不動産売却を制約させるには!意外と「売却する理由」が重要になる

今回は、不動産売却を進めるうえで、意外に重要になるポイントについてご紹介します。なお、このポイントが重要になるのは、仲介にて不動産の売却を目指す場合で、不動産買取で家を手放す場合は無視してもらって構いません。

皆さんが中古住宅の購入を考えた場合、どういった点が気になるでしょうか?「自分たちの予算の範囲か?」「要望通りの住宅なのか?」という点は誰でも気にすることだと思うのですが、それ以前に「なぜこの家を手放そうと思ったのか?」という点が気になってしまうという方は多いことでしょう。自分たちが購入してもいいかな…と思うような家ですので、前の持ち主が「なぜ売ろうと思ったのか?」ということは誰もが気になることで、うがった見方をしてしまうような人は「周辺にトラブルになる人がいるのか?」「実事故物件なのでは?」などと、良い条件であればあるほど売りに出ていることを不思議に感じてしまうのが人間というものです。

つまり、家の売却というのは、売却価格や家の綺麗さ、設備の充実度だけでなく、目に見えない感情的なことでブレーキがかかってしまうことがあるのです。こういったブレーキを防ぐためには、誰もが納得する「家を売却する理由」というものを事前に考えておかなければいけないのです。そこでこの記事では、よくある家の売却理由や、ネガティブな売却理由の伝え方について解説します。

よくある家の売却理由について

それではまず、一般的によくあると言われている家の売却理由からご紹介していきましょう。基本的に、当たり障りない理由が多いので、こういった売却理由を参考に、自分たちが家を売却する理由を考えてみましょう。

①家族構成に変化があったから

家を売却する理由で、買い手側にネガティブな印象を与えず「なるほど」と思わせる理由がこれです。実際に、家の買い替え理由としても非常に多い理由で、家族が増えて手狭になった、その逆に子供が独立したことで、部屋が余るから住み替えるというケースは少なくありません。
この理由の場合、住み替え前の家族構成と似た買主であれば、実際に住んだ時の生活イメージを詳しく伝えられるので、交渉も進めやすくなるでしょう。

②自分たちにとって「より良い環境」に住み替えをするから

こちらの理由も、あくまでもライフステージの変化が要因で、物件自体に何らかの問題があるわけではないので、買い手側にもネガティブな印象を与えることはないと思います。
近年、意外に多いのが、子供の入学を機に、学区を変更する目的で住み替えをするというパターンです。住み替えをするご家庭からすると「より良い環境」を求めてなのですが、買い手側からすれば、現状の物件の立地が最適な条件の場合、すんなり売却が進むでしょう。

③相続

日本中で空き家問題が深刻化していると言われているように、相続した家を持て余してしまう…という方は多いです。家を相続した場合、そこに住む・住まないに関わらず、固定資産税や維持管理コストがかかってしまうことになります。
したがって、相続した家に誰も住まないという場合には、手っ取り早く売却してしまおうと考える方も多いです。この理由に関しては、買い手側がネガティブにとるようなことはないと思いますので、家を売る理由にしてもかまいません。

④転勤・転職

これもライフステージの変化が理由ですので、正直に話してもおかしいと思われるようなことはないでしょう。例えば、しばらく転勤はないと思って購入したけど、突然の転勤が決まって、やむを得ず売却をする…なんてことは普通に考えられますよね。転勤を理由に家の売却を行う方の場合、比較的築年数が新しい可能性も高いので、ポジティブな理由になる可能性すらあります。
家の売却は、必ず何らかの理由があるはずですので、買い手側にその理由を聞かれて隠してしまうのは良くありません。隠すということは、「裏に何かあるのでは?」という疑いの気持ちを抱かせてしまうので、双方が納得して家の売買ができるように、売却理由ぐらいは応えるようにしましょう。ポジティブな理由であれば、物件に変な印象を与えるようなことはありません。

⑤家の老朽化

どのような建物でも劣化が進行してしまうものです。そして、築年数が経過して床や壁など、家が古くなってしまった事で住み替えを検討するというケースも少なくないでしょう。
この場合、老朽化の度合いにもよるのですが、そのまま伝えると、買い手の購入意欲は低下してしまうことでしょう。ただし、老朽化を隠して後から雨漏りが…なんてことになると、トラブルに発展しますので、きちんと説明はしなければいけません。

⑥離婚

離婚もライフステージの変化に入るのですが、上述したようなポジティブな印象を与えるようなことはありません。離婚の場合は、家を売却してローンを完済するといった対応をとることが多いです。
この理由については、あまり気にしないという方が多いのですが、中には「縁起が悪い…」と感じて、購入をストップされてしまうなんて可能性もあります。

