家を売ると決めたけど、不用品の処分ってどうしたら良いの?
家の売却を決めた時に、意外に困ってしまう方が多いのが「不用品の処分はどうしたら良いのだろう?」また「不用品を処分するのにいくらぐらいかかるのだろう?」といった、住み替え先などにもっていかない家具や家電など、不用品の処理についてです。
家の中に存在する不用品は『残置物』とも呼ばれるのですが、一般的な手法で家の売却を行う場合、その家の所有者が処分することになっています。それでは、家の所有者が不要な家具や家電を処分したいと考えた時に、どういった手段を選択すれば良いのでしょうか?「いらないものを捨てる」のですから、当然、ここにコストをかけたくない…と考えるのは誰もが同じことだと思います。しかし、転勤などが理由で、悠長に不用品の処分をしている暇がない…なんて場合、それなりのコストをかけて不用品を処分しなければならなくなると考えておきましょう。
ここでは、家の売却に伴う不用品の処分について、いくつかの処分方法と、それぞれのメリット・デメリットについて簡単に解説しておきます。
家売却時の残置物の処分方法について
それではまず、家の売却を決めた時、家具や家電などの残置物を処分する方法についてご紹介していきましょう。残置物については、次に住むことになる方が処分するのではなく、元の所有者が処理をするというのが基本です。
近年では、不動産会社が不用品の処分も担ってくれるような場合があったり、残置物ごと家を買い取ってくれるようなサービスが増えていますが、基本的には家の所有者自身が残置物を処理すると考えておきましょう。
家の所有者自ら処分する
まずは、所有者自身が処理をするという方法についてです。この場合、不用品の処分にコストをあまりかけなくても良いというのがメリットです。また、まだ使えそうな家具・家電については、フリマアプリやオークションサイト、リサイクルショップで現金化することも期待できますので、時間と手間はかかるものの、余裕をもって不用品の処分ができるという時にはオススメかもしれません。
現金化がとてもできないような不用品に関しては、自治体の粗大ごみ回収サービスに出すのが最も手っ取り早いです。コンビニなどでゴミ処理券を購入し、指定された日に処理券を貼って出して置けば、回収してもらうことが可能です。衣類などは、自治体のゴミ収集場に持ち込めば格安で処理することが可能です。
注意点としては、粗大ごみ回収は指定日に指定の場所に出さなければいけないため、家族だけで持ち運ぶのが難しい大型家具の処理が困難なところです。また、売却までに時間がない場合、処分できずに残ってしまう…なんてことも考えられます。
不用品回収業者を利用する
コストはかかるものの、最も確実な処分方法となるのが不用品回収業者に依頼するという手法です。この方法であれば、自分の時間や手間をかけることなく、一気に残置物を処理することが可能ですので、転勤による家の売却など、処分するための日数的な余裕があまりない方でも安心です。ただし、自治体回収などを利用するのと比較すれば、処分のためにそれなりの費用がかかってしまうのがデメリットです。最近では、不用品回収業者が増えていますので、複数社から相見積もりをとってみると良いでしょう。
なお、不用品回収業者は、きちんと「一般廃棄物処理業」の許可を取得している業者を選んでください。不用品の回収には自治体の許可が必要で、格安だからと許可のない業者に撤去を依頼してしまった場合、最終的にあなたのゴミを不法投棄されてしまい、その連絡があなたに入ってくる…なんてリスクが存在するのです。また、不用品回収を「無料」を謳って回っている業者も多いのですが、こういった業者に依頼してしまうと、運搬料などとして高額な請求をされてしまう…などというトラブルの可能性があります。
不用品回収業者に処分を依頼する場合、慎重に業者選びを進めるようにしましょう。
不動産会社に引き取ってもらう
最近では、不動産の売却に『買取』サービスを選択する方が増えていますが、買取業者であれば、残置物ごと不動産の買取りをしてもらえることがほとんどです。
