いらない土地は持っているだけで損をする!売る?寄付?いらない土地の処分方法とは?

今回は、いらない土地を処分するための方法について解説していきたいと思います。「いらない土地」と聞くと、少し違和感を持ってしまうような方もいるかもしれませんね。そもそも『土地』というものは、自分の財産でもあるわけですし、たくさんの土地を持っている人は、それだけでお金持ちだ…というイメージを持ってしまうような方も少なくありません。

しかし、土地というものは、「辺鄙な場所に存在している」「農地にしか使えない…」など、その詳細を見てみると、人によっては全く役に立たないというような場合も考えられ、活用のしようがない土地であれば、税金や管理の手間がかかる分、デメリットしかない…と判断されてしまう訳です。

「それなら売ればいいじゃん!」と考えた方が多いのでしょうが、そもそも自分がいらない…持っているだけで損をする…などと考えるような土地が、そう簡単に売れると思うでしょうか?当然、売りに出したとしても、何年も買い手が付かず、その間はずっと税金を支払って支出ばかりだ…なんてことになるのです。
そこでこの記事では、持っているだけでデメリットだ…と考えるような、いらない土地に関して、その土地を処分するためにはどうすれば良いのかについて解説していきたいと思います。

いない土地を持っている場合のデメリットは?

土地というものは、「いつか何かに活用できるかもしれない」と考えて所有している方もいますが、手放したいけれど買い手が付かない…ということで、土地を所有していることが負担になってしまっている…という方も存在します。冒頭でご紹介したように、土地の中には、活用することが非常に難しい場合も珍しくなく、そのような役に立たない土地はデメリットの方が大きくなってしまうのです。

なお、自分がいらないと考えていて買い手も付かない土地なら放棄してしまえば良いのでは…と考えるかもしれませんが、そう簡単に土地の所有権を放棄することもできないわけです。実は、民法上には、土地の放棄に関する規定が存在しておらず、「放棄に関する法律が制定されていない」という理由から所有者が勝手に放棄できない…という考えになっています。そのため、所有者が不要だと考えるような土地でも、手放すには寄付や売却という手段をとらなければならず、その土地を受け取ってくれる人がいなければ「土地を手放す」という行為が成立しないのです。

ちなみに、日本の国土なのだから国が引き取れば良いと思うかもしれませんが、国に返すにしても「国の許可」が必要です。このように、手放したくてもなかなか手放せないのが『土地』であり、何にも活用できない土地を所有していると、以下のようなデメリットが存在するのです。

税金の支払いが…

一つ目のデメリットは、土地を所有していれば、税金がかかる…というものです。土地は、持っているだけで固定資産税がかかります。この税金は、土地を利用していようがいまいが関係なしに支払わなければいけません。

固定資産税は、その土地の評価額に税率をかけて算出するのですが、田舎の土地であれば評価がそこまで高くないため、そこまで高額な税金にはならない可能性もあります。しかし、無駄に広い…という場合は、負担額も大きくなりますし、何の建物も建っていない更地の場合、減額の特例を受けられないことから、それなりの税額を支払わなければいけません。
なお、農地であれば、固定資産税が安くなると聞いたことがあると思うのですが、これは農地として使用していなければ意味がありません。農地であれば、宅地よりも税金が安くなるのですが、耕作し続けていなければ、農地とは言えませんし、耕作をしているなら「いらない…」とまではなりませんよね。
いずれにせよ、どのような土地でも、所有していれば、固定資産税の支払いが必要ですので、「いらない土地なのにお金を支払う」という点が大きなデメリットです。

管理の手間がかかる…

いらない土地だからと言って、放置しておくのはいけません。土地の管理は所有者の義務ですので、何の管理もせずに放置していて、その土地で何か問題があるとその責任をとらなければならなくなります。

