家の売却で最も重要だと言われるのが『内覧』!詳しく見てみると、これほど手間のかかる工程はない!
家の売却を考えた場合、不動産会社に相談して、さまざまな販売活動を行ってもらい、希望者に内覧してもらったうえで、気に入ったら売買契約を結ぶといった流れになるのが一般的です。ただし、家の売却は、口で言うほど簡単な物ではなく、多くの方が自分の家になかなか買い手が付かないことに悩んでしまっているものです。仲介での家の売却であれば、「販売活動は不動産会社が行うし、待っているだけで自分に手間はない」と考えてしまうかもしれませんが、それは大きな間違いですよ。
というのも、仲介による不動産売却では、「そこに住む」ことを想定した買主が家を内覧しに来るわけですので、家の隅々までチェックを行い、何らかの気に入らないポイントを見つけると、値下げ交渉をされてしまったり、購入希望を取り下げられたりして、売却活動がなかなか前に進んでいかないものなのです。
仲介による家の売却は、信頼できる不動産会社に出会うことも大切ですが、購入の決め手になるのは、家の内覧ですし、あなたの努力も非常に重要になるわけです。そこでこの記事では、仲介で家を売却しようと考えた場合、売主にどれだけの労力がかかってしまうのかについてご紹介していきます。
家売却時の内覧で気をつけたいポイント
それではまず、「できるだけ早く」また「できるだけ高く」家が売れるようにするため、売主側が考えておかなければならない内覧準備のポイントをご紹介していきましょう。あなたの家を内覧する方は、中古とはいえ、高いお金を出して「居住する家」を選んでいるわけですので、隅々まで慎重にチェックするものだと考えておかなければいけません。
家の売却を考えた場合でも、「住みながら販売活動を行う」というケースは珍しくないのですが、「まだ住んでいるのだから、内覧時も多少汚れていてもしょうがない…」なんて考えは絶対にNGですよ。ここでは、あなたの希望通りに家の売却を完了させるため、売主がおさえておくべき内覧準備のポイントをご紹介します!
①可能な限り物を減らしておく
内覧時は、可能な限り不要な荷物を無くしておくことが大切です。例えば、子供の遊具や家族の写真立て、しばらくは使用しない家具などがあれば、不用品回収などで処分するか、トランクルームなどを借りて保管しておきましょう。
雑多な物がそこら中にあると、キレイにしているつもりでも、ゴチャゴチャしている…という印象を与えます。さらに、「前の人の生活感がわかる」物が見えると、そこで自分たちが新しく生活を始めるということが、リアルにイメージできなくなる恐れもあります。
まだ住みながら売却活動を進める場合は、必要最低限の家具を残して置き、それ以外は綺麗に片付けて整理整頓された家にしておきましょう。なお、既に引っ越しが完了している場合、完全な空き家状態で内覧してもらうと、逆にイメージがわかなくなりますので、レンタル家具などで装飾しておくのがオススメです。
②クローゼットの中まで見られる
内覧直前に「クローゼットの中に荷物を詰め込めば良い!」などと考えているのなら大間違いです。内覧時には、備え付けのクローゼットがあれば、ほとんどの方は「中を見せてください。」と言ってくるはずです。皆さんも、賃貸住宅の物件探しをする際は、クローゼットの中を確認していた記憶がありませんか?
それなのに、クローゼットの中に無理矢理荷物を詰め込んでいたのでは、「見せてください」というお願いを断らなければならず、購入希望者に悪い印象を与えてしまうことになります。内覧では、買主が「見たい」と希望する場所はすべて見せなければならないと考えておき、包み隠さずに買主に情報共有できる体制を作っておきましょう。
③売却活動中はいつでも内覧対応できるようにする
家の売却に関しては、本来「売主と買主の立場は対等」と言えるのですが、それでも数千万円というお金を支払うというリスクがある分、どうしても買主の意向が優先される傾向になります。そもそも、売主は「その家を売りたい」かもしれませんが、お金を支払う買主からすれば「他にも選択肢がある」状態で、大金を出してまで気に入らないポイントのある家など買いたくないわけです。
これを踏まえておけば分かると思うのですが、内覧や契約などのスケジュールに関しては、買主の都合に合わせるのが基本だということです。たとえ、売主にとって「都合が悪い…」と言った日を提案されたとしても、買主が「その日しかない。」と言えば、それに合わせるしかないと考えておきましょう。スケジュールを自分に合わせてしまい、日を先延ばしにすると、その間に他の物件に決められてしまう…なんてリスクも生じるのです。家の売却活動を始めた場合、売れるまでの数カ月間は、「いつでも内覧可能!」「リスケできない予定は入れない!」ということがポイントです。
④掃除が必要なのは室内だけではない!