一般的に、不動産の売却は、『仲介』による売却が一般的なのですが、この場合、残置物がたくさん残っていると、部屋が狭く見えたり、整理整頓できていないと悪印象を与えてしまう恐れがあります。そのため、仲介による売却の場合は、内覧の準備として不用品の処分やホームクリーニングを事前に行うようになるのです。ちなみに、不動産会社に言えば、不用品回収業者を紹介してくれたりしますが、不動産会社への紹介料などが乗ってしまう場合があるので、できれば不用品回収業者は自分で探した方が良いです。
なお、不動産買取サービスの場合は、残置物はそのまま残した状態でも引き渡し可能な業者が多いです。買取りサービスは、仲介よりも売却価格が少し安くなるという点がデメリットとされているのですが、素早く家の現金化が完了するというメリットが存在します。そして、買取業者は、引き取った不動産をリフォームやリノベーションして再販することが目的ですので、そのついでに不用品の処分も行ってくれるわけです。ただし、買い取り業者が行う再販のために必要な業務については、その分買取価格から差し引かれてしまうと考えておきましょう。
自分で残置物の処分を行う時の注意点
それでは、自分で不用品の処分を行う場合の注意点についても簡単にご紹介していきましょう。「ゴミなんてテキトーに捨てれば良いでしょ!」なんて考えでは、不法投棄として罰せられてしまう恐れがあります。
自治体のごみ処分方法をきちんと確認する
残置物にもさまざまな種類が存在しますが、自治体によってゴミの処分方法の基準が異なるという点をしっかりと押さえておきましょう。厳しい自治体であれば、少しでも分別にミスがあれば、ゴミを回収してくれない…なんて場所もあり、この部分を確認しておかなければ、残置物の処分計画が崩れてしまう恐れがあります。以下に、よくある自治体のゴミの分類と、出し方を参考にご紹介しておきます。
「新聞・雑誌類・段ボール、飲み物や食品のガラスビン、缶」などが資源ごみに該当します。ゴミの出し方は、「新聞・雑誌類・段ボールは分けて紐でしばる。」などです。
「生ごみ、少量の枝葉、紙くず、プラスチック類、ゴム・皮革製品、衣類」などが可燃ごみに該当します。フタつきの容器(90リットル以下)または中身の見える袋に入れ、可燃ごみの回収日に出します。
「金属、ガラス製品、陶磁器類、使い切ったスプレー缶・ライター、一辺の長さが30cm以下の小型家電製品」などが不燃ごみに該当します。フタつきの容器(90リットル以下)または中身の見える袋に入れ、可燃ごみの回収日に出します。
「布団、家具、自転車」など、一辺の長さが30cm以上を超える耐久消費財が粗大ごみに該当します。ごみの種類によって所定の手数料がかかります。電話またはインターネットから回収依頼を出し、コンビニや販売指定店でごみ処理券を購入しします。回収日に、購入したゴミ処理券を貼り付け、目につきやすい場所に置いておきます。
なお、ゴミの分類については、各自治体によって細かな基準が設けられています。詳細は、自治体のホームページなどで確認して下さい。
自治体回収では処分できないものもある
自治体の粗大ごみ回収は、不用品回収業者などと比較すれば、格安で不用品を処分することが可能です。ごみ処理券は、数百円~千円程度で販売されていますし、大量の粗大ゴミがあったとしても、処分するのに数十万円以上かかる…なんて心配はありません。
ただし、自治体による回収では処分できない物品が存在しますので、その点は注意しましょう。家電リサイクル法で定められている、大型家電4品目と、小型家電リサイクル法に規定されている小型家電製品(PCや電話機、プリンターなど)があります。これらの残置物を処分する方法は、以下のような手段が考えられます。
住み替えに伴い家の売却を行うといった場合、大型家電を買い換える方も多いです。その場合は、新しい製品を購入する販売店に引き取ってもらうという方法があります。他には、製造メーカーが回収サービス(有料の場合がほとんど)を行っている場合があるので、ホームページなどで確認してみましょう。
上記以外の方法としては、不用品回収業者に処分を依頼するという方法になります。
小型家電製品の処分について
パソコンなどの小型家電製品も小型家電リサイクル法に定められた方法で処分しなければいけません。ただし、自治体によって処分方法がかなり違うので、注意してください。例えば、札幌市では、ほとんどの家電製品と付属品を無料回収してくれる回収ボックスや回収拠点が用意されています。その他の自治体では、協力業者に一部の家電を無料回収してもらうといった取り組みを行っている場合もあるので、詳しくは自治体に確認してみましょう。
