不動産売却における『買取保証』ってなんだ?買取保証のメリットとデメリットをご紹介します

今回は、不動産売却における『買取保証』と呼ばれる仕組みについて簡単にご紹介していきたい思います。

何らかの理由で「家を売りたい!」と考えた場合には、ほとんどの方が不動産会社に買い手を見つけてもらう手法の『仲介』による売却をイメージするかと思います。仲介による家の売却は、「いつ買い手が付くのか分からない…」「内覧の相手をしなければならないなど、意外に手間がかかる…」など、いくつかのデメリットが存在しているのですが、一般消費者に家を売却することになりますので「高く売れる可能性がある」という非常に大きなメリットが存在します。一方で、転勤で家を売る、離婚など家庭の事情で家を売る、住み替え先のスケジュールが決まっているなど、家を可能な限り早く売りたいという方にとっては、『不動産買取』と呼ばれる手法が人気になっています。不動産買取は、直接不動産会社に家を買い取ってもらう手法となるのですが、とにかく現金化が早く、不動産会社から提示される金額にあなたが納得できれば、最短数日で家の現金化が終わるというスピーディーさが特徴です。

そして、『買取保証』というのは、前述の「仲介」と「買取」の良いとこ取りをした仕組みなどと説明されることが多い家の売却方法なのですが、それは本当の事なのでしょうか?ここでは、家の売却時にある買取保証の仕組みとメリット・デメリットを簡単にご紹介します。

『買取保証』の仕組みについて

それではまず、不動産売却における『買取保証』の仕組みについて簡単にご紹介しておきましょう。買取保証は、家の売却を行う際、一定期間は『仲介』による売却を試み、その期間で不動産が売れなかった場合、不動産会社が買取してくれるという保証が付いた売却手法となります。

冒頭でご紹介したように、家の売却方法には、不動産会社に買い手を探してもらう『仲介』と、直接不動産会社に購入してもらう『買取』という手法が存在します。

この両者については、仲介は「家が高く売れる可能性がある」というメリットがあり、買取は「売却額が相場よりも安くなる傾向があるものの、確実に、素早く現金化できる」というメリットがあります。そして、買取保証というのは、最初は仲介による売却を試みて、一定期間販売活動を行ってみても買い手がつかない場合は、不動産会社が責任をもって買取してくれるというものです。

即時売却ができる買取よりは時間がかかる売却手法になるのですが、一定期間「仲介」による販売活動を行うことで「高く売るチャンスがある」というメリットが得られます。そして、買い手がつかない場合でも、不動産会社が責任をもって買い取ってくれますので「確実に売却できる」というメリットも残るのです。
こういった事から、「買取保証」は『仲介』と『買取』の良いとこ取りをした仕組みと言われるのです。

『買取保証』がオススメな人

上の買取保証の仕組みを見れば、どういった人にこの手法が向いているのかよくわかります。買取保証と呼ばれる手法は、家をなるべく高く売りたいと思っているけど、買い手を待っていられる期限が決まっているという方が利用することが多いです。

例えば、転勤が決まって、〇月〇日までに家を売らなければならない、住み替え先が決まっていて、それまでに売却を決めたいなど、家を売るための期限があるという方がオススメです。ただし、買取保証における仲介の期間は約3ヶ月程度が一般的ですので、1カ月以内に売りたい…なんて、極端に期限が短い人にはオススメできません。

『買取保証』のメリット

それでは、買取保証という仕組みが、売り手にとってどのようなメリットが存在するのかを考えてみましょう。「仲介と買取の良いとこ取り」と言われる手法ですので、買取保証ならではのメリットはさまざまあると言われています。
ここでは、代表的な買取保証のメリットをご紹介していきます。

①最終的にいつ売れるのか?いくらで売れるのがわかる

買取保証を付けた場合、つけたタイミングで、仲介で買い手がつかなかった場合の買取日と買取金額が設定されます。したがって、売却活動中から、次に行動の予算計画なども立てる事が可能です。
買取保証がない場合であれば、想定していた価格で家が売れなかったり、いつまで待っても買い手が出てこない…なんてことも考えられます。そのため、売却後の計画など立てようがないわけです。

買取保証があれば、仲介に出す時点で、不動産会社による買取額が提示されていますし、その金額を見込んで住み替えの資金計画を詳細に立てていくことが可能です。買い手がつかなくても、買取日の設定も行われていますので、「いつ売れるのだろう…」「〇万円を下回ったらどうしよう…」などと言った不安を感じることもありません。
仮に仲介期間に売れたとすれば、不動産会社の買取額よりは高いので、困ることは何もありません。