例えば、雑草が生え放題で、誰でも立ち入ることができるような空地のまま放置していた場合、そこを不法投棄の場所として使用されてしまう恐れがあります。その場合、ゴミの処分に係る費用は土地の所有者が捻出しなければならなくなります。最悪の場合、不法投棄されたゴミに放火され、周辺にまで延焼して被害を出した…なんてことになると、その火事の責任を土地の管理を怠った所有者が問われてしまう訳です。

土地を所有している人には、その土地を適切に管理するという責任が生じますので、定期的に確認したり、雑草の処理などの管理の手間がかかります。これを怠ると、最悪の場合、損害賠償や住民同士のトラブルに発展してしまい、想像以上の出費になってしまう恐れがあります。

将来的には子供の負担になる…

いらない土地を所有し続けてしまうと、あなただけの問題ではなく、子供の代にも負担をかけてしまう恐れがあります。

例えば、いらない土地を所有したままあなたが亡くなった場合、子供はその土地の分の相続税を支払わなければいけません(放棄すれば、その他の財産も全て放棄になります)。そして、相続後はいらない土地の固定資産税を子供が支払っていくわけです。
あなたの代で「使い道がなくて持っているだけで困ってしまうような土地」は、子供に託したとしても、使い道はなく負担にしかならないでしょう。したがって、子供の負担にならないようにするため、なるべくあなたの代で処分するようにしましょう。

いない土地を処分する方法

それでは、いらない土地をどうすれば処分できるのかについて考えていきまましょう。相続する前に「いらない土地だ…」と思ったのであれば、相続放棄をするという方法も考えられますが、この場合、その他の財産も全て放棄しなければいけませんし、相続放棄がいつでも行えるものだとは考えない方が良いですよ。

これ以外の方法となると、「売却する」「寄付する」「所有を続ける」というのが現実的な選択肢になりますね。ここでは、いらない土地の処分方法として考えられるいくつかの方法について解説していきたいと思います。

売却方法を考える

まずは「売却する」という方面から考えていきましょう。「いらない土地…」と考えながら長年所有を続けているという場合、一度売りに出したものの買い手が付かず、しょうがなく所有しているということも考えられます。このような方は、今一度『売り方』をしっかりと検討してみることからスタートしてみても良いかもしれませんね。

例えば、以前売却を試みた際、普通に不動産会社に仲介を依頼し、「古家付き土地」などとして売りに出していたというのであれば、「古い建物が建っているから買い手が付かなかった…」「不動産会社の販売力が無かった…」なんてことも考えられます。また、単純に時期が悪くて買い手が付きにくかったなんてこともあるでしょう。

したがって、こういった場合には、建物を解体して更地にしてから売りに出してみる、販売力がある不動産会社を慎重に探してみるなんて方法でもう一度売却を試みるのも手です。他にも、そもそも、仲介という売却方法を試みるのではなく『不動産買取という選択をする』というのも一つの手です。不動産買取は、一般消費者に向けて販売活動を行うのではなく、不動産会社に直接土地を買ってもらうという手法となるため、古い家が建っている…などという状況でも、問題なく買取りしてくれるのです。特に現在は、不動産買取をメインにしている不動産会社も増えていますし、数年前に買い手が付かなかった…なんて物件でも買取りなら手放す事が可能かもしれませんよ。

広い土地なら分筆(ぶんぴつ)登記してみる

土地は「大きい方が売れやすい」と思いがちですが、広すぎる土地はなかなか買い手が付かないという状況になってしまいがちです。個人の買い手のことを考えてみると、無駄に広い土地になると、固定資産税が嵩んでしまいますし「もう少し狭かったら買うのに…」と考えている方がいてもおかしくないのです。

こういった場合、「分筆登記」と呼ばれる、土地を分ける登記をしてみるのがオススメです。その土地の周辺の戸建て住宅の広さを調べてみて、最も需要のありそうな面積に分けて売りに出すと、あっさりと買い手が付くことも考えられますよ。

