不動産売却でよくある詐欺手口をご紹介!騙されないために、よく使用される手口を知っておこう

不動産の売買は、非常に大きなお金が動く取り引きになることから、悪意を持って近づいてくる詐欺業者も少なくないと考えておかなければいけません。テレビのニュースなどでも、不動産取引に関する巨額詐欺事件が取り上げられることもありますが、金額が小さなものを含めると、もっと多くの被害者が存在すると考えておいた方が良いでしょう。

したがって、不動産の売却を検討した時には、「詐欺を働く人もいる」ということを念頭において、詐欺被害に遭わないためには、どういった点に注意しておくべきなのかを知識として持っておかなければならないと考えてください。この記事では、不動産売買時によくある詐欺手口をご紹介します。

不動産に関する詐欺は珍しい事ではない!

不動産の取り引きは、非常に大きなお金が動くことになりますので、トラブルに発展してしまうことも珍しくありません。実際に、平成31年3月に国民生活センターが公表したデータでは、2018年における投資用マンションに関わるトラブルの相談は、なんと1350件にも上っているのです。相談内容としては、深夜までしつこく勧誘されてしまい、根負けしてマンションの購入申込書にサインをしてしまった…など、さまざまな相談内容があるそうです。

なお、このような強引な勧誘によるトラブルに関しては、消費者センターなどに申し出て、しかるべき対処をすれば解決できることもあります。しかし、不動産の取り引きに関しては、売主側の知識が不足していることで、悪意を持った業者の詐欺手口に気付くことができないまま被害に遭ってしまっているケースも少なくありません。そして、「騙された!」と気付いたときには、既に取り返しのつかない状況になっていた…と言ったケースも珍しくないので、何より「騙されない」ための知識を持っておくことが大切になるのです。
不動産売買に関する詐欺に関しては、「家を持っていない私は関係ない!」と考えて何も調べない方も多いのですが、将来的にあなたが相続するはずだった実家を親が騙さされて失ってしまう…など、決して他人事ではないと考えておいた方が良いです。したがって、将来自分にも起こり得る、近くで起こるかもしれないという認識の元、きちんと対策を考えておきましょう。

参照:国民生活センター「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!

不動産売買におけるよくある詐欺手口

それでは、不動産売買において、よく見られる詐欺手口の具体例をいくつかご紹介していきましょう。どういった手口があるのかを知っておけば、騙される前に「危険かも…」と気付けるかもしれませんので、ぜひ知識として持っておきましょう。

①相場より安い価格を提示される

一つ目の手口は、相場よりも安く価格をつけられるというケースです。不動産の価格は、専門知識を持った方が査定を行うもので、一般の人では正確な査定価格を出すことが非常に難しいです。そのため、売却を考えた際には、不動産会社に査定を行ってもらうというのが一般的です。一般の人からすれば、不動産会社は専門知識を持ったプロですので、その業者が提示してきた査定額は「間違いないものだ」と考え、そのまま信じてしまう訳です。しかし、中には、悪意を持って安い査定額を提示してくるというケースもあるのです。

このケースは、買主が不動産会社の知人や親族などの場合で、できるだけ安価に不動産を買わせる目的で、売主にとって不当に安い査定額を提示してくるわけです。

②不当な手数料を請求してくる

不動産の売買を不動産会社に依頼した場合、成約時に成功報酬として手数料を支払わなければいけません。皆さんもご存知だと思うのですが、不動産会社に仲介を依頼した場合の、仲介手数料などが代表的なものです。この仲介手数料については、宅建業法によって「売買価格×3%+6万円+消費税」という上限が定められており、さらに、売主からの要望によらず広告費などを別途徴収することはできないことになっています。

ただし、不動産売却時に測量などが必要になった時には、測量費などが別途かかるケースがあります。こういった場合、不動産会社以外の土地家屋調査士などに手数料を支払うことになるのですが、この場合は上述した宅建業法の仲介手数料の規制にはかかりません。そして、悪質な業者の場合、不動産会社と調査士が裏でつながっていて、不当に高額な測量費を徴収したりすることがあります。さらに、このケースでは、手数料を支払った後に行方をくらましてしまう…と言った詐欺事件まで発生しています。

③不動産登記を勝手に書き換えられる

不動産売却を行った時には、代金を受け取る事と引き換えにして、権利書(登記識別情報)などの書類を渡して各種手続きを進めるのが一般的です。しかし、悪質な詐欺手口の場合、売却代金のやりとりの前に、登記変更に必要な書類を受け取り、勝手に登記の書き換えを行ってしまう…という事例も存在しています。

