古い家がなかなか売れない理由って何?売却するための方法も一緒にご紹介します!
今回は、古くなった家がなぜ売却しにくくなるのか、またどうしても手放したいと考えた場合、どうすれば良いのかについて解説していきます。
マイホームの購入は、誰もが憧れることですし「多少古くても売りに出せば買い手はつくでしょ!」と考えている方が多いのではないでしょうか?もちろん、「買い手が付くような状態」で売りに出した場合、あっさりと売却が完了することもあるのですが、少子高齢化が進み人口減少が社会問題になっている現在の日本では、家の売却はそこまで単純な話ではなくなっています。
実際に、ここ数年、誰も住まなくなった空き家が放置され、周辺の景観を壊したり、災害で隣家に被害を及ぼすなんてことが増えていることから、手放したくても手放せない空き家問題が深刻になっています。少し考えてみればわかるのですが、一人っ子同士で結婚してマイホームを購入した場合、どちらの実家も持ち家だとすれば、それだけで2軒の空き家が生じてしまう訳です。現在の日本では、こういった現象がそこら中で起きており、中古住宅がダブついてきていることから、相当条件が良い家でないと仲介に出しても買い手はつかないのです。つい先日、芸能人の松本明子さんが、テレビ番組で空き家になった実家の管理費だけでなんと1600万円ものお金がかかった…なんて話していましたね。このしくじりは、決して他人事ではなく、いつあなたの身に起きてもおかしくないと考えておきましょう。
そこでこの記事では、古い家がなかなか売れない理由と早く売るための対策をご紹介します。
参考:空き家になった実家「手放せず」25年間で維持費1600万円 ようやく売却決断した理由
古い家に買い手が付かない理由
現在、誰も住んでいない実家の売却を考えている方であれば、こういった記事を見ると「実家を手放せないのかな…」と不安になってしまうかもしれませんね。しかし、安心してほしいのは、古い家だから絶対に売れない…と言っているわけではなく、古い家でも売却しようと思えば不可能ではありません。
しかし、築年数がそれほど経過していない住宅と、築40年程度経過した家であれば、前者の方が圧倒的に買い手が付きやすいのは事実なのです。それでは、なぜ古くなった家は買い手が付きにくいものなのでしょうか?ここでは、古家が買取りなどでも売れにくい理由から簡単にご紹介しておきます。
①耐用年数が過ぎているから
古い家に買い手が付かないのは「古いから!」という元も子もない答えになってしまうのですが、それでは「古い」と何がいけないのでしょうか?
実は、家にも耐用年数(寿命)というものが存在しており、これが過ぎてしまっているとその不動産に価値がないと判断されてしまうからなのです。自動車などであれば、走行距離を基準に寿命を測るのですが、10万キロを超える走行距離の中古車は、極端に価格が落ちますよね。これと似たようなもので、耐用年数が過ぎた家は売却が難しくなるのです。
なお、耐用年数は、税務上の資産価値を表す数字であり、築年数がその指標になっています。築年数が経過して、定められた耐用年数(木造なら22年)を超過してしまうと、不動産の価値がなくなっているとみなされ、売却しづらくなるのです。なお、家電製品などの耐用年数と異なり、家は耐用年数を過ぎると、崩れるといったものではありません。
②買い取っても再販で収益が見込めない
不動産買取業者は、売主から買い取った不動産を、リフォームや耐震補強を行って再販して収益を上げていくという業態です。したがって、買い取った家について、再販のために行うリフォームや解体、販売活動に伴う資金を負担しなければいけないのです。
築年数が経過した家であれば、手直しする箇所も多いですし、買い手が付くまでに時間がかかってしまうことになり、再販のための経費がかなり掛かってしまう可能性が高いです。そのため、買取業者は、買い取って再販することを考えた場合、築30年以上を経過していると「収益が出せないのでは…」と考え、買取不可としてしまう可能性が高くなるのです。
築年数が経過した古い家の場合、仲介でも買取でも、買い手を探す工程が最も苦戦すると考えておきましょう。
古い家の定義
上述のように、古い家が売却しづらいというのは、かなり明確な理由があるのです。家というものは、築年数と価格が比例関係にありますので、築年数が経過していけばその価値がどんどん落ちてしまいます。
それでは、築年数の経過が具体的にどれほど家の価値に影響を与えるのかもご紹介しておきましょう。
築20年を超えると「古い家」と言われる
一般的に、「古い家」と認識されるようになるのは、築年数が20年を超えたあたりからだと考えましょう。これは、木造建築が多い日本の住宅について、家の耐用年数が約20年が基準となっているからです。
ただし、近年では戸建てでも鉄筋コンクリート造などの家が増えてきており、構造によって耐用年数にばらつきが生じてきています。つまり、築20年を経過したという条件が、全ての家についての「古い家」の基準とはならないと考えましょう。
ただし中古住宅市場に出す際に、「売れにくくなるのか?」と言った一定の目安にはなると思いますので、築20年は目安として覚えておきましょう。
築40年になると家の市場価値がほぼゼロに
家の構造に関係なく、築年数が40年を超えてくると、どのような家でも市場価値がほぼゼロになると考えてください。現在、不動産の売却を考えている方で、その家が築40年を超えているのであれば、買い手は「古い家」と認識します。
上述しているように、家の価値は築年数が非常に大きな影響を与えるものですので、築年数が20~40年の間になる物件が、多少のばらつきはあるものの、市場価値が非常に低くなっていると考えておきましょう。
古い家は買取でも手放せない?