自治体に寄付する

次は「自治体に寄付」という方法です。「無料で寄付するなら誰でも受け取ってくれる」と考えてしまいがちですが、そうでもないのが難しいところです。

自治体からすれば、土地を引き取ってしまうと、その土地から得られるはずの固定資産税がなくなるということですから、固定資産税以上のメリットでもない限り、引き取ることなどしないわけです。自治体に土地を寄付する場合には、「寄付採納申請」というものを行い、各自治体が設けている「土地を引き受ける基準」を満たしているか判断を行います。
自治体への寄付を考えた時には、土地に関する情報がわかる書類や写真などを用意して、役所に行ってみましょう。相談すれば必ず引き取ってくれるというわけではありませんが、引き取ってもらうことができれば、税金の支払いも管理の手間もなくなります。

法人に寄付する

自治体がダメだった場合、法人に寄付するという方法が考えられます。なお、法人と言っても、一般の会社ではなく、社団法人やNPO法人などであれば寄付を受け付けてくれる可能性も考えられます。

法人であれば、あなたがいらないと思っているような土地でも何らかの利用価値があるかもしれません。例えば、土地が広すぎて個人では活用のしようが無い…なんて場合、法人なら保養所を建てるなどの選択肢もあるでしょう。さらに、個人に譲渡する場合は税金がかかるのですが、法人なら経費ですので、そこも気にしなくても良いです。

こういった事から、法人に寄付するということも考えてみましょう。もちろん、法人だからと言って、簡単に土地を引き受けてくれるようなことはないですよ。

個人に譲渡する

あなたが「いらない…」と思っているような土地ですから、その土地を欲しがる個人などいないのでは…と考えてしまいますよね。しかし、お隣さんであれば、自分の敷地が増えるということを利点に感じて、譲渡に応じてくれる可能性もあるでしょう。まずはお隣さんに声をかけてみましょう。

なお、個人に土地を譲渡する場合、相手方は贈与税を支払わなければならない可能性があります。あまりに多額の税額になると話にならないでしょうし、その辺りを調べてから話を持ち掛けてみるのも良いのではないでしょうか。

空き家バンクに登録する

これは登録すれば、すぐに土地を手放すことができるといったものではありません。

最近では、空き家の増加が社会問題になっていることもあり、土地を探している人の目に空き家の情報が触れやすくなるように、自治体などが「空き家バンク」というものを運営している場合があります。

基本的に登録するだけなら無料ですので、こういったものに登録しておくのがオススメですよ。あなたがいらないと思っているからと言って、すべての人にとって不要というわけではありませんし、意外と早く引き取り手が見つかる可能性もあります。

> 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ

まとめ

今回は、なかなか手放すことができない「いらない土地」の処分方法についてご紹介してきました。多くの方は、「土地は財産」というイメージがあることから、世の中に「いらない」と思われている土地があることに驚いてしまった…という方もいるかもしれませんね。

しかし、土地というものは、所有しているだけで固定資産税が課せられてしまいますし、その土地を適切に管理していく責任も負わなければいけないのです。そのため、もともと親が住んでいた土地を相続した時など、自分は既に遠い場所に引っ越していて、「使い道がない…」なんて場合も珍しくないのです。特に、少子高齢化が進む日本では、今後も空き家がどんどん増えていくと予想されており、「いらない土地の取り扱い」に困ってしまう…という方も増えていくと考えられます。

いくらいらない土地とはいえ、できれば『売却』を目指したいというのが本音でしょうし、そういった方は不動産買取業者に連絡してみるのがオススメです。仲介による売却は、「そこに居住する」ということを前提に家を探していますし、あなたがいらない…と考えるような土地はなかなか買い手が付きにくいものです。買い手が付かなければ、それだけ税金や管理コストが嵩んでしまう訳ですので、素早く取引が進む買取の方が結果的に得をするなんてことも多いのです。不動産買取は、そこにそのまま住むのではなく、リフォームや建て替えなど、「売れる状態にしてから」再販しますので、普通の人が「いらない」と思うような物件でも普通に買い取ってくれる場合が多いです。

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