家を売るにもいくつかの手法が存在する!家を売却する4つの手続きをご紹介!
「家を売る方法」と聞くと、不動産会社に依頼して、広く買い手を探してもらう『仲介』という手段をイメージする方がほとんどだと思います。仲介による家の売却は、良心的な不動産会社と契約することができれば、しっかりと販売活動や内覧の準備などをしてくれますので、いわゆる市場価格で家を売ることが可能だという点が大きなメリットと考えられています。
しかし、不動産を売却する手法にも、いくつかの手続きが存在しており、ここ数年では素早く不動産の現金化ができると『買取』という手法が人気になっているのです。さらに詳しくみていけば、この2種類以外にも家を手放す手法が存在しており、「いったいどれが自分に合っているのか?」と疑問に感じてしまう方も多いことでしょう。
そこでこの記事では、「家を売りたい」と考えた時に存在する、4種類の売却手法について、その概要とメリット・デメリットをご紹介していきます。
不動産売却の王道『仲介』
まずは、家の売却を考えた時に、ほとんどの方が真っ先に思い浮かべる『仲介』と呼ばれる手法です。一般的に「できるだけ高く売りたい!」と考える方にお勧めの手法と言われています。
仲介は、住宅ローンが完済している方、「売却価格>住宅ローン」のように売却金額で完済できる方、もしくは「売却価格<住宅ローン」の状態でも、自己資金でローンを完済できる方が採用できる方法です。
家を売る相手は?
仲介を選んだ場合の売却相手は、一般の消費者になります。不動産会社と媒介契約を結べば、売りたいあなたの家の情報をインターネットの情報サイトに掲載したり、チラシを配布するなどの販売活動を行ってくれます。さまざまな販売活動を行って、買い手となる一般の消費者を集めるというのが仲介による家の売却です。
不動産会社は、家を売りたいあなたと、あなたの家が欲しい消費者を仲介するのが仕事になり、無事売却が成立すれば、不動産会社に『仲介手数料』を支払わなければいけません。なお、家の売却にかかる諸費用に関しては、以下の記事で詳しく紹介しているので、確認しておきましょう。
関連記事:不動産売却にかかる費用って?支払う時期や計算方法などをご紹介!
『仲介』を選ぶメリットは?
仲介による家の売却のメリットは、「家が少しでも高く売れる可能性がある」という点です。これは、直接消費者に売却することになりますので、下で紹介する専門業者に売る場合と比較すれば、専門業者の転売益を考えなくて良いからです。
分かりやすく言うと、最近はやりのフリマアプリを考えれば理解しやすいはずです。一昔前までであれば、古本などは専門業者に売るというのが当たり前でしたね。この場合、古本屋は購入した本を再販するための利益を差し引いて買取りを行います。しかしフリマアプリを利用して自分で消費者に売却する場合は、専門業者の利益を自分のものとして売却することができます。
これが家の売却時と同じで、仲介は直接消費者に売却することから、時間はかかるものの少しでも高く売れる可能性があるという訳です。
『仲介』のデメリットは?
次は、仲介のデメリットです。これに関しては「いつ売れるのか分からない…」「売却の手間がかかる…」という点です。
高額な商品である家は、売りに出せばすぐに買い手が見つかるというようなものではなく、いくら販売活動を行っても、買い手が見つからない…なんてことは珍しくありません。もちろん、魅力的な立地の家、相場よりも安い販売価格をつけたなどであれば、すぐに買い手が現れる可能性もありますが、1年以上たっても買い手が見つからない…なんてこともざらにあるのです。
さらに、家を売却する時には、「買いたいかも…」と考えている方に、実際の家を見てもらう内覧をしてもらう必要があります。この時には、あなたの希望額で買ってもらうため、お掃除をしたりしなければいけないので、想像以上に手間がかかります。特に、住みながら家を売る場合には、日常生活も神経を使うようになりますので、売却完了までストレスが溜まる…なんて声も多いです。
早く売りたい方が選ぶ『買取』
次は、近年人気の手法となっている『買取』という手法についてです。これは、何らかの理由で「できるだけ早く現金化したい!」などという方にお勧めの方法です。
対象は、仲介と同じく、住宅ローンが残っていない人、「売却価格>住宅ローン」のように、売却したらローンを完済できる人、残債よりも売却価格が安くても、自己資金で完済できる人となります。
家を売る相手は?
ここが仲介との大きな違いで、家を売る相手が『不動産会社』になります。不動産会社は、買い取った家をリフォームしたりして、高値で再販することが目的です。
不動産会社が提示した買取価格に納得できれば、その場で売却が完了しますし、非常に素早く取引が進むというのが特徴です。ただし、上述した「消費者に売るか?」「専門業者に売るか?」の問題なのですが、不動産会社は、転売して利益を得ることが目的ですので、市場価格よりも安い値段での買取になります。少しでも高く売りたいのであれば、複数の不動産会社に競わせ、1円でも高い金額をつける業者を見つけることです。
『買取』を選ぶメリットは?
買取のメリットは、すぐに現金化することができるという点です。転勤や離婚など、家の売却に時間をかけられない…などと言った場合は、買取がオススメです。買取りの場合、早ければ数日以内に家の現金化が完了しますし、遅くとも1カ月程度で現金化が終わります。
また、近隣住民に家の売却の事実を知られないということや、専門業者への売却ですので『売主責任』を問われないという点もメリットですね。
関連記事:民法の改正により売主責任が変わった!?契約不適合責任は瑕疵担保責任と何が違うの?
『買取』のデメリットは?
