住まなくなった家の取り扱い。家は「売るか貸すか」どっちが得になるの?それぞれのメリット・デメリットをご紹介
誰にとっても『家』というものは、非常に大切な資産になるものです。多額のコストをかけて理想が詰まったマイホームを手に入れた方であれば、一生大切に住んでいこうと考えるものだと思います。
しかし、そのような大切な家だとしても、転勤や家庭環境の変化などによって住まなくなってしまう…なんてことも考えられます。他にも、親などが住んでいた実家を相続することになったけど、自分は遠方に住んでいることから、誰も住まない家になる…なんてことも考えられるでしょう。
それでは、このような「誰も住まない家」が手元にあった場合、その扱いはどうすれば良いのでしょうか?最近では、空き家にして放置していた場合、固定資産税が高くなってしまうなど維持コストがかなり掛かってしまうことから「売るか?」「貸すか?」で迷ってしまう方が少なく無いのです。それでは、この2つの選択肢であれば、自分にとってどちらがお得になるのかとても気になりますよね。
もちろん、どちらの選択肢も一長一短ですので、慎重に判断しなければいけない問題です。そこでこの記事では、誰も住まない家について「売る」と「貸す」という選択肢、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
「売るか貸すか」の判断基準はどこ?
転勤などを理由に、現在住んでいる家に住まなくなった場合、誰でも「売却する?」「貸す?」という選択肢で迷ってしまうものだと思います。もちろん、時間をかけて理想の家が出来上がるようにいろいろ頑張ったわけですので、心情的には「売りたくない…」と考えてしまうものだと思うのですが、家は所有しているだけでさまざまなコストがかかってしまう訳ですので、空き家にして放置しておくなんて選択肢は絶対にやめた方が良いです。
ここではまず、住まない家ができた時、「売却がオススメの場合」と「貸すのがオススメの場合」について、それぞれの条件を簡単に考えてみたいと思います。
売却がオススメの場合
まずは、「売却がオススメ」という条件についてです。これについては、何らかの理由で住まない家ができたとして、その家に「今後住む予定が一切ない」というのであれば、売ることを第一優先に考えるべきだと思います。
というのも、家というものは、築年数が経過していないほど高く売れるというのが基本となりますので、住まなくなったタイミングで即座に現金化したほうが、より多くのお金が手に入る可能性があるからです。したがって、引っ越した後の生活を考えて「手元にそれなりの現金が欲しい」と考えるのであれば、可能な限り早く売却できるように動くべきでしょう。
「賃貸でもお金は入るのでは?」と考えるかもしれませんが、毎月の家賃収入があったとしても、家の維持費や管理会社への委託料など、さまざまな出費もありますので、手元にはそこまでのお金は残らないのです。また、賃貸に出したとしても、借り手がつかなければ、収入はありませんし、固定資産税などの諸経費ばかり出て行ってしまう…なんてことになるわけです。ちなみに、住宅ローンが残っている家であれば、賃貸に出す前にさまざまな手続きも必要になりますし、面倒な手間も意外に多いです。
こういった事情から、以下のような考えを持っている方は、「売却がオススメ」と考えておきましょう。
- その後の生活のため、まとまった現金が欲しい人
- 維持管理などの手間が嫌だな…と感じる人
- 将来的にも、その家に住む予定が全くない人
貸すのがオススメの場合
それでは、「貸す方が良い」と言える条件についてです。これについては、「転勤の期間が決まっている」など、将来的には、現在の家に戻ってきて再び住む予定があるという場合です。他にも、「長年住んだ家で、愛着があるから絶対に売りたくない…」「老後は田舎で暮らしたいから、相続した家を残しておきたい」なんて方も、一時的に賃貸に出すのがオススメかもしれませんね。
ただし、「貸すのがオススメ」といっても、借りたいと言ってくれる人がいなければ賃貸は成立しないということを忘れてはいけません。要は、『貸す』という選択肢を選べるのは、ある程度賃貸需要のある都市部など、人口の多いエリアであるとか、田舎でも特別に利便性が良いなどのエリアに限られると考えた方が良いです。賃貸需要が高いエリアであれば、退去されたとしてもすぐに次の入居希望者が見つけられることになるため、安定した家賃収入を期待することができます。
また、場所によっては地価が上がることも考えられますので、家賃収入を得ながら様子見し、地価が上がったタイミングでより高値で売却するなんてことも可能です。一般的に、「貸す」という選択肢がオススメなのは、以下のような方です。
- 賃貸に出せば、すぐに借り手が付きそうな家を持っている人
- 何らかの理由で、絶対にその家を売りたくないと考えている人
- 短期間(数年)で戻ってくる予定の人
家を売却する場合のメリットとデメリット
それではここからは、それぞれの選択肢におけるメリットとデメリットをご紹介していきましょう。まずは、「家を売却する」選択肢を選んだ方のメリット・デメリットです。
家を売るメリット
まずは、売却を選んだことで得られるメリットです。一般的に、以下のようなメリットが考えられます。