これは、明らかな詐欺なのですが、不動産の所有を第三者に主張するためには「登記されている」ということが非常に大切ですし、勝手に登記を書き換えされてしまっていては、その不動産の所有を証明するのが難しくなり、取り戻すことが容易ではなくなります。実際に、泣き寝入りしなくてはいけなくなった…というケースもあるようです。

④売却と同時に新しい不動産を買わせる

このケースには、いくつかの詐欺手口があるのですが、頻発している手口としては原野商法で購入した土地をターゲットにするというパターンです。

原野商法は、1980年代ごろに流行した商法で、実際にはほとんど価値のない原野や山林などの土地を「将来価格が高騰する」などと、ウソの情報を伝えて購入させるという手法です。そして、土地を購入したのは良いものの、実際に土地価格が高騰するようなことはなく、価値がない土地ですので、手放すことも難しいため、利用価値がない土地だけが残ってしまう訳です。この商法が流行した当時は、バブルだったということもあり、「土地は買えば値上がりする!」と考えている方が多く、かなりの被害者が出たと言われています。

そして、このように過去に原野商法で被害に遭った土地の所有者に対して、利用価値のない土地を高値で買い取りますなどと提案し、それと同時に別の土地の購入を提案するわけです。土地は所有しているだけで、固定資産税などの税金が発生していますし、節税対策などと声をかけ、購入費用は税金の処理が完了すれば返金するなどと偽りの情報を伝え、購入させるといった手口になるようです。土地の所有者からすれば、利用価値のない土地ですので、さっさと手放したいと考えてこの話に乗ってしまう訳ですね。最近では、このような原野商法に引っかかった方が二次被害に遭っているケースが増えていると言われています。

⑤使えない小切手で決済しようとする

これも分かりやすい詐欺手口です。不動産売却時の購入代金を小切手で支払われ、後でその小切手を現金化しようとした際に、現金化できなくて「騙された…」と気付くケースです。このタイプの詐欺手口では、売主が詐欺に気付いたときには、買主と連絡が取れなくなってしまっていて、泣き寝入りするしかない…という状況になることがほとんどです。

※買主側の時も注意

上述したように、不動産売却時には、さまざまな悪意を持ったが人が近づいてくる危険があるので注意してください。なお、あなたが買い主になる際にも、さまざまな詐欺手法が存在しますので、以下で紹介する手口は念のため頭に入れておきましょう。

■原野商法
原野商法は、上述したように、価値のない土地を「今後値上がりする」などとウソの情報を伝えて購入させる手口です。
■手付金詐欺
不動産売買契約時に手付金を支払うと、その後、音信不通となってしまい、不動産が実際には手に入らないという状況になる詐欺です。もちろん支払った手付金も帰ってきません。
■二重譲渡詐欺
売主が複数の買主と不動産の売買契約を締結してしまうという手口です。この手口では、当事者間で契約の正当性を主張することができるのですが、土地の所有権に関しては登記されているかどうかが重要です。二重譲渡詐欺に引っかかった結果、自分に所有権がないケースの場合、売主は音信不通になっていると思いますし、もう一人の買主に何を言っても無駄です。できることと言えば、売主に裁判を起こすくらいですが、不動産は手に入らない、支払ったお金も帰ってこないというケースになるパターンがほとんどです。何を言われても、登記のないまま決済を済ませるようなことはしてはいけないと覚えておきましょう。

まとめ

今回は、不動産売却時によくある詐欺手口についてご紹介してきました。こういった詐欺に関しては、「自分は詐欺に引っかかるわけがない」と考えている方が多いのですが、実は、そういった方こそ詐欺に引っかかりやすいと考えておいた方が良いですよ。というのも、「自分は騙されやすい」と考えている方は、大きなお金が動く取り引きを行う際には、慎重に行動するようになりますので、小さな悪意にも気づくことができるのです。しかし、「自分は騙されない!」と思っている方は、意外に業者の言いなりになってしまい、最後まで詐欺にあっていることに気付けない…というケースが多いのです。

こういった詐欺に引っかからないようにするためには、どういった手口があるのかを知っておくことが意外に重要です。手口を知識として持っていれば、手続きの順序の違いなどにもしっかりと気付くことができ「この取引は危険だな」と判断できるようになるはずです。