ここまでの内容を見れば、築年数が経過した古い家は、買取でも手放すことが難しいということがわかると思います。正直な話、築年数が古い、特に40年を経過しているような物件の場合、買取業者に相談しても買取は絶望的だな…と思ってしまった方が多いですよね。
しかし、上でご紹介したように、古い家は絶対に売却できない…というわけではなく、買取自体は可能な場合もあるので、以下のポイントを押さえておきましょう。
買取業者にも得手不得手がある
古い家を手放したいと思った時には、仲介ではなく、買取業者に相談するのが最も効果的な方法と言えます。次項で、仲介で古い家を売るための工夫もご紹介しますが、「売るためにコストをかけなければいけない!」という手段がメインとなりますので、売れなかった時のことを考えると、かなりリスクが大きい勝負になってしまいます。
そうはいっても「買取業者でも買取不可にするって言ったじゃん」と思ってしまった方が多いでしょう。実際に、築30年以上の古い家に関しては、買取不可にしている買取業者も多く、そういった業者に相談した場合、問い合わせの段階で断られてしまう可能性が高いです。
しかし、不動産買取業者にも種類が存在しており、業者ごとに得意としている物件の種類が異なるのです。例えば、一般的にどのような業者も嫌がるような『事故物件』を専門に取り扱う業者もいますし、この記事でご紹介しているような古い家を専門に取り扱っている業者も存在するのです。
つまり、築年数がかなり経過している古い家を買取に出す場合、「どこに相談するのか?」が非常に重要で、業者の買取り実績などを確認し、築30年以上の買取実績を持つ業者に相談すれば、意外にあっさり買取りしてくれる場合が多いと覚えておきましょう。
買取り以外で売却する方法について
それでは最後に、なんとか仲介で不動産を売却したい…と考えている方のため、買取り以外で手放すための工夫もいくつかご紹介しておきます。
①古家付き土地として売却
一つ目は「古家付き土地として売却」という手法です。この手法は、土地を探している人、中古住宅を安く購入し、自分でリフォームしようと考えている人などがターゲットになります。
古家付き土地として売却は、あくまでも「土地として価格をつけている」という売却手法で、建物は付属品と言った扱いになります。そのため、売却後に建物に何らかの問題が生じたとしても、売主責任などは気にしなくても良いというメリットがあります。
なお、買い手が「土地を探している人」という場合、高確率で「建物を解体してくれたら」「解体費用分を差し引いてくれたら」と言った条件が付けられます。したがって、古家付き土地として売却する時は、このようなポイントに注意して売値を検討しましょう。
②リフォームして売却
古い家は、「家の状態が悪い」という理由で買い手が見つからないわけです。したがって、リフォームして家が綺麗に見える状態にすれば、売却できる可能性が高くなるわけですね。
ただし、リフォームは家の見た目はもちろん、設備などの機能面もアップグレードし、家の魅力を上げられることは間違いないのですが、築年数がかなり経過している古い家の場合、リスクも非常に大きな手法となります。というのも、木造住宅の場合、いくらリフォームしたとしても、法定耐用年数を過ぎていれば、買い手も「住んでいれば直すところが多そう…」と考えてしまう訳です。そのため、多額のリフォーム費をかけたとしても、買い手が付かない…という最悪の結果も考えられます。また、家の価値は築年数が重視されますので、リフォームにかけた費用を取り返すことができず、手放せたとしても大損になっている…なんてことも考えられます。
古い家は、安易にリフォームすれば良いと考えない方が良いですよ。
③解体して土地として売る
これが最も手っ取り早い方法ですね。古い家が売却できないのは、その土地に「状態の悪い家が建っている」のが原因です。家を売りたいのに、家が原因で売れないという本末転倒な状態な訳ですね。
したがって、買い手が付かない原因となっている古い家を解体し、土地として売りに出せば、あっさり買い手が見つかるということも多いです。注意が必要なのは、不動産の売却のために、先出で多額のコストがかかってしまうということと、家がなくなれば固定資産税が高くなってしまうので、解体したのに買い手が見つからない…なんてことになると、大きな負担になるということです。
土地自体のニーズが高いという物件であれば、この方法も有効ですが、その場合でも古家付き土地で売りに出して、交渉されたら解体費を出すといった感じの方が賢いかもしれませんね。
まとめ
今回は、古い家の売却が難しい理由について解説してきました。この記事でご紹介したように、築年数が経過した家というのは、市場価値がゼロになっている、購入しても直さなければならない箇所が多いということで、なかなか手放すことができないのが実情です。
しかし冒頭でご紹介したように、空き家を所有しているだけで、その管理に合計1600万円ものコストがかかってしまうということを考えると、0円でも手放してしまった方が得と言えるのが現状です。特に、全国で空き家問題が深刻化していることもあり、空き家の管理に厳しい目が向けられるようになっているので、今後さらに空き家の管理にコストがかかってしまうようになるかもしれません。
不動産は、不用になったその時点で売却するのが、最も高い価値が付くと考え、可能な限り早く手放せるようにするのがオススメですよ!