納得のいく不動産売却にするため、売主が持つべき心構えをご紹介!

皆さんは、不動産の売却を考えた場合、どのような考えを持つでしょうか?ほとんどの方は、どうせ売却をするのであれば「できるだけ高く売りたい!」と考えるものでしょう。これは、売主にとっては、至極ごもっともな考えなのですが、買主側は「安く買いたい!」と考えているということを忘れてはいけません。

不動産の売却は、売主と買主がいて初めて成立するものですし、その取引には折り合いの付く金額と条件があるものです。もちろん、交渉を進めているうえで、それが正当であるかどうかに関係なく「とにかく高くor安く」とお互いの考えが先行してしまうのは致し方ない事なのですが、不動産売却における交渉術や心構えをきちんと知っておかなければ、思ってもみなかった安値で売却することのなったり、そもそも買い手を見つけられない…なんてことになってしまう危険があるのです。

そこでこの記事では、不動産売却を検討した場合に、売主側が持っておくべき心構えをご紹介していきます。

不動産売却時に売主が持つべき心構え

それでは、不動産売却の交渉時に、売主が持っておくべき心構えについて解説していきましょう。不動産の売買は、非常に大きな金額がやり取りされます。そのため、適正かどうかという部分を抜きにして「できるだけ安く買いたい」という買い手の要望は切実なものがあります。それでは、これに対して、売主はどういった心構えで交渉に臨むべきなのでしょうか?

値引き交渉をされるのは「当たり前」

どのような取引だとしても、売る方が「できるだけ高く売りたい」、買う方は「できるだけ安く手に入れたい」と考えるものですよね。

しかし、両者がこの考えを曲げずに交渉に挑んだ場合、話は平行線をたどってしまし、結果的に売主は売ることができず、買主は買うことが出来なくて困ったことになってしまいます。そこで不動産の取り引きなどは、『相場』によって一定の金額が示され、それを基準として「それよりいくらぐらい高く売りたい」「安く買いたい」となっていくのです。

例えば、不動産の取り引きの場合、仲介業者が買い主に金額を提示し、その金額で買うという意思を示したといしても、買主はそこからさらに値引き交渉をしてくることが一般的です。買主の要望からすれば、少しでも安い金額で買いたいわけですので、当たり前の交渉です。買主側のこういった交渉は、借り入れ可能な限界があるから、売り手の評価額が高すぎると思うから、単純にお金がないからなど、理由はさまざまです。
どのような取引でも、支払うお金を少なくしたいと考えるのが人情ですし、特に大きな金額が動く不動産取引になると、「値引き交渉をされるのは普通!」だと肝に銘じ、最終段階で値引き交渉があったからと、感情的になって成約を逃すなんてことはないようにしましょう。

売主だからと下手に出る必要はない

今の時代、買主はお客様になるわけですので、「お客様は神様だ」と言った謎の印象があることから、売り手が下手に出て、なんとか買ってもらうという行動に出ることが多いです。しかし、不動産売買の時には、売主だからと必ずしも下手に出る必要はありません。

なぜかというと、不動産というものは、同じ条件の物件は世の中に一つしかないわけで、買主はさまざまな物件を見てきたうえで、それでも欲しいと思った物件だから購入申し込みをしているわけです。買う意思が全くない人であれば、購入申し込みなどしてきませんし、向こう側には「買いたいという気持ちがある」ということです。そして、その買いたいと考えている物件について、全く同じ条件のものは他に絶対にないのが不動産な訳です。

買主側も、時間をかけていろいろな物件を見てきたうえで、やっと見つけた物件で、それを逃すと代わりを見つけることは非常に困難かもしれませんよね。こういった事を考えると、売主側が必要以上に下手に出ることなないと分かるのではないでしょうか?
もちろん、一般通念上の礼儀や礼節をわきまえておくことは大前提ですが、不動産取引の場合は、売主と買主が対等な立場で交渉に応じるべきという心構えを持っておきましょう。

足元を見られてはいけない

不動産の売却は、「どうしても売らなければならない」という状況で交渉に挑むケースも考えられます。しかし、そのような状況に陥っていたとしても、売り手や仲介業者は、それを買い手に感づかれないようにふるまわなければいけません。もしも、そのような売主の状況が感づかれてしまった場合、買主側は強固な立場で値引き交渉をしてくるようになりますし、買主は譲歩するしかないという状況に追い込まれます。

上述したように、不動産の取り引きでは、売り手と買い手が対等の立場で交渉に挑むべきですので、「必ず売らなくてはならないわけではない」というスタンスで交渉するという心構えを持っておきましょう。もちろん、どのような交渉事でもウソをつくことはいけませんが、そうはいっても、売り手の事情を全てオープンにする必要などはありません。事情を打ち明けた場合、足元を見られて強固な立場で交渉されてしまう…なんてことを防ぐには、「必ず売りたい」というスタンスで交渉しないようにしましょう。