- まとまった現金が手に入る
最もわかりやすいメリットは「売却代金」という大きなお金が手に入るということです。これにより、住宅ローンを完済したり、引っ越し先で家を買う費用に活用したりできます。なお、まだ建てたばかり…などといった場合、「売るのがもったいない…」という心理が働きますが、築年数が浅ければそれだけ高く売れますので、そこまで損ではないと思います。 - その後の手間やコストの心配がない
売却してしまえば、その後は家の管理や維持コストがなくなります。これは大きなメリットです。賃貸する場合、全てを管理会社に任せることはできるのですが、管理費などのお金はかかりますし、確定申告など、賃貸経営に関する別の手間が生じます。こういった後々の手間が一切なくなるのは、考えている以上に大きなメリットですよ。
家を売るデメリット
一方で、家を売却する場合にも、いくつかのデメリットが存在します。
- 大切な家を手放すことになる
せっかく手に入れた思い入れのある家を手放すことに抵抗感を感じる方は多いです。しかし、売却するということは、当然、そこに戻りたくても戻れなくなります。 - 家を売るのに費用がかかる場合がある
ローンがまだ残っている家などであれば、ローンを完済して抵当権を抹消しなければいけません。家の売却金でローンが完済できれば問題ありませんが、完済できない場合は、自己資金から費用を出さなければならない…なんて事態になるのです。この場合「家もなくなる…お金も出ていく…」というダブルパンチですので、かなりのデメリットですね。
家を貸す場合のメリットとデメリット
次は、家は手放さず、第三者に貸すという選択肢のメリットとデメリットです。数年後に戻ってくる予定の方などであれば、一時的に賃貸に出すという選択肢をする方も多いです。
家を貸すメリット
家を貸す場合に考えられるメリットは、主に以下の2つです。
- 家賃収入が得られる
まずは、きちんと借り手が付けば、家賃収入が得られるという非常に大きなメリットが考えられます。委託費がかかるものの、家の維持管理や入居者の対応などを管理会社に任せてしまえば、不労所得が得られるということですので、生活が安定しますね。 - 家を手放さなくても良い
次は、「家を手放さなくても良い」というメリットです。転勤の期間が決まっているなどという場合、決まった期間だけ貸し出す「定期借家契約」にしておけば、転勤終了後に自分たちで再度住むことができるようになります。賃貸の期間を定めない「普通借家契約」にしてしまうと、自分たちが住みたくても、現在の入居者の権利の方が強くなるため、出て行ってもらえない…なんてトラブルが考えられるので注意してください。
家を貸すデメリット
最後に、家を貸すという選択肢のデメリットについても簡単にご紹介しておきましょう。
- 空き家リスクがある
賃貸に出せば必ず借り手が現れるかというとそうではありません。逆に、定期借家契約などで借り手を探す場合、なかなか借り手が見つからない…なんてことの方が多いです。この場合、想定した家賃収入は得られませんし、家の維持にかかるコストは全て実費になります。 - 出費も少なくない
「貸す」という選択肢は、家を手放したくないという心理もありますが、何より家賃収入を期待して…という方が多いです。しかし、賃貸経営というものはそこまで簡単なものではなく、収入以上に出費の事も考えなければいけませ。例えば、家の所有に対してかかる税金や、管理を委託した場合の管理会社への委託料、これだけでもそれなりの金額になります。さらに、安定して借り手をつけていくためには、人気の住宅設備を用意してあげたりする必要もあります。その他にも、外壁塗装や屋根の修理など、家の維持に関わるコストは所有者が支払わなければならず、家を手放さなくて良かったけど、賃貸経営はずっと赤字で出費ばかり嵩んでしまう…と悩んでしまう方も少なく無いのです。 - 家の劣化リスク
家はそこに存在するだけで徐々に劣化が進行するものなのですが、家の扱いが悪ければその分劣化も早くなります。家を大切にしてくれる方に貸したのであれば良いのですが、全員がそのような方ではなく、中にはモラルのない借り手もいるのです。そのようなモラルのない人に貸した場合、タバコやペットなどで急速に家の劣化が進んでしまい、戻った時には大幅なリフォームが必要になり、大赤字になる…なんてことも考えられます。
まとめ
今回は、転勤や相続などで、誰も住まない家ができた時、その家については「売る」と「貸す」ならどっちが良いのかについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、どちらの選択も一長一短で、どちらかが誰にとっても絶対にオススメ出来る物ではありません。
「売るか?貸すか?」で迷った時には、まずは将来的にその家に戻ってくる可能性があるのかをよく考えてから、戻る予定がないなら「売却」、戻る予定でそれなりに賃貸需要が高い場所なら「貸す」ことも検討するといった感じで決めるのが良いのではないでしょうか?
なお、家の売却に関しては、築年数が経過すればするほど安くなってしまうものですので、できるだけ早く決断することができるように、普段から「万一の時」の事を想定してみて、検討してみるのも良いかもしれませんよ。