家の売却活動を始めた場合、内覧者にできるだけ良い印象を与えられるようにと、室内の清掃は徹底的に行う方がほとんどです。正直、内覧を成功させるには当たり前の行為ですので、特に褒められるようなポイントではないですよ。
しかし、こういった清掃をきちんと行う方でも、意外に見落としてしまうのが庭やベランダなどの清掃です。室内をせっかく綺麗にしたのに、庭の草木が生え放題で、汚く見えてしまう…ベランダの排水口にゴミが詰まっていて、メンテナンスしてないのでは…と不安に感じられてしまうことで買い手が付かなかった…なんてケースも多いのです。
内覧時には、どこを見られても良いように、敷地内は全て清掃しておくようにしましょう。自分では無理…と思う場合は、専門業者に依頼するのも手です。
⑤内覧直前の換気・消臭が大切
別の記事でもご紹介していますが、内覧を成功させるのに非常に重要なのが、換気をして家の中の空気を入れ替え、消臭するということです。
家の中の空気が澱んでいれば、それだけで嫌な印象になってしまうものです。したがって、内覧当日は、1時間前ぐらいから窓を全て開放して換気をしておきましょう。また、その家特有の臭いの消臭も大切です。特にペットを飼っているご家庭などは、プロに消臭を依頼しておいた方が良いですよ。
長年そこに住んでいる人には分かりにくいですが、他人からすれば強烈な臭いを感じてしまう場合もあるのです。家の売却前に臭いが判断できない…という場合、友人にチェックしてもらって「これはマズい…」という場合は専門業者に依頼するのがオススメです。
⑥照明のチェック
家の中には、電球や蛍光灯、LEDなど、さまざまな照明がありますよね。家を売りに出すことを決めた場合、家中の照明をチェックし、可能であれば全て新品に交換しておくのがオススメです。
内覧の際には、光度が高いほど明るいイメージを与えますし、内覧希望者を迎える前から全ての照明をつけておくのがオススメです。実際に、ショールームなどは、すべての部屋の電気が常に点灯していますよね。こうすることで、部屋の雰囲気が明るくなり、イメージも良くなるわけです。
⑦小さなお子様、ペットは預けておく
内覧時は、大人だけで対応するようにしましょう。ペットを飼っている方が、そのまま内覧者を迎えてしまうと、購入希望者に向けて吠えてしまい内覧どころではなくなってしまう…なんて恐れもあります。さらに、「ペットが小さな傷をつけていないか?」と必要以上に細かく確認されてしまう要因にもなります。
小さなお子様に関しても、知らない人が来たことに興奮して騒いでしまい、内覧の邪魔になる…なんて危険があるでしょう。一般的に、内覧の対応は奥様がメインで対応し、旦那様と二人で行うのがオススメです。奥様であれば、家事導線やご近所づきあい、買い物などの日常生活の具体的な説明をすることができますし、信ぴょう性も高いです。
⑧スリッパを用意しておく
内覧希望者の中には、自分でスリッパを用意している方もいるのですが、「お客様を迎える」という立場上、使う・使わないにかかわらず、玄関にスリッパを並べておくのが礼儀です。
なお、何人で内覧に来るのか分かりませんし、多めに用意しておく方が良いですよ。
⑨売る理由は包み隠さずに答える
売る理由を聞かれた場合、包み隠さずに伝えることが、買主に信頼してもらうコツです。
なお、家にシロアリ被害があるといった物理的欠陥や、「昔、この場所が墓地だったとわかったので…」などの心理的欠陥がある場合、告知義務がありますので、隠すことはできません。
⑩断られた場合は『理由』をきちんと聞く
どれだけ丁寧に内覧を行ったとしても、断られてしまうケースもあるのです。その場合は「まぁしょうがないか」と考えなければいけませんが、購入しなかった理由はきちんと聞いておきましょう。不動産会社に「買わなかった理由を聞いてもらえますか?」と依頼すれば相手もきちんと答えてくれるはずです。
大抵の場合は「他に良い物件を見つけたから」などという理由が返ってくるのですが、中には「内覧時の対応が気に入らなかった…」なんて意見もあるかもしれません。耳の痛い話ですが、こういった意見が出た場合には、改善のチャンスでもありますので、どこが悪かったかしっかりと聞くようにしましょう。
内覧準備の優先順位について
ここまでの説明で、家の売却を成功させるための内覧準備は非常に手間のかかる事だということが分かっていただけましたね。正直な話を言うと、上述した以外にも、いくつかやっておきたい準備はあるのですが、ここでは「必ずやっておきたい!」と考えられる代表的な物をご紹介してきました。
なお、上述した内覧準備に関しては、いきなりすべてを完璧に行う…というのもなかなか難しいですし、内覧日までの期限などもあると思いますので、優先順位が高い部分から進めていくのがオススメです。一般的に、住宅の内覧では水回り部分を慎重に確認する方が多いですし、まずはキッチンなどの水回りから初めて、余裕があれば次の箇所へ…と言った感じで準備していきましょう。ここでは、内覧準備の優先順位も簡単にご紹介しておきます。
- 優先順位1位はキッチン・・・コンロやシンクは新品に見えるぐらい磨き上げておきましょう!ニオイ対策も忘れずに!