なお、パソコンの処分に関しては、回収に出す前に、必ず個人情報などのデータをきちんと消去しておきましょう。最近では、PCメーカーが有料でデータ消去および回収を行ってくれるようになっていますので、心配な方はメーカー回収に出すのが良いかもしれません。
小型家電の回収品目なども自治体によって異なるので、まずは自治体のHPを確認してみましょう。
残置物処分にかかる費用
それでは最後に、残置物の処分にかかる費用についても簡単に触れておきましょう。なお、残置物に関しては、まだ使える物であれば、売却できる場合もありますので、不用品回収業者などを利用する場合、買取サービスも合わせて行っているような業者に依頼するのもオススメです。
自分で処分する場合
自分で処分する場合には、粗大ごみの回収券を購入するための費用や、家電リサイクル料金などがかかります。ただし、自治体回収にかかる費用は格安ですので、特別大きな家というわけではない限り、数万円程度に収まると思います。
なお、状態の良い家電や家具に関しては、オークションサイトやフリマアプリなどで売却するのも良いでしょう。ただし、必ず売れるわけではありませんし、「いつまでに売れなければ処分する」という期日は決めておいた方が良いですよ。さらに、売れたら配送の手配をしないといけないということもお忘れなく。
不用品回収にかかる費用
不用品回収にかかる費用については、立方メートル(1m×1m×1m)単位で計算されるケースが一般的です。具体的な費用に関しては、業者や地域、処分量などによって異なりますし、明確な相場のような物がない業界ですので、お示しするのが難しいというのが実情です。ここでは、総務省が行った「遺品整理サービスに関する調査報告書」を参考に、ある程度の相場をご紹介しておきます。
この資料によると、遺品整理サービスにかかる金額は、20万円超30万円以下という企業が最も多く、国民生活センターのレポートによると、遺品整理サービスへの支払い平均額な約30万円となっています。そして、家の売却による不用品回収について、一軒家の場合「10万円~40万円」が一般的だとされています。
不動産買取業者にまとめて引き取ってもらう場合
最後は、残置物ごと不動産買取業者に家を買い取ってもらう場合です。例えば、仲介業者に不用品回収業者を紹介してもらい、残置物の処分を行うのであれば、上述した費用に不動産会社の紹介料が乗ってしまうことになるので、単純なごみ処理費としては割高になってしまうと考えておきましょう。
ただし、買い取り業者に残置物ごと家の買取りを行ってもらうという場合は、最終的な売却価格から処分費を差し引かれるという形式になるため、改めて費用を支払うということはありません。
まとめ
今回は、家の売却時に困ってしまう方が多い残置物の処分について解説してきました。家の購入時には、家具や家電を買いそろえるためのコストを失念していて、「お金が足りない…」などということで困ってしまう方は意外に多いです。これとは逆ですが、家の処分の際には、いらなくなった不用品の処理について困ってしまうという方が非常に多いのです。
実際に、仲介による不動産売却を試みる場合には、内覧の前にある程度不用品の処分を済ませておく必要があると言われていますし、慌てて不用品処分の方法を調べてみると、想像以上にお金がかかるものだ…と知って困ってしまう訳です。自治体の粗大ごみ回収であれば、そこまでのコストはかかりませんが、引っ越しシーズン真っただ中となると、回収日の予約が一カ月以上先しか取れない…なんてことも珍しくないですし、売却のための計画が大幅に崩れてしまう…なんてことも多いのです。
一方、近年注目されている不動産買取については、残置物も含めて、まとめて家の売却価格の査定を行ってくれるような業者が増えています。これであれば、残置物の処分のために別業者と打ち合わせしないといけない…なんてこともなく、不動産会社との交渉を済ませれば、家の売却も不用品の処分も一気に片付くのです。さらに、不用品の処分にかかる費用を別途用意する必要がないので、何かとお金がかかる新生活でも困ることがなくなると思いますよ!