シロアリ被害のある家って売れるの?シロアリ被害が見つかった家を売る時の注意点

日本国内の戸建て住宅市場を考えてみると、さまざまな建築技術が登場している現在でも、ほとんどの場合、木造一戸建て住宅が選択されています。これは、四季のある日本の気候を考えると、さまざまな面で木造建築が有利と考えられているからなのですが、絶対に見落とすことができない欠点として「シロアリ被害に遭いやすい!」と言うものがあります。

シロアリは、湿気を含んだ木材が大好物だと言われているのですが、木造住宅の場合で、湿気がこもりやすい構造の家になってしまうと、目に見えない位置でシロアリが大繁殖してしまい、知らないうちに家の構造体を食べられてしまっていた…なんてことが珍しくありません。
シロアリ被害については、日常生活の中で目に見えない位置で進行しますので、住人が気付くことができないという点も非常に厄介です。そして、家の売却を検討した時、ホームインスペクションなどを受けた際にシロアリ被害が発覚してしまう…なんてケースが非常に多いのです。それでは、シロアリ被害が確認された住宅と言うのは、中古住宅として市場に出して、買い手が付くものなのでしょうか?

最初に言っておきますが、シロアリ被害が見つかった住宅は、皆さんが考えている以上にその価値が低下してしまい、基本的には仲介に出しても買い手を見つけるのは非常に困難です。この記事では、シロアリ被害が見つかった家の売却時に注意したいポイントと売却するためのコツをご紹介します。

シロアリ被害のある家を売却する際の注意点

それでは、シロアリ被害が確認された家の売却を検討した際、売り手がおさえておきたい注意点をご紹介していきます。まず大前提として押さえておかなければいけないのが「シロアリの被害が発生している時点で、建物の価値は大きく落ちる」と言うことが避けられないということです。

しかし、売り手側の希望としては「できるだけ高く売りたい!」と言うものがありますし、「シロアリ被害を隠して売れば良いのでは!」と考えてしまうような方がいるのです。こういったことは、後々トラブルとしてかえってきますので、絶対にやめましょう。
ここではまず、シロアリ被害のある住宅の売却を考えた時に、おさえておくべき注意点をご紹介します。ちなみに、シロアリ被害が発覚した住宅が、築10年未満の築浅物件の場合、建築業者に契約不適合責任を問うことができますので、売却に動く前に建築主に連絡し、修繕させると良いでしょう。

ここでは、シロアリ被害がある家の売却で、覚えておきたい基礎知識をご紹介しておきます。

シロアリ被害の事実を不動産会社にきちんと伝える

シロアリ被害のある住宅を売却しようと考えているのであれば、その事実を不動産会社に絶対に隠してはいけないということを頭に入れておいてください。

と言うのも、住宅の売却をするときには、住宅に存在する瑕疵に関して、告知義務が設けられているからです。告知義務とは、簡単に言うと「住宅に何らかの問題がある場合、それを過不足なく買主に対して告知しなくてはいけない」と言う義務です。

シロアリ被害や雨漏りなどは、目に見えない被害でもありますので「問題が発生していても隠しておけば高く売れる!」と考えてしまうかもしれません。しかし、このような問題点を重要事項説明で伝えていなければ、後から売主が責任を問われてしまうので、結局は一緒なのです。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
引用:e-Gov|民法

民法では上記のように定められているので、「シロアリ被害なんてありません!」「目に見えない場所に瑕疵はありません」などと虚偽の報告をしてはいけません。
こうした虚偽の報告をもとに家の売却を完了させ、後からシロアリ被害が発覚した場合、売主が買主に対して修繕費などを請求する期間を超えていたとしても、売主は修繕費などの費用を負担する義務を負うのです。

これは、契約不適合責任と呼ばれるものなのですが、最悪の場合、買主が売主に対して損害賠償の訴えをするという事態にまで発展してしまうケースもあります。さらに、瑕疵を知りながら問題点を不動産会社に隠して販売活動を行わせていたとすれば、仲介役の不動産会社からも損害賠償で訴えられてしまう恐れもあります。
こういったことから、シロアリ被害などが住宅に存在する問題点は、「隠した方が高く売れるかも」などと考えるのではなく、一切隠すことなく正直に告知しなければならないと考えておきましょう。

なお、契約不適合責任がどういったものなのかについては、以前別の記事でご紹介しているので、以下の記事をご参照ください。

関連:契約不適合責任について!買主が持つ権利と売主が注意しなければならないポイントを押さえておこう!

シロアリ被害のある家を売却するには?