買取のデメリットは、仲介で思い通り売却できた時と比較すれば、売却できる価格が安くなってしまうという点です。一般的に、買取による家の売却は、市場価格よりも1~3割程度安くなると言われています。
これは仲介の部分で紹介した、専門業者とフリマアプリの関係と同じく、専門業者は転売するのが目的ですので、転売のための諸経費をあらかじめ差し引いて買取価格を出すからです。
住宅ローンの返済に困った方は『任意売却』
『任意売却』は、あまり聞いたことがない手法かもしれませんね。これは、「売却価格<住宅ローン」のように、家を売ってもローンが完済しない…という方や、住宅ローンを現金で一括返済ができない…という場合、任意売却という手法でしか家を売ることができません。
任意売却については、ローンの返済が難しくなった…と言った方について、不動産会社が金融機関と交渉して売らせてもらうようにするという方法です。注意が必要なのは、すべての不動産会社が、任意売却を取り扱っているわけではなく、この手法を使いたいのであれば、まず任意売却を取り扱っている不動産会社を探すことがスタートになります。
家を売る相手は?
任意売却は、「不動産会社が金融機関と交渉して売らせてもらうようにする」という工程があるものの、家を売却する流れについては、仲介と同じと考えて良いです。つまり、家を買ってくれる相手は、一般の消費者となります。
『任意売却』のメリットは?
任意売却は、住宅ローンを遅延・滞納していることが必須条件なのですが、ローンの遅延を放置してしまうと、最終的に裁判所が強制的に家を売却することで、金融機関がお金を回収するという動きになります。これが皆さんも耳にしたことがある『競売(けいばい)』というものです・
競売は、オークション形式なのですが、美術品のオークションのようにどんどん金額があがるなんてことはありません。基本的には、仲介の半分程度か、良くて60~70%程度の価格で売ることになり、家の持ち主は何も得しない手法となってしまいます。
これが、任意売却の場合、時間的余裕はあまりないものの、方法的には仲介と同じですので、市場相場に近い価格で売却することが可能です。要は、住宅ローンの返済に困った時に、競売に行き着くことを考えると、高く家が売れるというのがメリットになります。任意売却は、期限がありますので、その辺りは注意しましょう。
『任意売却』のデメリットは?
任意売却のデメリットについては、この手法を選ばなければならない…という時点でデメリットしかないと考えた方が良いです。
上述したように、この方法は、「住宅ローンを遅延・滞納していることが必須条件」ですので、既に信用情報機関のブラックリストに登録されていると考えなければいけません。そうなると、現在使っているクレジットカードも使えなくなりますし、その後、約5年間は新しいローンを組むことができない…という大きなペナルティがあるのです。
つまり、家の売却に関しては『任意売却』を選ばなければならないような事態になる前に、売却したほうが良いと考えましょう。遅延や滞納が発生する前に金融機関に相談すれば、返済期間を延ばして、月々の負担を減らすなどの対処もしてくれる可能性があります。
売却しても済み続けられる?『リースバック』
あまり聞いたことがないかも知ればせんが、家の売却には『リースバック』という手法も存在します。これは、何らかの理由で「現金が欲しい」という状態で、家を売ってもそのまま住み続けたい…という方が採用できる方法です。
リースバックは、不動産会社があなたから家を買い取り、あなたは現金を手に入れることができます。そして、不動産会社から借家としてその家を借りて住み続けるという手法になるのです。
この方法に関しても、住宅ローンが完済している、売却したら完済できる、現金一括で返済できるといった方が選ぶことができます。
家を売る相手は?
この方法は、不動産会社に家を売ることになるのですが、「リースバックを取り扱っている」不動産会社でなければいけません。リースバックを取り扱っていれば、家の現金化をしてもらった後、そのまま毎月の賃料を支払うことで、賃貸として住み続けることができます。
まずは、リースバックを取り扱っている不動産会社を探すことからスタートしましょう。
『リースバック』のメリットは?
リースバックのメリットは、家の売却代金が現金として手に入る上に、住み慣れた家に住み続けることができるという点です。家を売ったことも周囲にバレることは基本的にありませんし、今まで通りの生活を進められるという点が大きなメリットと言えるでしょう。
『リースバック』のデメリットは?
リースバックのデメリットは。売却価格がかなり安くなってしまう点です。一般的に、仲介での売却価格と比較すれば、約50%程度の売却価格になってしまうと言われています。
さらに、一生賃貸として借りていられるというわけではなく、住んでいられる期限が決まっています。一般的には、3年程度が期限となっており、この期限内に家を買い戻さなければ、出ていかなければいけません。
ちなみに、家の買戻しに関しては、売却した時よりも金額が高くなります。リースバックは、短期的にはメリットが大きい取引と思えますが、中長期的に見ると、デメリット面の方が大きくなってしまいます。
まとめ
今回は、「家を売りたい」とお考え中の方に向け、家を売却するための手法についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、家を売るにしても、いくつかの手法が存在しており、どの方法で売却するのかによって得られるメリットが異なるのです。
ただし、リースバックや任意売却という手法に関しては、メリットよりもデメリットの方が大きいと考えられる手法となってしまいますので注意しましょう。特に任意売却は、住宅ローンの遅延が条件ですし、本来は、この手法を選ばなければいけない状態に追い込まれる前に何らかの対処をすべきなのです。
一般的には『仲介』と『買取』で迷うことになるのですが、「高く売りたいなら仲介」「早く売りたいなら買取」という考えが普通だと思っておきましょう。ただし、家の状態や立地によっては、仲介に出しても買い手がつかず、買い手を待っている間に家の価値がさらに下がってしまう…なんてリスクも考えられます。数カ月待ってみて買い手がつかなければ、素早く現金化できる買取の方が結局高く売れていた…なんてこともあるので、その辺りの決断は慎重に行いましょう。