少しでも有利に交渉を進めるためのコツ

日本では、価格交渉についてあまり良いイメージが無いという商習慣です。関西地方では『値切る』という文化はあるものの、他の地域では「値切るのは恥ずかしい」という印象を持っている方も多いです。しかし、価格交渉というものは、「正しい評価に対して適切な価格を守る」「過当に安い価格で売却しない」という、売主の利益をしっかりと守るという側面もあるということを覚えておきましょう。

ここでは、少しでも有利に売却をすすめるため、売主側がしておきたい交渉のテクニックをいくつかご紹介しておきます。

価格設定は希望価格よりも少し高めに

不動産売却は、非常に大きな金額が動く取り引きですので、提示された価格が『適正な価格』だとしても、そのまま決まるようなことはなく、価格交渉を絶対にされると考えておいた方が良いです。つまり、売主側が、自分の希望価格で売却したいと考えているの場合は、希望価格もしくは適正価格を提示するのではなく、少し高めの価格に設定するということが大切なのです。

ただし注意が必要なのは、買い手が購入の意思を決めるのは、その提示された価格で、あまりに高額な価格を最初につけてしまうと、交渉の場にすらたどり着かないといった事になりかねません。よって、売り出し価格については、周辺の相場なども加味して、自分の希望額が適正なのかなど総合的に決めるようにしましょう。

不動産の価格は、他の小売商品のように、誰が見ても「これは安い!」と感じるような価格をつける必要はありません。不動産は、買い手が一人いればいいだけですので、多少高めの設定でも「交渉できるなら買いたい」と思う人がいれば良いのです。そうすることで、値引き交渉をされたとしても、最終的に自分の売却希望額の範囲内で収まるはずです。

購入希望者が出せる限界を確認する

不動産売買における取引では、2500万円で売りに出している物件に、「2300万円であれば購入したい」といった購入申し込みが入るというケースが多いです。この場合、売り手がその金額に応じれば、そこで契約が成立するのですが、少しでも高く売りたいと考えているのであれば「間をとって2400万円でどうでしょう?」と持ち掛けるのも手です。買い手からすれば、売り手も譲歩してくれたわけですので、これだけの交渉で成約に至ることも考えられます。

さらに、こういった交渉方法は、相手の出せる限界金額を確認するのにも一役買ってくれる方法になります。例えば、2400万円を提示した際、それがあまり芳しくない反応であれば、買い手がそこまでの金額を出せないということですよね。したがってそういった場合に「せっかく気に入ってもらえたし、この縁を大切にしたいと思うので、ぜひ売却したいと考えています。できるだけ歩み寄りたいと考えているのですが、いくらぐらいまでなら購入できるとお考えですか?」と言った感じで伝えると、値下げ幅を低く抑え、気持ちよく購入してもらうことができます。
買い手の限界金額を知りたいと考えたとしても、ぶしつけに「いくらまでなら出せるんですか?」なんて聞き方をしてしまうと、相手は気分を害してしまい、交渉の前に信頼関係が崩れてしまう危険があります。不動産売買の交渉では、「早く売りたい」という気持ちがあっても、聞き方とタイミングは慎重に考えましょう。

引き渡しの条件も決めておく

不動産売買のトラブルとして意外に多いのが、お互いが納得できた金額で成約したものの、引き渡し時の条件を明確にしていなかったことで後々トラブルになる…というものがあります。

中古住宅の売却は、今の状態のまま引き渡す「現状渡し」が基本なのですが、買い手がこの常識を理解していないことも多いです。例えば、照明器具やエアコン、給湯設備などを残したまま売却する場合、買い手は「しばらくそのまま使える」と考えていた物の、引っ越してみると故障していた…なんてことになった場合、取り外しや交換にさらなる費用がかかってしまうことになります。買い手がそのことに納得できない…なんてことになると、トラブルになるので、付帯設備などに関しても、価格交渉時点で明確な取り決めしておきましょう。

他にも、買い手が建て直しすることを前提にしている場合、取り壊してから引き渡すのか、残置物は全て売主が処分した状態で引き渡すのか、この辺りの条件をしっかりと決めておきましょう。

まとめ

今回は、不動産売買における売り主が持っておきたい心構えについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、不動産の取り引きは、一般の小売商品の売買とは考え方から根本的に異なると考えておいた方が良いです。通常、売り手と買い手であれば、日本の商習慣は買い手の方が立場が上というイメージがあるのですが、不動産の場合、世界に一つしかない商品であることから、売り手の方が立場が強固だとも考えられるのです。

もちろん、売り手の方が立場が上だから値引き交渉に乗る必要はないとまでは言いませんが、必要以上に下手に出るのでは損な取引になってしまう可能性もあると考えておきましょう。