⑦周辺環境の問題

進学や転職などで通勤・通学に不便になったためと言った理由であれば特に悪印象を与えるようなことはありません。しかし、騒音問題がある…、悪臭問題がある…などと言った理由で売却する場合、その度合いによっては買主の購入意欲を低下させてしまうでしょう。

⑧ご近所トラブル

ご近所さんと揉めてしまった…、揉めてはないけどお隣さんとどうしても合わない…なんて理由で家の売却を決断することもあるでしょう。
この辺りは、他のことを理由にしても良いと思うのですが、近所でも有名なトラブルメーカーがいる…という場合、隠して売却してしまうと、後々のトラブルに発展する可能性があります。

⑨事故物件になった

殺人事件が起きた…自殺が…など、物件内で起こった事故を原因に売却を決めたというケースもあるでしょう。この場合、理由を伝えることで、買い手の購入意欲は大きく下がってしまいますが、事故物件には告知義務がありますので、その理由を隠すことはできないと考えてください。

ネガティブな理由の対応策について

それでは、家の売却理由がネガティブな場合の対策をご紹介していきましょう。家の売却を考えた場合、全てを正直に伝える、伝え方を間違ってしまうと「家が売れなくなってしまう…」という恐れがあります。もちろん、雨漏りしているといった物理的な欠陥や心理的瑕疵があるということを隠すことはできないのですが、「どこまで伝えるのか?」「どういう伝え方にするのか?」については基準のような物は特にありません。
したがって、できるだけネガティブなイメージを与えないような伝え方を心がけるということが非常に大切になるのです。

家の老朽化について

家の老朽化については、基本的に、正直伝えておくべきと考えられます。例えば「シロアリ被害が出た」「雨漏り被害が激しい」などの問題を伝えないという対応をしてしまうと、後から売主責任を問われてしまうことになります。こういった、明らかな劣化に関しては、正直にその状態をお伝えするとともに、改善策を一緒に伝えると良いでしょう。劣化があったとしても、それをきちんと修繕できるということがわかれば、買い手は安心するものです。

また、上述のような明らかな劣化がないという場合、売却する理由が古くなったからというのは良くありません。「古くなったので買い換えます」と正直に言ってしまうと、「悪い箇所がたくさんあるのでは?」と疑われてしまいますので、こういった売却理由の場合は、他の無難な理由を伝える方が良いです。

立地の問題について

立地の問題で売却を決めたという場合で、「家の近くに嫌悪施設がある」「夜に騒音がひどい」などという問題は、精神的な影響を及ぼす「心理的瑕疵」に該当します。つまり、これを隠して売却した場合、後から売主責任を問われてしまう恐れがあるので、必ず正直に伝えましょう。

立地の問題に関しては、「自分が勤めている会社からは」交通の便が悪い、免許を持っていないから買い物が大変など、個人差があるような問題もあります。このような場合は、わざわざ「立地の問題」と説明しなくても構わないので、他の無難な理由を伝えておきましょう。

ちなみに、ご近所トラブルが原因という場合は、トラブルを引き起こす隣人が地域で有名なトラブルメーカーという場合以外は、個人の問題ですので、わざわざ伝える必要はありません。人間ですし、合う合わないがありますので、次の人はうまくやっていける可能性もあるからです。

事故物件は必ず告知しないといけない

物件内で殺人や自殺など、事故が発生した…という場合、それを隠して売却することはできないと考えてください。事故物件は、賃貸住宅でも告知義務がありますし、売買の場合は告知義務の範囲も広くなると考えられます。

事故物件の告知義務については、以前別の記事でご紹介していますので、以下をご参照ください。

関連記事:不動産売却における告知義務!告知すべき瑕疵とはどのようなものがある?

まとめ

今回は、仲介による不動産売却の場合、高確率で質問されることになる「家を売る理由」についてご紹介してきました。家の売却を決めたという方であれば、誰でも必ずそれなりの理由が存在するはずです。そして中古住宅を購入するという方は、自分が買っても良いと思うような家を売るのは「なぜ?」ということが気になるものです。したがって、仲介の場合は、ほぼ確実に「なんで売ろうと思ったのですか?」という質問を受けると考え、何らかの無難な理由を考えておきましょう。

なお、不動産買取によって家を手放す場合には、こういった質問を受けることは基本ありません。買取業者は、手に入れた家をそのまま転売するのではなく、自分たちでリフォームなどして高値で再販するのが前提になっていますので、売却時の家にどんな問題があるのかは基本的に関係ないわけです。したがって、買取の場合は、提示価格に納得できるか?だけで話が進み、素早く売買が成立する点がメリットです。