- 優先順位2位は浴室・洗面所・・・浴室や洗面所はカビや水垢をしっかり落として鏡なども清掃しましょう。なお、内覧時は全体が乾いた状態にしましょう。
- 優先順位3位はトイレ・・・トイレも水垢・カビの清掃を徹底してください。また臭いやホコリの清掃も忘れずに。
- 優先順位4位はリビング・ダイニング・・・整理整頓して、明るく広い印象になるようにしてください。
- 優先順位5位はベランダ・バルコニー・・・物置のように利用する方が多いですが、余計なものは全て撤去してください。床も拭き掃除して、当日は洗濯物などをすべて取り込む。
- 優先順位6位は窓・・・窓ガラスはきちんと日光が入るようにキレイにしておきましょう。網戸の掃除を忘れがちですが、こちらも綺麗にしておきましょう。
- 優先順位7位はクローゼット・ロフト・・・中まで確認されることを想定しておきましょう。不要な物は処分し、整理整頓した状態にしてください。
家の売却を検討した場合、上記のような優先順位で内覧の準備を進めると良いでしょう。
ただし、内覧時にかなり慎重に確認される水回りに関しては、一般の方がどれだけ丁寧に掃除したとしても、汚れを綺麗に落とすことはかなり難しいものです。したがって、「家を早く売却したい」「できるだけ高い評価を受けたい」と考えるのであれば、自分で対処できない部分に関しては、プロの手によってキレイにしてもらうという方法がオススメです。
ハウスクリーニング業者であれば、特殊な清掃用具や薬剤を所有していますので、一般に人では落とせないような汚れもピカピカにしてくれます。さらに、消臭まで行ってくれるような業者も増えていますので、「高く・早く売る」ための準備としてはオススメです。ハウスクリーニング業者は、「トイレだけ」「キッチンだけ」など、スポット的な清掃も受け付けてくれますので、予算などと相談しながらお願いしてみるのも良いかもしれませんね。
内覧が必要ない『買取』がオススメな場合もある!
ここまでの説明で分かるように、家の売却を考えた場合、「不動産会社が販売活動を行ってくれる!」のは間違いない事実ですが、売主さんもかなりの準備が必要で、手間と時間をとられてしまうと覚悟しなければいけません。特に、住みながら家の売却を進める場合、購入希望者に良い印象を与えるために、不用な荷物の処分や一時的に保管しておくためのトランクルームなど、「家を売るためのコスト」もそれなりにかけなければいけないわけです。もちろん、多少のコストをかければ、すぐに買い手が付くというのであれば良いのでしょうが、そういった努力を行ったとしても、なかなか買い手が付かない…なんて状況になることは珍しくないのです。
そこでオススメなのが、不動産会社に直接家を買い取ってもらうという『買取』による家の売却です。一般の方は、家の売却は仲介に出す方法しかないと考える方も多いのですが、実は、近年では手っ取り早く家を売ることができる不動産買取を選択する方が急増しているのです。
不動産買取の場合、買取してくれる不動産会社は「そこに住む」ことは想定せず、リフォームしてから再販することが目的となります。したがって、まだ人が住んでいる状態で、生活感がありありな状況でも、何の問題もなく現地調査して家の査定を行ってくれます。要は、内覧の準備など一切必要とせず、思い立ったその日に連絡して、3日後には家の売却が完了しているなんてことも珍しくないのです。
不動産買取は、「リフォームして再販する」ことが前提ですので、仲介による売却額よりも査定価格が安くなってしまう…点がデメリットとされています。しかし、内覧の準備などに一切の手間がかからず、そこにコストをかける必要がないとなれば、総合的に考えると、不動産買取の方が「高く売れている」と感じる方も多いのです。仲介の場合、売るためにコストをかける必要があったり、売れた後に仲介手数料を支払わなければならなかったりしますので、多少高く売れたとしても、時間と手間の分、大損してしまう…と考える人が増えているのでしょうね。
もちろん、築浅で、売りに出せば何の準備もなしに買い手が付くといった物件であれば、仲介の方がメリットがあるかもしれませんが、大概の条件の家は不動産買取の方が総合的にメリットが大きいように思えます。家の売却を考えている方は、盲目的に『仲介に出す』のではなく。不動産買取という手法も検討してみてはいかがでしょうか。