立地や物件価格の安さを重視する方が多いと言われています。要は、リフォームされて高額になるよりも、安価で購入して必要な箇所だけ購入後にリフォームするといった考えが主流になっているのだと思います。
リフォーム物件を探す人がいないわけではない
注意しておいてほしいのは、中古住宅市場に「リフォーム済み物件を探す人はいない!」と言っているわけではないということです。例えば、フルリフォーム物件などであれば、実際に住むことを考えた場合、新築とそう変わらないような美しさと住みやすさがある場合もあります。また、築年数が経過した家であれば、リフォーム済みの方が内覧時に好印象を与えることは間違いない事実だと思います。要は、リフォームすれば、確実に早く、そして高く売れるわけではないことから、本当に家を売るためにリフォームが必要かを慎重に検討すべきだと言っているのです。
例えば、設備や壁、床などの老朽化が目に見えて分かる…という場合、最低限のリフォームをしておかなければ、買い手が付く可能性はないでしょう。したがって、こういった場合に、売却価格は据え置きになるけど、売却のための必要経費としてリフォームするという考えはありだと思います。
家を売る前にリフォームするメリット・デメリット
それでは、家の売却を検討した場合、築年数が経過しているから…という理由でリフォームすることにどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、デメリット面も合わせてご紹介しておきましょう。
リフォームするメリット
リフォームをして売却に出す場合、そのリフォームにかかる費用に関しては、売主が負担することになります。上述したように、「修繕しなければ買い手を見つけることができない…」という場合は、必要経費として考えるべきですが、そうでない場合は、売主が負担したリフォーム費用を売却価格に上乗せできるかがポイントになります。具体的に言うと、「リフォームしたことで早く買い手が見つかる」「リフォーム費用分を売却価格に上乗せできる」「値下げなしで売れる」などといった想定があれば、そのリフォームに意味があると言えるでしょう。
一般的に、家の売却前にリフォームすることのメリットは、以下のような事だと言われています。
- 内覧時の印象が良くなる
- 購入希望者が「実際に住んだ時」のことをイメージしやすい
築年数が経過した物件へのリフォームは、上述のように購入希望者の後押しになるということがメリットと考えられるでしょう。的確なリフォームができていれば、『早く』『高く』売却できる可能性はあると言えます。その他にも、リフォームをする際には、家の細部をチェックしますので、不具合が見つかればきちんと修理したうえで売却することができます。したがって、売却後に売主責任を問われてしまう…なんてリスクが少なくなります。
リフォームするデメリット
上記のようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- リフォームにかかった費用は売却価格に上乗せできないことがほとんど
- リフォームが原因で売れ残ってしまう可能性がある
- 売却活動が遅れてしまう
家の売却前にリフォームする方の多くは、「リフォームにかかる費用は売却価格に上乗せすれば良い!」と考えて行います。しかし、多くの場合、リフォームにかかった費用を売却価格に上乗せする事ができないのです。そもそも、家の購入基準については、専有部の状態だけでなく、立地や物件価格を重視して探す買主がほとんどです。そのため、もともとの市場相場にリフォーム費用を上乗せしてしまうと、立地に対して高すぎる物件になってしまう恐れがあるのです。もちろん、リフォームしなければ、売却できないような物件に買い手が付くという点はメリットのように思えますが、その場合でも、「売るために数十~数百万円のお金をかける」という意味不明な状況になってしまう場合もあると理解しておきましょう。基本的には、リフォームにかかる費用は、丸々売主負担となってしまうため、慎重に判断したほうが良いですよ。
さらに恐ろしいの、『良かれ』と思って行ったリフォーム工事により、一般的な買主の好みから外れてしまい、内覧までは行くけれど買い手がつかない…なんて状況になることも多いです。さまざまなライフスタイルを持つ人がいる現在ですから、生活のしやすさは人によって全く異なる物です。そのため、あなたが「生活しやすい間取りになるように」と考えて行ったリフォームが、逆に生活しにくいと判断され、買い手が付きにくくなる恐れがあるのです。
最後は、リフォーム工事は、それなりに時間がかかってしまうことですので、当然、売却は遅れてしまうということです。リフォーム中に売却活動なんてできませんし、とにかく早く売りたいと考えている方にとっては、工事にかかる時間がイライラしてしまうものです。
リフォームせずに売却するには?
ここまでの説明で分かるように、築年数の経過した家の売却でも、リフォームして売却を目指すという方法は、メリットよりもデメリット面の方が大きいと考えるべきでしょう。もちろん、リフォームしなければ、売却すらできない…なんて物件の場合、必要経費として考えるべきかもしれませんが、実は築年数が経過した家でも、リフォームなしに『早く』売却することは可能なのです。
一般的に、家の売却は不動産会社に買い手を探してもらうという『仲介』と呼ばれる手法がイメージされると思います。この方法は、「住む家」を探している人に対して家を売るわけですので、古くなった家はリフォームするなりしなければ、なかなか買い手がつかないのも事実です。
しかし家を売る方法は『仲介』だけでなく、不動産業者に直接買い取ってもらう『買取』という手法も存在するのです。不動産会社は、買取した家について、リフォームや建て替えを前提としていますので、現状の家の状態などあまり関係なく、立地条件などをもとに家の査定を行っていきます。したがって、古い家で、リフォームしなければ買い手がつかない…と考えられるような家の場合でも、そのまま何の手を加えることもなく売却が完了するのです。
なお、不動産買取の場合、不動産会社が後から行うリフォーム費用などを差し引いて価格提示が行われるため、市場価格の1~3割程度安くなると言われています。こう聞くと「安くなるなら損なのでは?」と考えてしまう人がいるのですが、自分でリフォームする場合でもその費用は売却価格に上乗せできないのが普通ですし、その場合は手間も時間もかかってしまうのです。
不動産買取の場合であれば、売却さえすれば、後は不動産会社の判断でリフォームなりを行うわけですので、売主側は何の手間もなく短時間で家を現金化する事が可能です。つまり、『早く』ということを考えた場合、不動産買取という選択が最もオススメで、リフォームしなければ買い手が付かないというような物件であれば、さまざまな点を総合的に考えると『買取』が最も高値で売れていると考えられるはずです。