それではここからは、実際にシロアリ被害のある住宅を売却したいと考えている方に向け、売却するための方法をいくつかご紹介しておきます。

上述しているように、シロアリ被害のある家は、買手に敬遠されることになりますので、住宅の価値は大幅に下落してしまうだけでなく、買手すら見つからない…なんてケースも多いです。ただし、シロアリ被害のある家が絶対に売れないというわけではないので、ここではいくつかの売却方法をご紹介していきます。

①シロアリ被害を放置してそのまま売る

まずは一つ目は、買主にシロアリ被害があることを正直に告知して売却するという方法です。要は、シロアリ被害については、特に何らかの対処をするわけではなく、現状のまま売却するという方法です。

シロアリ被害は、建物の構造部分を食べられてしまうことになるため、修繕のために多額の費用がかかってしまいます。したがって、シロアリに対処したうえで売却をするという場合、持ち出しで多額の修繕費が必要になるわけです。しかし、立地が非常に良い家などであれば、シロアリ被害については、購入後買い手が修繕するという前提で買主が現れることも考えられます。

これは、解体して新築するよりは、修繕したほうが安いですし、「どうしてもその場所に住みたい!」と考える人が見つかるような物件であれば、そのまま売却に動いても買手が見つかることもあります。ただし、購入者は、購入後に修繕を前提としているため、その費用分の値引き交渉などはされると考えておきましょう。つまり、問題点を理由として買いたたかれてしまうという危険があります。

②シロアリ被害を修繕してから売る

二つ目の方法としては、売りに出す前にシロアリ被害のある建物を修繕するという手法です。シロアリ被害が見つかった場合、以下のような修繕が必要になります。

  • シロアリを駆除する
  • 柱や梁などを交換する
  • 建物の傾きを修正する
  • 上記の修繕後、 防蟻処理をする

シロアリ被害の程度によって必要な修繕内容が変わりますが、基本的に上記のような修繕が必要になると考えておきましょう。
ちなみに、シロアリ被害によって建物に傾きが生じてしまっている…なんて場合、その傾き修正のためには数百万円単位の費用がかかってしまいます。また、このような状態であれば、別途耐震工事なども必要になると思いますので、家が売れたとしても修繕費用で赤字になってしまっている…なんてこともあります。
この方法は、シロアリ被害がまだ軽度の時に選択できる手法と考えておきましょう。

③建物を解体して更地として売却する

3つ目は、シロアリ被害がある建物を解体して、更地として売却するという手法です。

この手法は、売却前に解体費用がかかってしまうという点が問題点となりますが、売却後は買主が新たな家を建てるわけですので、売却後に契約不適合責任を追及されるリスクがなくなるという点が非常に大きなメリットになります。
注意が必要なのは、建物を解体してしまうと、固定資産税の特例がなくなり、税額が最大6倍にまで跳ね上がってしまうことになります。つまり、更地にしてしまうと、早期に売却できなければ、土地の維持費ばかりが嵩んで、余計に負担が大きくなってしまう恐れがあるので注意しましょう。

④不動産買取業者に相談する

最後は、不動産買取業者に相談するという手法です。不動産買取とは、不動産会社に直接家を売却するという手法になります。不動産会社は、買い取った家について、手を加えることで高値で再販して利益を出すのが目的になっています。シロアリ被害のある家など、訳あり物件だとしても、そういった訳あり物件を専門に取り扱う業者がありますので、意外に簡単に売却できると考えておきましょう。

不動産買取業者に相談するメリットは、買取業者が提示してくる査定額に納得できれば、すぐに売却が完了するため、家の維持コストの負担が無くなるということや、シロアリ被害の修繕など何もしなくても買い取ってもらえるため、修繕費用も負担する必要がありません。さらに、不動産会社が手を加えて再販することになるので、最初の売主は契約不適合責任のリスクがなくなると言う点も非常に大きなメリットでしょう。

なお、不動産買取の場合、シロアリ被害の修繕にかかる費用をあらかじめ差し引いて査定されるので、売却額は安くなると考えておきましょう。ただし、自分で修繕や解体するということを考えた場合、業者を探す手間もありませんし、交渉する必要もないという点から、訳あり物件であれば、最も高く売れるのが買取なのではないかと考えられます。

まとめ

今回は、シロアリ被害のある物件を売却したいと考えた時、皆さんがおさえておきたい注意点と実際の売却方法についてご紹介してきました。
この記事でご紹介したように、シロアリ被害がある…という事実は、不動産の売却を考えた時に、非常に大きな弱点になってしまいます。日本人であれば、シロアリ被害がある家のリスクはよく理解していますし、基本的にはそのままでは買い手が見つからないと考えておくべきだと思いますよ。さらに、シロアリ被害についてはきちんと修繕したとしても、「一度シロアリに食われた」という事実で、高値が付きにくくなります。したがって、修繕にコストをかけ過ぎてしまうと、売れたとしても赤字になっていた…なんてことが考えられるのです。

シロアリ被害などの訳あり物件の売却については、不動産買取業者に相談するのがオススメですよ。不動産買取業者であれば、どのような物件でも、高値で再販するための手法を持っていますので、訳あり物件でも何の問題もなく買取りしてくれるのです。世間一般では、買取業者に売ると「売却額が安くなる」と言われていますが、自分で修繕費をかけて売ることを考えた場合、買取業者にさっさと売却したほうが残るお金は多いというケースが多いです。

訳あり物件の売却で悩んでいる方がいれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。