②高く売れる可能性がある

買取保証の仕組みの部分でご紹介しましたが、この制度は仲介による売却をまず試みるわけですので、買取より高い価格で家の売却が期待できるという点がメリットです。

さらに、最低いくらで買い取ってもらえるのかがあらかじめわかっていますので、ある程度、強気の価格をつけて売りに出すなんてこともできるでしょう。買取保証が無ければ、「本当に買い手が付くのだろうか…」「売れないと困るし…」などといった考えが浮かんでしまい、弱気の価格付けになってしまう場合もあるのです。

つまり、買取保証があることで、有利な条件で売却活動を進められるという点がメリットです。

③売主責任を免れれる

これは、仲介期間を過ぎてしまって、不動産会社に直接買取りしてもらうことになった場合のメリットです。通常の不動産買取でも同じですが、買い手が専門業者になることから、引き渡し後に何らかの瑕疵が発見されたとしても、売主責任を免れることができます。仲介による売却の場合、不動産の売却後に何らかの欠陥が見つかった場合、売主がその責任を持たなければならないと決められており、修繕費用を払ったり、最悪の場合契約が破棄されてしまうなどのリスクがあるのです。

不動産会社に直接買取りしてもらう取り引きであれば、こういった売主責任を免れる事ができるのが大きなメリットになります。なお、仲介の期間中に売却できた場合には、売主責任は負わなければいけません。

④仲介手数料がかからない場合もある

これも、仲介期間を過ぎて、不動産会社に売却した場合のメリットです。仲介によって不動産を売却した場合、仲介手数料を不動産会社に支払わなければいけません。例えば、仲介によって3000万円で家が売れた場合、100万円弱の仲介手数料となってしまいます。
買取保証で、不動産会社に買取してもらうことになれば、この費用を節約できますので大きなメリットと言えるでしょう。

『買取保証』のデメリット

それでは最後に、買取保証のデメリットについても簡単にご紹介しておきましょう。

①無駄な時間に感じる

買取保証は、一定期間『仲介』による販売を試みて、売却できなければ、買取してもらえるという手法です。そして、仲介期間に買い手が見つからない場合は、通常の不動産買取と同じく、市場価格よりも安い売却価格となります。

要は、買取に至ってしまうと、無駄な時間をかけただけで、結局「相場よりも安い価格で売るのか…」と余計に損した気分になってしまう方もいるのです。買取保証は、「仲介でも買い手が付く可能性がある」という物件であれば、使う価値があると思いますが、築年数がかなり経過している、立地があまり良くないなど、一般的には買い手が付きにくい…と言われるような条件の場合、素直に買取に出した方が良いと考えられます。
仲介に出した場合、内覧したいという方がいつ出てくるか分かりませんし、最低限の準備はしておかなければいけませんので、それなりに手間がかかってしまいます。

②熱心な売却活動をしてもらえないかも

買取保証において、仲介期間中は、熱心に売却活動を行ってもらえると考えるものですが、実は、熱心に売却活動が行われるとは限りません。買取保証の場合、「不動産会社が買い取る」という着地点があるだけに、最初から買取による売買の完了を目指して、仲介活動にはあまり力を入れない…という不動産会社もあると言われています。

そもそも、不動産会社というのは、仲介活動を行っただけで顧客から費用を頂くことができません。仲介手数料が最終的にもらえると考えるかもしれませんが、それはあくまでも売買が成立した場合に限りお客様から頂くことになり、それで初めて利益が生じるのです。つまり、期間限定の売却活動に力を入れても、買い手がつかなければコストばかりかかってしまうことになり、不動産会社からすれば損になってしまう危険があるのです。

要は、仲介期間は手間やコストをあまりかけずにおいて、相場よりも安い金額で買取りしたほうが自社の利益が多くなると考える会社もあるということです。この見極めは一般の方ではほぼ確実にできませんし、無駄に時間だけかけていることになります。

まとめ

今回は、不動産売却を検討した場合、仲介と買取の良いとこ取りをしていると注目されている買取保証の仕組みをご紹介してきました。

買取保証は、一定期間は仲介による売却を試みて、それで売却できなかった場合には、不動産会社が必ず買取してくれるという仕組みになっています。そのため、仲介期間で売却できれば高値で売れますし、仲介で買い手がつかなくても家の売却自体は必ずできるので「穴が無い売却手法」と考えてしまう方も多いことでしょう。

しかし、買取保証を行う不動産会社の中には、最終的な着地点があることから、仲介期間中の売却活動をほとんど行わないという場合もあると言われています。買取保証を依頼するということは、仲介期間に売れる事が望みでしょうし、どのような売却活動を行ってくれているのかをしっかりと注視しておくべきだと思いますよ。